「ゾルトラーク(zoltraak)」の妙。

「葬送のフリーレン」はBGMがケルト風味。ヨーロッパのちょっと古風な民族音楽って感じだ。時々迎える山場となる戦闘シーンでも、それは変わらない。

タイトルは「ゾルトラーク」というらしい。
アニメ人気で世界中で認知され、YouTubeにカバー演奏をアップしている人がいるお陰で、私も曲名を知った。

いいんだよな。ちょうどいい。でも何でだろう。
今は21世紀だ。シンセサイザーだってエレキギターだってあるし、デジタル多重録音もある。つまり、もし過激な音を追求するならば他にもっと色々な道具や素材が、誰でも手に入れられてそれなりに使える時代だ。
実際、昨年公開された映画スラムダンクのテーマ曲はB'zで、当然ながら歪んだギターが存分に活きた楽曲じゃないか。

なのに、「葬送のフリーレン」で最も盛り上がるBGM「ゾルトラーク」は、恐らく19世紀以前の洋式と、小規模なアナログ楽器の演奏で、それで全然不満がないのは何故なんだろうな。考えると不思議だ。

昔のドラゴンボールとかはBGMどうだっけ。よく知らないや。
機動戦士ガンダムとかZだと、戦闘シーンBGMは、クラシックのオーケストラを基本に、シンセを少し足してた気がする(いや、エレキベースが多い)。ヤマトや999はクラシック風の重厚なオーケストラに女声をプラス。ハーロックやエメラルダスも、松本作品は大体そうかな。
マクロスはもう少し現代風のオケに、ギュインギュインのEギターを前に出した感じだった。
この辺はどれも、意識的に迫力を追求してると思う。

フリーレンは、感覚としては多分、小さな芝居小屋で武勇伝の再現を見せられているような、そんな感じが近いのかも知れない。舞台俳優じゃなくて、人形芝居や紙芝居でもいい。それだったら過剰な迫力は要らなくて、ギターだのドラムだの、ビッグバンドだのフルオーケストラだのはtoo much。重低音とか大音量とかは要らないから、勇者の冒険譚を聴いてワクワクする気持ちを、そっと盛り上げてくれれば充分。

だから「ゾルトラーク」は笛と太鼓と弦とコーラスで小規模に構成されている。
そんな風に設計されているのかなー、あのBGMは。推測だけど。

発想の転換で、それなら日本の民族的な音楽や、中国の同様な音楽にも、現代に活用できる可能性があるかもな。
日本の昔には、琵琶弾きが色んなお話を(フィクションもノンフィクションも)聴衆の前で弾き語りをするのが流行った時期があるそうだし、近代の映画でも、その手法を試した例が、確かあった。

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