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第8回 不衛生なトイレは感染症の温床になる

みなさん、おはようございます。
毎週月曜日の更新する災害時トイレの連載です。

先日、ABEMA Primeの「コンビニトイレは公衆化はアリ?」というコーナーに参加しました。
自治体の財政が厳しくなると公衆トイレの維持管理が大変になるので、公衆トイレの存続の危機が訪れます。これって、災害時にも影響するなあ、と感じています。

それはさておき、今回のテーマは「第8回 不衛生なトイレは感染症の温床になる」です。

個人や組織、地域のトイレの備えにつながることをできるだけ分かりやすくお届けできるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。

トイレでは同じところに触れる

トイレを使用する際、ほとんどの人が同じ場所を触れます。
例えば、ドアの取っ手、鍵、便座、便座のフタ、トイレットペーパーホルダー、洗浄レバー・ボタン、蛇口です。そのため、これらの部分が汚染されていた場合、ウイルスや細菌が人の手を介して伝播することになります。

もちろん、手が汚れるだけでは感染しませんが、私たちが思っている以上に、無意識に手で顔を触れます。

1時間当たりに手で顔を触れる回数は平均23回

ニューサウスウエールズ大学の医学生(合計26人)を対象にした調査では、1時間当たりの顔への接触回数は平均23回(範囲4〜153回)でした。この際に、目や口、鼻の粘膜を通じて感染することが危惧されます。ちなみに、粘膜部位の接触では、多い順に「口」「鼻」「目」でした。

合計26人の学生が観察され、240分間で顔に2,346回触れていた。そのうち56%(1,322/2,346)は顔の粘膜以外の部位に触れ、44%(1,024/2,346)は粘膜部に触れていた。
1,322回の顔の粘膜以外の部位への接触では、あごが31%と最も多く、次いで頬が29%、髪28%、首8%、耳4%であった。
1,024回の顔の粘膜部位接触では、口が36%と多く、鼻が31%、目が27%、複数の粘膜部位が6%であった。26人の学生の1時間当たりの顔への接触回数は平均23回(範囲4〜153回)で、平均接触時間は口が2秒(範囲1〜12秒)、鼻が1秒(範囲1〜10秒),目が1秒(範囲1〜5秒)であった。

医療関連感染情報季刊誌より
顔への接触:手指衛生と関係する頻繁な習慣
Kwok YLA, Gralton J, McLaws ML
Face touching:A frequent habit that has implications for hand hygiene.
Am J Infect Control 2015;43:112-114.

避難所の約4割のトイレで汚物処理できず

東日本大震災に関する記事(共同通信、2011年3月31日付)によると、石巻赤十字病院などの調査で、津波被害のあった石巻市および東松島市、女川町にある公立学校や公民館など、計272か所の避難所のうち約4割のトイレで汚物処理が十分にできず、少なくとも約50人に下痢、約20人におう吐の症状が発生したことが分かりました。
感染症予防の観点からもトイレを衛生的に保つことは非常に重要です。

つまり、手洗いやトイレ掃除が十分に出来ない状態で、不特定多数の人が不衛生なトイレを使用し続けることは、ウイルス感染症や感染性胃腸炎等に罹患するリスクを高め、集団感染を引き起こすことにつながってしまうのです。

当たり前ではありますが、トイレ後の手洗いは大事です。あと、トイレでは顔を触らないようにすることも必要だと思います。
皆さん、気をつけてくださいねー。

おまけ

youtubeでは、トイレットペーパーで拭いた手がどのくらい汚れているか、ということを説明しましたので、参考にしてください。
下痢のときは、袖をまくった方がいいですね。。。



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