神達に拾われた男

神達に拾われた男
Roy・小説家になろう
漫画…蘭々・スクウェア・エニックス ガンガンコミックスUP!
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わたくしの大好きな「なろう小説」作品です。上記の通り、メディアミックス展開をしている人気作品です。
以前に、

とんでもスキルで異世界放浪メシ
https://note.com/unisindo/n/na900f01317bf

や、

異世界居酒屋「のぶ」
https://note.com/unisindo/n/ndcdb7348aa64

を紹介しておりますが、連載は現在もオンラインで継続中。不定期ではありますが更新頻度も比較的順調な作品です。

▼小説家になろう 「神達に拾われた男」
https://ncode.syosetu.com/n5824ct/

書籍ではホビージャパンさんから今のところ9冊出ておりますね。
そしてなんとアニメになるようで…
https://kamihiro-anime.com/
なんてこった知らなかった!たーのーーしーーーみーーーー
ちょうど漫画が始まったときぐらいからコツコツおいかけている作品です。

こちら「なろう小説」ではおなじみの設定の「異世界転生もの」です。
現代日本でブラック企業勤めの格闘技系マッチョ社畜だった
「竹林竜馬(タケバヤシ・リョウマ)(39・独身サラリーマン)」
は、日々の過労がたたってくしゃみが原因で死亡してしまいます。
ところが別世界の神様の能力を以て、記憶・知識はそのままに、子供の姿で異世界転生。新たな人生を始めることになりました…と、大変標準的な「転生コース」を歩むのですが、竜馬(本編では表記が「リョウマ」)の人柄もあって神様たちにとても好かれているのと、本人の勤勉さを素地に置いたスライム研究&活用や、格闘技の腕前、前世のサラリーマンの知識等々でいわゆるチート展開となります。ところがそのままお気楽な流れだけではなく、お話を追うにつれて、実はリョウマの前世には謎があるのが判明してきて…と、通常の転生俺TUEEE展開からはちょっとひとひねりある面白さがわくわくを膨らませてくれます。
見た目が子供なのでまわりの大人が世話を焼いてくれようとするのですが、当人は中身大人なのでそれらの大人の大半よりよほど有能で年上だったりするし、前世が不遇すぎたこともあって、そういった他人の親切に彼は非常に戸惑います。
ただ、元々の人生が不遇すぎがゆえに、まわりの優しさに強く遠慮してしまいつつも、ちょっとずつ甘えることも覚えてきて…と、人生に疲れている大人にも優しいお話かと思います。そうだよそうだよ、大人だって誰かに優しくされたら嬉しいよね。そしてその受け取り方ってなかなか難しいよね、と、うんうんうなずきながら読み進めること請け合いです。
もちろんですが少年少女読者にしてみたらコナンくんスタイルといいますか、中身は大人ですが見た目は子供なので、活躍時の爽快感が強いんですね。たくさんのスライムを操って、多くのピンチや事件解決、てなものです。そこは単純に読み物としても楽しいので、バランスのいい作品です。

転生の際にリョウマを招き寄せた神様陣も、
「せっかくだしちょっと人生を楽しみなよ」
と、魔法の適正や異世界での家族設定を細かく整えてくれるなど、大変協力的です。リョウマもそれに奢ることなく、研鑽を積み、周りを助け、商売を始め、などとんとん拍子に有名人人生を歩むことになります。
リョウマには技術があり知識があり勤勉さがあり、転生することで若く健康な体とたくさんの時間を手に入れることが出来ました。なので、新たな人生が前世とは違って大きく充実したものになるのですが、彼は恵まれた環境にいまひとつ馴染めず…といった点から、直近のお話ではリョウマの内面や運命にあたる点の謎解きが行われている最中です。ただ、本人にしてみたら「真面目に一生懸命生きているだけ」とも言えます。そこも重すぎなくてすいすい読める本作の美点です。

わたくし、なろうの連載も書籍も漫画も購読している身なのですが、この作品のなにがどう面白いのかと説明するとなると、実は挙げるのが難しかったりするのです。不遇だった人物が恵まれるのが読んでいて嬉しいのか、子供が幸せを掴むのが嬉しいのか、技術や知識をもってのし上がるのが楽しいのか…
先の「とんでもスキル~」で言うとムコーダさんにフェルがいるように、リョウマにはこいつが!といった相棒がいるわけではなかったりします。スライムはいっぱい使役してますが、固定のネームド、しゃべる相棒がいるわけではないですしね。そういう意味ではリョウマは開始時からずっと「孤独」なままなんです。それこそがまわりにいる多くの人物らがリョウマに対して懸念を持つ点でもあるので、中身は40ほどの大人だとしても、これはリョウマの成長物語なのかと思います。
見た目は子供ですが中身は大人で、でもその大人が殻を破る物語だと思うと、テーマとしてはなかなか難しいことをしていますね。
その重さ、深刻さを強く感じさせない点が、この作品の良いところかと思います。アニメのコピーも「スローライフ・ファンタジー」ですし、そんなゆったりした気構えで楽しむのがこの作品には合っているのかもしれません。

文体は大変わかりやすく読みやすいですし、コミックも作品に合った優しくかわいらしい絵柄で、どこから入っても存分に楽しめると思います。作品によっては漫画では省略されすぎてしまってたり、などもありますが、キレイにマッチングした良作揃いかと思います。
元が社畜なせいもあって、リョウマの活動を追ってると
「アクティブすぎやん…」
と驚くほどですが、能力にマッチした好きなことを好きなだけしていいとなるとこうなるよねわかるわかる、と、そのアクティブさが読者の「達成感」も満たしてくれて、そここそがこの作品の魅力かもしれないですね。リョウマのタスク完了が、読者にとっても「ひと仕事終えた!」になるのかもと思います。なるほどそりゃ読んじゃうね!

当たり前のことなのですが、日頃社会生活を送っていて、この作品の展開のように
「なんにでも適正がある」
わけではないのが大半の人間かと思います。そういう意味では正しく異世界転生もので、魔法を使える点以外でも「夢を叶えることの出来る世界」だなあと読んでいて思うわけですね。そここそが人気の秘訣かもしれませんね。

ということで、ちょっと何か始めてみたいとか、大人だけど子供に戻ってうまい人生を歩み直してみたいとか、気軽に達成感・爽快感を味わいたいという方などはぜひぜひな作品です。子供リョウマくんかわいいしね。がんばれリョウマくん。ぜひ幸せになっていただきたい。完結が楽しみな作品です。

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