見出し画像

大学授業一歩前(第17講)

はじめに

大学授業一歩前第17講は、アカデミズムの入り口の担い手である、予備校講師(公民科)の中島智朗先生に記事作成をして頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。それでは第17講の時間です!!

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:予備校講師として、公民科(「倫理」「政治・経済」「現代社会」)の指導を行っています。公民科というと、高校生には抽象的な教科・科目と思われがちですが、実はとても身近な問題を扱っていることを理解してもらえるよう、具体的な例を出し、また、それぞれの用語などの間にある「つながり」が分かるよう、授業構成しています。私の『政治のキホン』『経済のキホン』(Amazon)も、それを意識して制作したものです。

オススメの過ごし方

Q:時間が多くある大学生活におすすめの過ごし方を教えてください。

A:ものを「考える」時間を、意識的に取ることをおすすめします。世の中の仕組み、どうすればより良い社会を形成できるのかを考える時間を大切に。そのために、先哲の思想を学んでほしい。プラトン、アリストテレスから、ニーチェやサルトルに至るまで、幅広く、興味がある本から手に取ってみましょう。彼らの思想が、現代の社会にどう活かされているのか、また活かすことができるのかを考えてもらえれば素敵だと思います。

大学生に求められる能力

Q:大学生に必須の能力とは何でしょうか?

A:先にも触れましたが、やはり「思考する」能力が、今後の世界では必要不可欠となるでしょう。AIの普及により、人間の生活は変化していきますが、「人間だからこそできる」のは「思考する」、そして「感覚を用いる」ということだと、私は考えています。「思考する」ことがベースにあって、はじめて「正しい感覚」も持つことができます。その「感覚」が、人間に特有のもので、社会形成に役立つものだと思います。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義とは?

A:「学び」は、「知的な冒険」。丸山眞男先生もおっしゃっていますが、自分の考え方を、いったん「相対化」、つまり自分の外から、自分の考え方を客観的に検証することに、学ぶことの意義があります。そのためには、他者の意見(「先哲」の思想を含む)を真摯に受けとめ、自分の考え方は、本当に正しいのだろうか。どこが誤っているのだろうかという検証を繰り返すことが、確固とした自己の「理念」の確立につながると考えます。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

A:マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)をおすすめします。世界で起こっている様々な問題や具体的で身近な事例を出しながら、それらを「先哲」の思想と結びつけ、サンデル先生が語っています。「正義」というと固い言葉に聞こえますが、主権者である我々が真剣に考えねばならない問題です。その入り口となる本で読みやすく、Amazon Kindle版もあるので、スマホやタブレットでも読めます。

メッセージ

Q:学生へのメッセージをお願いします。

A:青年期にあるみなさんは、エリクソンの言うように、「アイデンティティ」を確立していくことが課題です。その課題を達成するために、多くの他者と接するようにしてほしいと思います。ユビキタス社会が現実のものとなったいま、さまざまな他者と接する機会は、確実に増えているわけですから、さまざまな人々と「語る」。そんな時間が貴重なものとなり、自己の形成につながり、「大人」になっていくことができるでしょう。

おわりに

今回の講義は公民科講師の中島智朗先生でした。大変お忙しい中ご協力いただいてありがとうございます。重ねてお礼申し上げます。 まだ大学が始まらない中、読書などを通して、是非アカデミズムの入り口から、自分自身で一歩踏み出してみてください。もう皆さんの前にアカデミズムの扉は開いてますよ。次回の講義もお楽しみに!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?