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ドア

猫のかゑでです。今朝早く、一階のダンススタジオのドアが開いてたのでこっそり入ってみました。帰ろうと思ったらドアが閉まっていました。ドアを叩いたけど、家人は気づいてくれませんでした。ひとまずかゑでは寝ることにしました。床がひんやり気持ちよくて、よく寝れました。そのあとお腹が空いたので、ご飯の場所に行きたかったのですが、ドアが閉まってて行けませんでした。かゑではまた寝ることにしました。そしたら今度はうんちをしたくなりました。トイレの場所は階段をたくさん上がってテッペンのお部屋、ここからはとっても遠い三階にあります。がんばってドアを叩いたけど、家人は気づいてくれませんでした。かゑでのがんばりが足りないと思いました。かゑでは今までで一番がんばってドアを叩きました。諦めないで叩きました。やっぱり家人は気づいてくれませんでした。そうこうしているうちにかゑでのうんちはどんどん外に出たがりました。かゑでも外に出たいから、うんちの気持ちがわかりました。もしかゑでがここから一生外に出れなくても、うんちは外に出してあげたい、と思いました。かゑでがここで死んだとしても、うんちには生きていてほしいと思いました。その方がかゑではスッキリすると思いました。それで、かゑでは、うんちを出してあげるために、がんばってトイレを探しました。もしかしたら一階にもトイレがあるかもしれないと思って探しました。すると、なんと、すぐ目の前に、トイレみたいなものがありました。取っ手の付いた大きな入れ物です。中に砂は入ってないけど、小さなタオルが入っています。これはダンサーたちが、床をいい子いい子するときに使っています。かゑでは、匂いを嗅いでみました。そしたらこの部屋の中でこれが一番トイレに近いとわかりました。かゑではいっぱい考えて決心しました。ここにうんちを出そうと。かゑではドキドキしながら、生まれて初めて、トイレじゃないところ、入れ物の中にうんちを出しました。きっと後悔しないと思いました。うんちもそう思ったのかすごくいっぱい出ました。でも砂がないので隠せませんでした。やっぱり家人を呼ばなければなりません。隠せないうんちを見ながら、かゑでは「出れてよかったね」って思いました。そして、うんちを見ているうちに、かゑでもうんちみたいに「出たい」と思いました。そして、かゑでは、うんちの願いも叶ったからかゑでの願いも叶う、と信じて、今までで一番強くドアを叩きました。そのときです。遠くから家人の声がしました。「かゑで〜!?どこー!?もしかしてどっか入って出れなくなっちゃってる?」家人が一階に降りてくる音がしました。やっと助かる!やっと出れる!やっとご飯が食べられる!かゑでの願いが叶う!そう思いました。その時です。家人は一階の収納庫をあけて「かゑで!出ておいで!」と叫び始めました。そこじゃない、って思いました。かゑでは「ここなんだけど〜」って言いました。でも家人の声が大きすぎて、かゑでの声は届きません。家人は収納庫の中身を出し始めて「かゑでー!どこー?こっちだよー!出ておいで〜」と叫び続けています。あと少しのところで悔しいです。かゑでは今までで一番強く、体当たりしてドアを叩きました。全身全霊で「ここにいる!」と訴えました。すると、ようやく、家人は気づきました。訴えが通じて、ドアが開きました。かゑでは嬉しくて外に飛び出しました。かゑでの願いが叶いました。家人に再会できた時、これでご飯が食べられる、生きていける、と安心しました。かゑでは家人がハグをしてくれると思いました。でも家人はハグをしませんでした。その代わりかゑでのうんちを見てすごく笑いました。家人はうんちを見て笑うことはないのに、今日のうんちは面白いみたいです。それで周りの床をいい子いい子して、うんちを出した入れ物を泡泡でいい匂いにしました。かゑではそれをずっと見て待ちました。早くご飯が食べたいから、早くしてほしいと思いました。床のいい子いい子のあと、かゑでもやっといい子いい子されました。ちょっとゴシゴシされてそれはいい子いい子とは違って嫌でした。家人はご飯をいっぱい出してくれました。願いは訴えないと叶わないとわかりました。


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