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詩「太陽の餓獣」

  太陽の餓獣がじゅう

 血肉けつにくを浴び飽きた獣は地獄を出た。己だけを頼りに。
 世界を狩らなければ。確固たる意志を抱き、不敗の爪牙そうがを立てる。
 憤怒のおもむまま鏖殺おうさつす。引き千切り、叩き潰し、命をつ罪悪が、獣の心を揺さぶる。
 ――生きる。力ある者は、他者を統率する知恵者は、全に尽くさなければならない。
 ――殺す。力無き者は、他者をおとしめる愚者は、全の前に首を差し出さなければならない。
 身内から湧き出す感情は絡まり合い、自己を確立させた。
 周囲が愚者ならば、その暴虐に涙を流す者がれば、代わってでも報復を果たそう。
 周囲が知恵者ならば、その恩恵で世がみ渡れば、最後の報復を果たそう。
 確立した己が誤りであれば。その時には、しかるべき裁きが下るのだろう。
 いずれ、いずれ分かる。確信を貫いた先に。
 いずれにせよ、獣の意志は決まっていた。
 知恵者をおとしめ、愚者を殺し、己が理想を鳴り渡らせるまで殺し続ける。
 愚かな知恵者であると、自戒して。

2024.07.28. Procreateにて制作

  あとがき
 本作「蒼月の孤狼」は、noteに公開している小説「パラレルジョーカー」を元にした文章作品です。
 他の作品に興味を持たれた方は、小説や短編なども楽しんでいただけると幸いです。

  マガジン
小説「パラレルジョーカー」
https://note.com/unmetal968/m/mb7a613c9dd02

短編
https://note.com/unmetal968/m/mec91a59c594e

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