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7年間の広告代理店生活を振り返ります【6年目(前編)】

こんばんは、神宮寺です。

振り返りシリーズの続編です。
6~7年目を一気に書こうと思ったのですが、苦しかった6年目が想像以上に長くなってしまったため、6年目だけでさらに前半と後半に分けさせて頂くことになりました。

前編はかなりの鬱展開となっておりますが、過去をしっかりと清算していこうと思っておりますので、赤裸々に書いていきます!ぜひお楽しみください。

▼7年間の内訳
①1年目(新卒:グループ会社時代)
②2~3年目(運用プレイヤー期)
③4~5年目(リーダー:チーム拡大期)
④6~7年目(マネージャー:役割拡大期)


▼④6~7年目(マネージャー:役割拡大期)

4~5年目は、プレイヤーからリーダーに自分の役割が変わり、チームの規模が急激に大きくなり、業界の働き方が変化し、様々な失敗を経験しながら試行錯誤して成長をすることができた期間でした。

6年目の話をする前に、5年目の終わりに起きた事件について書きます。


突然の運用部署解体

もともとデジタルガレージの組織は、機能型の組織構造になっていました
営業部署、運用部署、クリエイティブ部署という感じで機能によって部署が分かれていました。
多くの代理店がこの形を採用しているかと思います。

↓このようなイメージ

機能型組織


それが業界特化型の組織に変わることになったのです
それはつまり、運用部署・クリエイティブ部署の解体を意味していました。

↓運用やクリエイティブの人員を分割し、マーケットごとにその組織を作るイメージ

業界特化型


まず、なぜこのような大規模な体制変更が行われたのか。
この意思決定に私は関与していなかったので、正確にはわかりませんが、
以下の要素が加味されていたのだと思っています。

(1)他代理店との差別化

組織改編が行われた2018年は、Web広告業界においても過渡期にありました。
私が入社した2015年は、それこそSNS広告やインフィード広告がフィーバーしており、業界全体が急激な成長をしておりました。例に漏れず我々も数十パーセント単位で売上が伸びていっていました。
その時はSNS広告をまだまだ活用しきれていない企業がたくさん残っており、オセロをどんどんひっくり返していくように案件を増やすことができました

しかし、2017年あたりで踊り場がやってきます。
どこの企業もすでにウェブ広告を一通りやっている状態になってきて、そうなってくると代理店間の力の差が勝敗を分けます
人海戦術なり、ツール開発なり、高い給料で他社からエースを引き抜くなり、様々な会社が様々な戦略で差別化をし始めました。

その中でも圧倒的な強さを見せたのはサイバーエージェントさんでした。
2017-2018年あたりはサイバーエージェントさんだけがぐんぐん成長を続けていて、それ以外の専業代理店は軒並み前年比割れの苦しい状況だったと記憶しております。

私がインフィード広告やSNS広告を開拓し始めた2015-2016年あたりは、お客さんや媒体社さんから聞く情報の中では、そこまでサイバーエージェントさんの名前を聞くことは多くなかったのですが、あるタイミングで一斉にスイッチが入り、あっという間にあらゆる媒体社のアワードを制圧しました。スピード感、潤沢なリソースに加え、優秀なエンジニアもたくさん持っているサイバーエージェントさんが運用型広告の市場を独占しはじめていました。

そのような状況だったこともあり、他代理店と同じようにやっていては勝ち目が薄くなるということで、差別化戦略として「業界に特化したクリエイティブ制作力・運用力」という方向に舵を切ることになったのだと思います。


(2)組織間のコンフリクト

(1)の理由は、わりと納得感のあるものかなと思います。
(ほぼ同時期にセプテーニさんと電通さんが資本業務提携をしてたりしますし。)

しかし、私の肌感覚ではこちらの要因のが大きかったのではないかと思っております。
売上増加と働き方改革のダブルパンチで人数は加速度的に増えていき、運用部署やクリエイティブ部署は50人を超える大所帯になっていました。もちろん営業部署もどんどん人が増えていました。
組織が大きくなった状態での機能型組織のメリットデメリットを簡単に整理しておきます。

<メリット>
・情報の流通がスムーズに行える(運用の成功事例の横展開など)
・リソース配分が行いやすい(人が多いので分散させやすい)
・役割分担をして、機能強化を進めやすい
<デメリット>
・各営業部署ごとのリソース配分にばらつきが出る
(B部署にはエースをアサインしているのに、うちの部署にはエースをアサインしてくれない。など)
・案件における連携スピードが落ちる(依頼ルールの整備なども影響)
セクショナリズムが生まれる

組織がどんどん大きくなるにつれて、各機能間でのセクショナリズムが強くなり、同じ会社とは思えないくらい距離が離れてしまいます
「依頼ルールを守ってくれない」「対応が遅い」「ミスが多い」など相互でクレームが飛び交うようになってしまいます。
この現象を発生させないようにするのは相当難しいですが、じっくりとそれぞれの組織を構築していけばなんとかなったのかなとは思います。
しかし、ちょうど業界的にも競合に置いて行かれないようにしないといけない正念場だったこともあり、これまで売上を伸ばしてきたときのような小規模の組織を再現することでスピード感を取り戻そうとしました。

私の個人的な分析と見解なので、間違っていたら大変申し訳ないのですが、
「こういう捉え方をしていたんだな~」と参考になれば幸いです。笑


前置きがかなり長くなってしまいましたが、この事件によって私のチームは事実上解散をし、全く新しいチームで6年目が始まりました。

※誤解されそうなので補足ですが、私にとっては大きな事件だっただけで、よくある前向きな組織変更です。


▼6年目の役割

6年目になると同時に、役職がGL(グループリーダー)からGM(グループマネージャー)に昇格をしました。
GLがプレイヤー比率が5割くらいと規定されていたのに対し、GMはプレイヤー比率が2割くらいで、大半の時間をマネジメント業務に費やすべきポジションでした。
この6年目がこれまでの社会人人生で最もキツかったです。
本当にうまくいかないことだらけの1年でした。


▼役割の増加

上記の組織改編により、とある営業部署に移り、運用チームに加え、新たな機能として新設されたストプラチームの2チームのマネジメントをすることになりました。
ストプラチームは、他の会社では運用コンサルみたいな呼ばれ方をしていたりしますが、ざっくり言うと営業と運用の間のポジションです。
何案件も運用しながら、お客さんのフロントに出たり、深く分析をして成果改善をするのはリソース的にも厳しかったこともあり、その機能を補う目的で新設されたチームです。

加えて、さらにもう一つ重要な役割がありました。
メディアパートナー様との向き合いを強化する部署横断プロジェクトのリーダーとしても動くことになりました。
運用部署がなくなり、媒体社様とのコミュニケーションや関係値構築に責任を持つ組織がなくなってしまったため、新たに発足したプロジェクトです。
運用部署の時から、媒体社様との関係値構築を重要視し、メインで仕切っていたこともあって、自ら会社に打診をしてそのプロジェクトをやらせてもらうことになりました。


▼スキル・経験不足を露呈

チームメンバーは2チーム合計で10人強でしたが、その中でもともと同じチームだったメンバーは3人でした。
運用部署の時は、SNSやインフィード系の媒体を扱う私がいたチームとリスティングをメインとするSEMチームの2つに分かれていましたが、
組織改編によりその区分けがなくなり、新しいチームでは一人ですべての媒体(SEMもSNSも)を運用するように変わりました

まず最初に苦労したのは、新たに集められたメンバーたちを一つのチームとして機能させるのが想像以上に難しかったことです。

私は前回のnoteでも書きましたが、それまでは自分で採用~育成をしてチームを作ってきたので、全てのメンバーについて、どういう経緯で入ってきて、どういう性格で、どういう接し方をしたらよいか、などが深く理解できている状態でした
しかし、今回の新しいチームは、大半がそういったこれまでの積み重ねがないメンバーで構成されていて、しかもいきなりマネージャーというポジションで接することになり、私自身が困惑してしまっていました。

これまでできていたメンバーとの接し方が通用しなくなったことで、私のマネジメント能力は著しく低下しました。
低下したというよりも、これまではマネジメント能力がなくてもマネジメントができる環境なだけだったのかもしれません。
1on1などで徐々に距離を縮めていったのですが、かなり時間がかかってしまいました。

さらに、マネージャーに一番求められる「組織の目標達成」という部分においても、完全に後手後手になってしまいました。
目標に対して個々に役割を割り振り、合意形成をして、チームを迅速に動かしていくということをやるべきだったのですが、結果的にこれにも時間を要してしまいました。

突然組織が改編され、昇格をして役割が変わり、新しいプロジェクトも始まり、仕事の整理も心の整理もできていないまま、ただただ目の前の仕事をぎりぎりのところで処理していく状態で、振り返ると自分のパフォーマンスはかなり低いものだったように思います。
それまではプレイヤーの延長としてのマネジメントしかやっていなかったので、本当の意味でのマネジメントスキルがなかったという現実をこの時突き付けられました
周囲に迷惑をかけてしまい、私自身もかなり疲弊しましたが、個人的には自分でも把握できていなかった自分の弱い部分をたくさん知れたとてもいい機会だったと今では思っています。

▼心身の不調

組織改編によって1チームあたりの人数が減少したことで、完全に案件対応のリソースが足りない状態だったため、私も一時期はほとんど離れていたプレイヤー業務を復活させていました。

部署の中でもトップクラスで大きい案件を2つ担当しており、50〜60%をプレイヤー業務に割かなければならない状況でした。
それに加えて、後ほど書きますが媒体社様向き合いプロジェクトにもかなりリソースが必要だったため、どうやりくりしても時間が足りないという状態でした

そしてついに身体に不調が出始めました
慢性的な頭痛に加え、倦怠感や吐き気にも悩まされました。
会社に行きたくない、鳴り止まないチャットを開けたくない、全てを忘れてどこか遠くへ逃げ出したい、そんなことを考えるようになりました。

どれだけハードに働いても身体に不調が出たことはなかったのですが、これまでとの明確な違いは精神的なダメージが蓄積していた点だと思っています。
精神的なダメージの原因は以下3つだと分析しています。

・「未完了」の蓄積
単純に時間が足りなくて「5時間かけてやっていた仕事を1時間でやらないといけない」という状態で、もちろんいきなりそんなことできるようになるはずがありません。
そうなってくると完了していない仕事がどんどん溜まっていきます。
この「未完了」の蓄積は想像以上に危険で、精神のリフレッシュ機能を奪います。
「よし、今日は早く帰って映画でも観よう」なんて発想が1ミリも出てこないくらい「あのタスクそろそろやらないとやばいよな」「あ、あのタスクもあるの忘れてた」みたいな感じで未完了に四六時中脳みそを埋め尽くされてしまっていました。
・頼れる人のいない孤独
そもそもの気質として、人に頼ることがかなり苦手ではあるのですが、マネージャーになってより一層誰に頼ればいいのかわからなくなりました
「組織を任されている以上、自分できちんと考えて答えを出さないと」という意識が強くなり、自分の中で消化しきれない悩みが蓄積していきました。
・周囲からの見えないプレッシャー
これが1番キツかったかもしれません。
上述の通り、未完了タスクだらけになった私は周囲の心の声が気になるようになりました。
「依頼した仕事ちゃんとやってくれているのかな?」「私たちのことちゃんと見てくれてるのかな?」「数字いってないけど、大丈夫?」など、色んな人に不満を持たれている気がして、不安で怯えていました。
どれだけ頑張っても増える仕事の方が多く、全然追いつかない。
さらに売上目標も出だしからずっと未達の状態で、数字もなんとかしないといけない。
プレッシャーに晒され続けて心身共に疲弊してしまい、悪循環に入ってしまいました。

このような感じで私の6年目は社会人生活で最も大きな挫折を経験していました。

絵に描いたような鬱展開が続いてしまっておりますが笑、個人的に手応えを感じた部分もありましたので、次回の後編では、そこからスタートしようと思います。


最後に

今日はひたすらに自分の苦い記憶を書き起こす会になってしまいましたが、手応えを感じた部分やどのように乗り越えたのか?については後編でしっかり書こうと思いますので、ぜひそちらも楽しみにしておいてもらえると嬉しいです!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

それでは!


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