「また来てくださいね」と言われて罪悪感を抱いた日
「ありがとうございました。また来てくださいね。」
帰省中にスタバに行ったある日、帰る時に店員さんが言ってくれた。
私だけ特別に声をかけたわけでは無く、接客の常套句なのだろう。
この言葉を真剣に受け止める人はそんなにいないと思う。
でも、帰省という状況下の私はこの言葉に少し違和感を覚えた。
「しばらくはもう来ないんだよね」と。
そして、罪悪感を抱いた。
私がまた行かなくてもそのスタバは他にお客さんがたくさんいて、今後も難なく続いていく。
なんなら、私はドリンク1杯で数時間居座るため、回転率悪化要因ですらあることはさておいて。
店員さんは私が帰省中なんてこと知らないし、翌日来ても来なくても、同じように営業するだけ。何も変わらない。
そう分かっていても、罪悪感を抱いてしまった。
この罪悪感はなんだろう。
初めて抱くタイプの罪悪感だったから、少し気になって考えてみた。
すると、生まれ育った地であるはずの地元にいると、私は自分が「異物」であると少なからず思っていることに気づいた。
生まれ育って、見覚えのある街の風景。
見覚えのある道、お店、スタバの風景。
でも、ここは私が居ていい場所なのか少し疑問に思う。
疑問に思うだけで、不安とかは無いのだけれど、少し引っかかる。
大学進学を機に地元を離れてから約4年半が経つ。
基本的にお盆と年末年始しか帰省しないから、帰省は年に2回。
お盆は1週間以上いるけど、年末年始にいたっては数日したらすぐ大学へ戻る。
2年生の頃は「帰ってきた〜〜」と思っていたけど、今年は旅行に来た気分も少しあった。
なんでだろう。なんで今回の帰省ではいつもと違う感覚に陥っているのだろう。
正体は「もう帰ってこないかもしれない」という思いだった。
そう、私は今年の年末年始は帰省する予定はなく、地元にある大学院に落ちて内部進学またはもう1つの志望校に合格したら、もう当分は帰ってこないと考えている自分がいた。
それが原因で今夏の帰省はいつもの「帰ってきた」感覚ではなく、旅行に来た感覚を覚えたのかもしれない。
スタバの店員さんに「また来てくださいね」と言われた時も、「もう来ないかもしれないんです。すみません。」と思った。
自意識過剰なのは分かっている。
でも、また来ることを期待されながら、私はそれに応えられない。
店員さんの善意に罪悪感を抱いてしまった。
小学4年生の夏、今の地元に引っ越して来た。
それ以降、ここで育った。小学校を卒業し、中学も高校も地元の公立校。
1度も県はおろか、市すら出たことはない。小学生の時に隣町へ転校したけども。
大学進学を契機に地元を離れ、一人暮らし。
見知らぬ土地だったはず。でも今は下宿先が我が家に感じられて、地元では私は「異物」となった。
もう当分は帰って来ないかもしれない。もちろん、気が変わって帰ってくる可能性も十分にある。
分からない。
さあ、将来どうしようかな。