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【展示会報告】スーパーマーケット・トレードショー2020訪問レポート

2020年2月12日から14日の3日間開催された「スーパーマーケット・トレードショー2020」を訪問しましたのでそのレポートをしようと思います。展示内容を見るとそのほとんどが食品系で一見無人店舗とは関係なさそうですが、冷蔵ショーケースなどの什器設備の展示もある関係で、実はリテールテックジャパンより実践的な無人販売の什器を見られることもあるというある意味穴場的な展示会です。

今回はその展示会から興味深かった企業さんのブースについて触れていこうと思います。

■パナソニック

最初にご紹介するのはパナソニックさんです。雰囲気的に大型家電ショップみたいな感じの中で冷蔵ショーケースなどの一般什器を中心とした展示をされておりましたが、無人販売系については関西空港で実証実験をやっていた2つの無人販売機の実機を展示されていました。それぞれ「ロッカータイプ」と「画像認識+重量センサータイプ」があります。

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ロッカータイプは、ありていに言えば「扉が透明な電子ロッカー」で、右側についている販売コンソールで商品を選択、QRコードで決済をすると扉が開く仕組み。もちろん各仕切り棚(自販機でいうコラム)はカバーが付いていて、指定された商品以外は取り出せない仕組みになっています。

仕切り棚の数が少ないため、なるべく単価が高い、もしくは複数個組み合わせたもの(例:お菓子のお土産を4個ぐらい袋に入れたもの)を販売するのに適しているそうです。関西空港では実際にお土産のまとめ買いに使われたようですね。

また、自販機と比べると仕切り棚が大きく自由が利くので、大型の商品だけではなく自販機で売りにくいもの(長細いものなど)も販売できるとのこと。意外と使い勝手は良さそうです。

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次に「画像+重量タイプ」ですが、棚の上の白いボードのようなものが重量センサーで、棚の下についている小さな白い箱が画像認識用カメラとなっており、これで商品の動きを検知するようになっています。こちらは予めデポジットを払っておき、デポジット額があれば扉が解錠、商品を取り出して扉を閉めると庫内をスキャンし、カメラの画像と重量の変化によって取り出した商品を判定した結果を販売コンソールに表示するというものです。その後、合っていれば購入ボタンを押下、間違っていればキャンセルを押して再度扉を開けるような仕組みとなっています。

こちらはロッカータイプと異なりより自由度が高い商品構成を行えますが、反面コストが高いことや、一旦閉めてから決済を確定させるという二度手間になることから、ちょっと使い勝手が悪い気がしました。特に、決済せずその場を誤って去ってしまうと、その人の決済で次の人が商品を買ってしまう可能性もあり、運用面で難しいところがある気がしました。

なお、いずれに製品も商用化については未定で、価格も決まっていないとのことでした。販売機の部材だけ考えても200~300万ぐらいするははずなので、どこまで落とせるのかに期待大ですね。

■富士電機

次にご紹介するのは富士電機さんです。展示内容も既存製品中心で、かつ展示されていた自販機もオールグレーと地味な(失礼)展示だったのですが、1つだけ面白い展示がありましたのでご紹介します。

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名前が「2WAY自販機」と言うことで、ぱっと見ると単なる物販自販機なのですが、排出口がなくベルトにおいてすらない商品もあって最初は「?」と言う感じだったのですが、

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裏側を見るとこんな感じに。そうなんです、実は先ほどの写真は店内側をイメージしており、店舗が開店している間はショーケースとして普通に利用、夜間などの店舗を閉めている時間帯は上段の搬出コラムを使って自動販売機として稼働させられるよう、店舗外側はサイネージ自販機になっているのです。自販機をショーケースと見立てた去年の展示に加えてのアイデアはとても面白いと思いましたが、想定するコンビニの店舗構造を考えるとちょっと難しい気もしました。駅のキオスクなんかだと丁度良いかもしれませんね。

■オカムラ

…?なぜオカムラさんが?と思った方もいらっしゃるかと思います。これまで無人・省人販売については全く出てこなかったオカムラさんですが、実はClassmethodさんと組んで無人販売システムの展示をされていました。

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写真撮影不可だったので遠くからの写真だけですが、写真中央の「Grab&Go」と書かれたところに体験できるデモを展示されています。なお、展示内容としては秋葉原店のそれがそのまま展示されておりましたので、気になる方は今からでも秋葉原店に行ってみるのが良いと思います。

今のところ国産で唯一外販している無人店舗システムなので、是非頑張っていただきたいものです。

■サンデン・リテールシステム

さて、トリを務めるのは昨年は身売りの話で盛り上がったサンデン・リテールシステムさんですが、展示会の内容はその気配を微塵も感じさせないほどの万全の体制だったと思います。

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最初に見たのはQRコード連動自販機。自販機本体は最新型の物販機なのですが、右側サイネージ画面の下にある光学式バーコードリーダーで決済できるのはもちろん、販促用QRコードをかざすと、自分が指定しなくても販促用商品が搬出されるという仕組みが付いているとのこと。

中段をディスプレイスペースにするアイデアも秀逸で、化粧品などのディスプレイが重要な商品を販促を含めて販売するには向いていると思いました。

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ちなみに2温度帯に区切ることができる自販機も展示されていました。一般的な物販機は冷蔵オンリーか常温オンリーかしか選べず、低温度帯を必要とする商品を常温商品と一緒に売ることが難しかったのですが、これを使うと簡単に解決できるとのことです。冷たいポテチが食べたくない人には朗報ですね。(^^;

《2020年2月23日追記》
書き忘れていたのですが、この2温度帯対応自販機、自販機なのに複数買いできる自販機でもあります。これまで1つ1つ購入するしかなかったものが複数個買えるようになることで、ショップ的な用途に使えそうですね。

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そして肝心要の無人販売ソリューションですが、去年のRFID無人販売機から一転、画像認識オンリーの無人店舗型ソリューションになっていました。

ショーケースの上部にあるカメラに社員証を模したカードをかざすことで商品購入を開始、最後は右側のレジスペースで再度カードをかざすと決済が完了するというもの。扉がある冷蔵ショーケースもあるのですが、扉を閉めても決済は走らず、誤って扉を閉めてしまってもまたカードをかざせば商品を度すことが可能とのことです。

本当はゲートを作って最後のレジ部分をAmazonGoっぽくしたいと話してましたが、構造的に簡素なため一般的な冷蔵ショーケースに取り付けることも可能になると考えると、低コストで簡単に夜間無人なんかができるようになるかもしれませんね。

■総評

去年の展示と比較すると実用性を重視するものに変わってきており、もうそろそろ商用として数が出てくるような気がしました。リテールテックジャパンでもまた新しいソリューションが出てくると考えると、今後が非常に楽しみですね。

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