お誕生日ありがとう
毎年この日が近づくと、ママの心はザワザワ落ち着かなくなります。5年前の今日の日のことが、昨日のことのように鮮明に思い出されるから。
妊娠33週目。
妊婦健診で、「子宮頸管が短くなってきているから、安静に」と病院で言われ、午後出勤を取りやめ、そのまま産休に入りました。
おねえちゃんもいたから、家事や保育園のお迎えは、じいじやばあばに協力してもらい、自宅でゴロゴロしてたんだよね。 ちょっと前に買った渡辺俊美のお弁当本を読んだり、のんびりしてたよ。まあ、そんなことしかできなかったから。
でもね、ふと気づくと胎動が感じない? と思い始めた。気のせいかな? とも思ったんだけど、じいじの運転で病院へ行ったの。
いつもの診察室でエコーをあてて、先生におなかの様子を診てもらったら、「あ、、心臓が止まってますね。。」って、耳を疑うような言葉が聞こえてきた。
このときママはすごく冷静だったの。というより何も考えられなかったのかもしれない。
ここまで順調な妊婦生活で、そんなことあるわけないと思ったし、まさか最悪な事態が自分に降りかかるなんて思ってもいなかったから。
こういうときって、感情が湧いてこないってことを初めて知ったよ。どこかでまた、「あ、動き始めましたね、勘違いでした。」って言ってくれるんではないかと。
でも、じいじが、ばあばに「だめだった。。」って電話で伝えながら、人目をはばからず号泣してるのが聞こえてきて、私、とんでもないことをしてしまったんだってようやく現実として直面したよ。
息を引き取ったあなたをおなかの中に入れておくのは母子ともに良くないってことで、次の日、促進剤を打って分娩することになったんだよ。
そしたら、その夜、陣痛がおきた。等間隔に起きる陣痛。痛かったけど、ママはうれしかった。息を引き取ってもなお、あなたがおなかにいることを教えてくれたし、残りわずかな時間一緒にいることができたから。そして、あなたにママができることはないか必死に考えた。そこで浮かんだのが、あなたに名前をつけることだったの。
真っ暗な病室で、あなたのこと、これまでのこと、これからのこと、あなたと家族のことを思いながら、いつかまた会いたい、家族を天国から見守っててほしい、そんなことを思いながらふと舞い降りてきた名前は「くるみ」。
漢字は、未来という言葉をひっくり返して「来未」。ママの思いを体現する名前を分娩までにみつけることができて本当にうれしかった。
あなたを産んだときのこともね、鮮明に覚えてる。
ふつうの出産となんら変わりなく、子宮口が開き、陣痛に合わせていきんで、この世に出てきてくれたんだよ。ひとつ違うことは産声が聞こえないということだけ。
あなたは眠るようにきれいなお顔をしていたね。ママに会いにきてくれてありがとう。私のおなかの中に命を宿してくれて本当にありがとう。親孝行なあなたを生きて産んであげることができなくて本当にごめんなさい。
先生に「あなたが悪いわけではないんだよ。これが赤ちゃんの寿命だったんだよ」って言われたけど、おなかの中から、つらいよってサインを送ってくれていたのかな... それにママが気づいてあげられてなかったのかな...33週まできたら、生まれてくるのは当然って思ってた。ママがもっとしっかりしていたら、もっとあなたと注意深く対話できたんじゃないかって、後悔の念が拭えないよ。
あなたが身をもって教えてくれたこと。生きて生まれてくるってことは当たり前じゃない、それこそが奇跡だってこと。なのに、ともすれば日常の中でそれを忘れがちになるよ。。そんなときは「ちょっとママ!こらこら」って天国から叱って。
くるみの木のフレームに入ったあなたの小さな手型と足型。
病院で看護師さんに「手型と足型取りますか?」って言われたとき、なんて不謹慎な、そんなことしてあなたに失礼じゃないかって思った。でもパパが「お願いします」って言ってくれたことで、戸籍もないあなたが、この世に存在したことの証を持つことができたの。唯一あなたのことをいつでも目にできる大切な宝物。
台所でお皿を洗ってるとき、音楽を聴いているとき、特にあなたを思い出すんだ。小さい身体でひとりいってしまったんだって、涙が止まらなくなるときもある。抱きしめたくてたまらない。
今日はケーキと花束を買ってくるね。5本のろうそくは、あなたと出会った年月。
住む場所が違っても、家族であることは変わりはないから。どうか天国からパパ、ママ、ねえね、妹を温かくくるんで。未来でまっててね。
お誕生日、ありがとう。
記事になるような、おいしいコーヒーやめずらしい調味料を買います!