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詩ことばの森㊵「雨の窓辺に」

秋の雨音は、静寂さが増すようです。涼しさのうちに、季節の深まりを感じます。時の過ぎるのがはやく感じられるのも、寂しさを思わせるのかもしれません。秋という季節には、忘れていた昔のことを、思い出させてくれるような効果があるのでしょうか。

雨の窓辺に

たった それだけのことだった
わずかなことばの ゆきちがい
それだけの できごとをなぜか
思い出したりする 雨の窓辺に

たった ひとりの部屋にいて
わずかな心の すきまをみつめ
あのひとは どうしているのだろう
すがたのみえない 雨の窓辺に

風が木の葉をゆらすたび
雫のしたたり落ちる音
しばらく 僕は
かなしみのなかにいるだろう
この雨の やむときまで

         森 雪拾




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