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【展示会報告】スーパーマーケット・トレードショー2019における無人販売関連展示(総評)

自販機メーカー編POSレジメーカー他編を終えての総評ですが…。

スーパーマーケット・トレードショーはそもそもリテールテックと異なりIT/IoTの展示会ではないのですが、それでも去年と比較すると多くの無人販売系展示がされていたのは市場が盛り上がってきていることを各企業が敏感に感じ取っているからだと思います。リテールテックも2018の時はタブレットを使った無人レジがほとんどでしたので、それから1年足らずでここまで進歩するというのは技術って凄い!という感じです。

さて肝心の中身ですが、AmazonGoの影響を受けてなのか画像認識による無人店舗展示が3つもありました。富士電機さんと東芝テックさん(VAAKさん)はカメラのみ、サンデンさんはカメラ+重量センサーの組み合わせでのデモ展示で、これまで国内ではサインポストさん1強だった頃から考えるとバラエティが増えてます。

ただ展示内容や話を聞く限り、以前と比較すればかなり精度良く認識できるようになったものの、追跡できる人数が少なく(3名程度が限界だとのこと)一度認識がズレると直らない(顔で認識しているのではなく姿かたちで認識しているので)など課題はまだまだ残っているとのことで、もう少し時間がかかるような印象を受けました。サインポストさんの赤羽における実証実験も似たような感じだったので、少数台のカメラだと限界があるのでしょうね。

パナソニックさんとサンデンさんのショーケース型無人販売機ですが、いずれもRFIDを採用していました。使い捨てとなるICタグ自体や貼付けのコストなどはありますが、個品管理ができることが無人化では大きく寄与するとのことで現実を考えると他方式より一歩前に出てるのかな、と思います。イシダさんが重量センサーのデモ展示を行っており、中国のようにRFIDから重量センサーへ移行するかもしれませんが、日本の店舗における在庫管理レベルを考えると結構厳しく、どこに力点を置くかで使う技術が決まるような気がしました。

無人レジ系については着実にレジ周りの無人化を目指しているように見受けられました。ただ、こちらは従来の路線から外れずあくまでもレジ関連の無人化を前提としており、有人店舗が運営できるところに限られる(有人店舗の運営コストを抑える)ことが無人という観点からはちょっと残念だったところでしょうか。セミセルフレジは結構一般化してきているので、ここからどうフルセルフレジまで底上げできるかが鍵なのでしょうね。

そして個人的に面白かったのがサンデンさんとドコモさんのコンビ。サンデンさんがハードウェアでドコモさんがソフトウェアを担当するとのことでしたが、興味深いのはドコモさんが単に決済の部分だけではなく、ドコモ会員基盤と連動させて企業の壁を越えた購買分析をやるというところです。POSデータをどう使うかはリテール関係者の長年の悩みだったと思うのですが、それをドコモが仲介して匿名分析するという観点は他にはなく、具体的なイメージはあまりなかったものの上手く廻れば面白そうだな、と思いました。

…という感じで、リテールテックの前哨戦としては結構面白かったのではないでしょうか?展示会の趣旨が趣旨なのであまり期待していなかったのですが、期待を上回る収穫があって良かったです。この調子だと来年度は無人販売元年として競争が激しくなりそうですね。(了)


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