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7年間の広告代理店生活を振り返ります【6年目(後編)】

こんばんは、神宮寺です。

今日は6年目の後編ということで、先週の続きです。先週のnoteを読んでいない方は、まず先週のnoteを読んでからこちらのnoteを読んで頂けると幸いです!

読んで頂いた方はわかると思いますが、想像を絶する鬱展開で前回のnoteは終わっておりました。

今日はこの苦難をどう乗り越えたかについて書いていければと思っております!

▼7年間の内訳
①1年目(新卒:グループ会社時代)
②2~3年目(運用プレイヤー期)
③4~5年目(リーダー:チーム拡大期)
④6~7年目(マネージャー:役割拡大期)

内訳で見ると最終ブロックなのですが、6年目がかなり長くなっているので、ラストの7年目は来週書きます。

少しうまくいっていたこと

前週のnoteのとおり、私の6年目は社会人生活で最も大きな挫折を経験していました。
疲労困憊・満身創痍だった中でも、少しだけ手応えを感じた部分もありましたので、そこにも触れておきます。


▼メディアパートナー向き合いプロジェクト(通称メディアプロジェクト)

前編でも少し触れましたが、組織改編に伴って私はこのメディアプロジェクトを進めることになりました。
このプロジェクトの目的は、媒体社様と強固な関係値を築き、情報量や待遇面で他代理店と対等以上の状態にすることにありました。
これもなかなかハードでした。

多くの代理店では、メディア部署(運用部署)があり、その中にいくつかチームがあり、それぞれのチームで各媒体の窓口や社内推進などを行っているかと思います。

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一方、メディアプロジェクトでは、限られたプロジェクトメンバーで多くの媒体を横断してやる必要があったので、かなり大変でした。

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このプロジェクトを主幹で進めていたわけなのですが、どういうことを行っていたのか、簡単に記載をしておきます。

(1)メディアパートナー様との窓口業務
これは単純なコミュニケーション窓口業務です。
チャットや電話、定例会やQBRなどが該当する業務です。
運用部署の時はある程度役割分担して対応できていたので平気でしたが、プロジェクトになると人数が限られるので、この業務にかかる時間はかなり重くのしかかりました。
うまく分散できればよかったのですが、そのあたりがうまく調整できなかったのが反省点でした。
また、QBRの資料作りなども部署を横断して状況をヒアリングしたりしないといけなかったので、非常に大変でした。
(2)社内への情報展開
窓口業務をやっていると、たくさんの情報が入ってきます。
その情報を自チームだけでなく、会社全体に展開する必要がありました
特にバグなどのトラブル系は、すぐに社内に情報を流さないと傷口が広がってしまうので、迅速な対応が求められました。誤った情報や曖昧な情報を流すと困惑させてしまうので、その事実確認にも時間がかかりました。
通常の業務もある中で、この差し込み対応が入ってくるとかなりしんどかったです。
(3)インセンティブプランの交渉や策定
売上の大きさや推奨設定の導入率などによって、インセンティブを出してくれる媒体社様が何社かあります。
また基本的にはインセンティブ制度はないものの、売り上げを伸ばすために特別にプランを用意してもらうこともあります。
とくに特別プランのほうは、色んなパターンを作ってもらって試してみましたが、結局あまりうまくいきませんでした。
「もらえたらラッキー」という感じで、「インセンティブを獲得するために皆で協力してこの媒体を売っていこう」といったような行動につなげられるプランの策定は難しかったです。
もちろん代理店側の要望だけでなく、媒体社様側の目標や目的にも合わせたプランでないと意味がないので、その制約下での有効なプランは生み出せませんでしたが、そういったコミュニケーションの中で媒体社の方々がどういう思想でプロダクトを作っているのか、どのように使ってほしいのか、などを知ることができて個人的にすごく勉強になりました
(4)推奨設定の社内推進
これが一番力を入れた項目になります。
ちょうどこの時期は、運用のオートメーション化がめまぐるしく進んでいる時期で、媒体社様も推奨設定に則って運用をしてほしいということで、
代理店の評価に「推奨設定の導入率」が組み込まれ始めたタイミングでした。
GoogleのSearch HygieneやYahoo!のCore、Facebookの改善PJなど、機械学習を適切に活用してもらうための指標が各媒体で重要視されるようになりました。
「この組織改編の渦中で、本当にタイミングが悪いなぁ」と思いましたが、この推奨設定の導入率向上がメディアプロジェクトのメイントピックとなりました。
なぜメイントピックになったかというと、もともとの導入率がめちゃくちゃ低かったからです。
運用チームが部署ごとに分かれているため、情報の流通が分断され、新しい推奨設定に会社全体としてついていけていませんでした。
特に、Google、Yahoo!、Facebookの3媒体について導入率向上に向けてガッツリと取り組んでいくことにしました。
単純に「これを導入してください」と命令するのではなく、各媒体のプロジェクトメンバーと協議し、「なぜこの設定を入れる必要があるのか」というところから整理をして、資料に落とし込んだうえで展開をし、毎週各指標の導入率をウォッチしてアラート出しを繰り返しながら導入率を高めていきました。
これは本当にめちゃくちゃ大変でした。運用部署だった時はそこまで難しくはなかったのですが、こういう部署横断プロジェクトで推進していくのは、温度感が伝わりににくいので、本当に難しかったです。膨大な時間も費やしたこともあり、結果的にはうまくいきました。
Google:導入率40~50%→80%超(Google社に評価され、特別研修に招待して頂く)
Yahoo!:広告運用パートナーの認定を勝ち取る
Facebook:Facebookマーケティングパートナーの認定を勝ち取る
(5)外部PRの調整
社内向けの取り組みだけでなく、媒体社連携の観点から新規案件受注にも貢献するための社外PRもいくつか行いました。
媒体社様がPRしたい事例を作らない限りなかなか記事化にはつなげられないので、思うように数は増やせなかったのですが、いくつかリリースすることができました。(下記です)

こんな感じでメディアプロジェクトに関しては、ある一定の成果は出せた(と思っている)ので、苦しい苦しい6年目の中では一つ手応えを感じられた部分でした。


▼不調をどのように乗り越えたのか

メディアプロジェクトはうまくいきましたが、それ以外のうまくいっていなかった部分をどのように乗り越えたのか、そこについても触れておこうと思います。
結論この年の中ではあまり乗り越えられなかったのですが、死なずに翌年以降に望みをつなげることができた要因をいくつか記載しておきます。
同じ境遇で苦しんでいる方もいらっしゃると思いますので、その方々に微力ながら救いのヒントになれば幸いです。


(1)「反応しない練習」を読む

まずは少し軽めのものから紹介します。
知ってる方も多いと思いますが、『反応しない練習』という本を読みました。


それまではわりと順風満帆に進んできたので特になかったのですが、うまくいかなくなった時に「周りの目を気にしてしまう」という状態に陥りました。
周りの目や意見にビクビクしながら自分の仕事に集中できなくなっていました。
そんな時に藁にも縋る思いで読んだのが『反応しない練習』でした。
要約すると周りの視線や意見はアンコントローラブルで、そんなものに反応しても意味がなくて、自分自身がコントロールできる範囲のことにのみ集中することで、ストレスから解放されるというものです
私の場合はこの本を読んで、かなり心が楽になりました。オススメです。


(2)「辞める」というカードを手札に置いておく

頭痛に悩まされていた時、かなり「鬱」に近い状態だったと思います。
その時、鬱について色々調べたのですが、うつ病は発症するとか治るとかそういうイメージではなく、コップにどんどん水が注がれていって溢れるイメージが正しいそうです。
なので、「少し改善した=水が少し減る」 というイメージなので、溢れるリスクは依然として高い状態です。

何が言いたいかというと、「発症しなければOK」ではなく、「一刻も早く手を打たないといけない」と思ったということです。
どんどん水が注がれ続けている毎日を抜け出す方法を考えて、最初に出てきた答えが「会社を辞める」でした。
自分の体よりも大切なものはないと思い、私は「辞める」をいつでも出せるように手札に加えました。
結果的に自分の体を守るためという目的ではこのカードは使わなかったのですが、手札に加えただけでめちゃくちゃ気が楽になりました。


(3)いくつか捨てる

私はもともと完璧主義的なところがあり、全部の仕事を完璧にやろうとしてしまうところがありました。
ただ、本当に追い込まれて脱出不可能になりそうだった時に、いくつかの業務を捨てる決断をしました。
(1)と(2)のステップがあったから、捨てられたのだと思います。
いくつか捨てたことで、物理的にできないのに「頑張ります」といって結果的にできないよりも、
「すみません、これはできません!」と最初に割り切ってしまったほうが自分にとっても周囲にとってもハッピーになることがわかりました。
全力を出せば何事も乗り越えられると思っていたのですが、このタイミングでそうじゃないこともあると知れて、よかったなと思います。


(4)後輩Aさんの存在

私は人に弱音を吐いたり、泣き言を言ったりすることが苦手な性格です。
誰かに言ったとしても結局解決するのは自分なので、言っても意味がないと思っていました。その考えが変わるきっかけとなった話を少し回想させて頂きます。

私は引っ込み思案で自分の意見を主張をするのが少し苦手な新卒2年目のAさんのメンターをしていました。
Aさんは自分の意見を主張しないだけで、きちんと物事を深く考えていて、正しい行動ができる優秀なメンバーでした。
私はAさんと毎週必ず1on1をして、Aさんの心の奥に眠っている感情や意見を吸い上げることに努めていました。

ある時の1on1で私は自分に余裕がなく、Aさんの意見を吸い上げる前に「こういうアクションをしないとダメだよ」と頭ごなしに指示をしてしまいました。
その時Aさんは珍しく不満そうな表情をしました。その表情を見て私は「どうしたんだろう?」とすこし焦り、じっくり話を聞きました。
するとAさんはAさんなりにきちんと考えて、行動をしていたことがわかりました。

私はAさんに本当に申し訳ないことをしてしまったなという気持ちと同時に、Aさんがきちんと私の考えていることを理解してくれていることが知れて嬉しい気持ちになりました。
その時に、私自身が今悩んでいることについてつい話してしまいました。
「マネージャーが後輩に自分の仕事の悩みを話すなんて」と思われる方もいると思いますが、話した瞬間に私自身も同じことを思いました。
普通の後輩は「そんなこと言われても知らんよ」と思うところですが、Aさんはとても深く共感をしてくれました。

その瞬間に心の奥でつっかえていた巨大なモヤモヤがスッと消えた感覚がありました
なぜか突然泣きそうになったのを今でも鮮明に覚えています。(なんとか耐えました。)
それからは、1on1のタイミングでAさんの話をメインで聞きつつ、私も少し悩みを話す時間を貰うようになりました。
どんどん私の気持ちは軽くなっていき、どん底から脱出することができました。

Aさんには感謝の気持ちでいっぱいです。


▼6年目の学び

こんな感じで私は苦しい苦しい6年目の1年間を何とか乗り越えることができました。
もちろんスキルや経験が足りていなかったことが最も大きな原因なので、この経験を糧に自分の弱点を克服するための努力を続けております。
最後にまとめです。


▼リーダーとマネージャーの仕事はまるで違う
私なんかがマネジメントの話とかしちゃダメだと思うのですが、一個人の感想なのでご容赦ください。
リーダーはプレイヤーの延長でできましたが、マネージャーに求められるスキルはまるで別物だと思いました。
・人として信頼できる人間であること
・人の良いところを見つけて適材適所の役割分担ができること
・目標達成に向けて最善の決断をしなければならないこと
・時には厳しいこともきちんと伝えなければならないこと
など、本当に足りてないところばかりだなと感じました。現在進行形で感じています。
体力的にというよりは、精神的な強さが求められるシーンも多く、自分の弱さを痛感し続ける日々でした。
▼やれないことは「やれない」と言う
プレイヤーやリーダーであれば、自分=実行者であるので、「やります!」と言っても苦しむのは自分だけなので、まったく問題ありません。
一方マネージャーは、自分≠実行者なので、はりきって「やります!」と言うと実行をするメンバーが苦しむことになり、それをヘルプしようとして自分も苦しくなってしまう悪循環に入ります。
やれないことはきちんとやれないと言うべきですし、「やれない」と言うためには、「何をやるべきか」を明確に持っていなければなりません
世の中大半のことはトレードオフなので、やるべきことをやるために何かを捨てるのは致し方無いことですし、個人的にはそうすべきだと思います。
▼精神的ダメージ>>>身体的ダメージ
精神状態を健康に保つことが本当に重要だと実感しました。
モチベが高い状態であれば、残業が多くても不思議と平気ですが、
ストレスフルな環境だと1日8時間でもかなり辛いです。
自分の精神の健康を維持するのはもちろんのこと、組織で大きな成果を出すためには、皆がモチベ高く働ける環境を作ることも最優先で大切なことだと感じました。
精神に強い負荷がかかっているときは、くれぐれも無理せず、自分がストレスフルであることを伝え、早めに十分な休息をとるようにしましょう。


▼さいごに

いかがだったでしょうか?

今でこそ笑い話ですが、当時はなかなか辛くて冷静に自分を見ることも難しい状況でした。

前編をアップした際に想像以上に多くの方から共感のお声を頂きました。参考になるかはわかりませんが、少しでもこのnoteが救いになれば幸いです。

コップの水を溜める日々ではなく、コップの水を減らす日々を送っていきましょう!

次回はラストの7年目です!ぜひお楽しみに!!


それでは!

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