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はじめての帰省

今回私は初めて「帰省」というものをした。

今まで25年間実家暮らしだった私には縁のなかった、実はちょっと憧れていた「帰省」

上京してから5ヵ月ぶりに、私より2年早く上京した弟と共に私の地元、広島県呉市に帰省した。

最終の新幹線だったので家に着いたのは深夜だったが、家に着くなり寝ていた92歳の祖母が起きて出迎えてくれた。
私と弟を見るなり「よく帰ってきてくれたね、ありがとう、ありがとう」と何度も言ってくれた。
満面の笑みだったが、目には涙を浮かべていた。
それを見ると彼女が生きている内に、私の全てを掛けて会いに行かなければならないと思う。

次の日、祖母の故郷である瀬戸内海の小さな島に墓参りに行った。
私の実家がある呉市からは車で約25分くらいだ。
小さい頃から年に4回くらいこの島に墓参りや海水浴に来た。

まるで無限かのように広がる海、水色の空、鮮やかな緑色の山々、瀬戸内海の島と島を繋ぐ真っ白で大きな橋。
私はこの景色が大好きだ。

この島は広島の中でも田舎だ。
海にはいくつかの漁船が停まっているし、鮮やかなオレンジ色のミカンを付けた木を見ればここの人達が何を生業にしているかは一目瞭然だ。

マンションはもちろんアパートも、ビルもない。
買い物できる場所は業務用スーパーが1つ。
後は小さい売店のような道の駅がある。
そういえばコンビニもなかった。

だからこそ、より自然が壮大に感じる。
それでいて人間や街はちっぽけだと思わされる。
真っ直ぐで美しい自然豊かなこの景色に、全身を包み込まれた感じさえするのだ。

私はこの景色に囲まれて育ち、「私」になった。
ここでなければ「私」になっていないかもしれない。
そんな気さえする。
いや、初めて愛する土地を離れてそう確信した。

私が生まれた事、ここで育った事、今まであった大きな事や些細な事も全てに意味があり、今の私に繋がっている。
きっとこれからも私は生きていく。
その事に意味があり、「生きる」ことは当たり前のようで、この世で一番大切なんだと感じる。

きっと私はこれからの人生の中で、嬉しい事や辛い事があれば、この美しく愛しい景色を思い出す。
また、私が迷えば背中を押してくれるだろう。

そして死ぬ時もきっと、この景色を思い出し、
この愛する土地の事を想うのだろう。


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