【ユーザーボイス】⑧ヒーローインタビュー&次世代公務員研修:東広島市役所様
「公務員のメンタル不調は民間の4倍」というデータが出ている通り、業務の複雑さや人員不足など、現代の公務員をとりまく環境は厳しくなっています。
そこで、公務員の皆さんがこれまでやってきたことや自分の強みに改めて光を当てながら、自己肯定感を高め、そしてアクションにつなげて行けるような次世代公務員研修パッケージを東広島市役所様で行いました。
ヒーロインタビュー&ユニクルカードとは
「ヒーローインタビュー」は、お客様の人生を1on1インタビュー2時間でお伺いし、その歴史を全肯定することで、自己肯定感を育むサービスです。
インタビュー後には、専門チームが価値観・将来の夢・得意なこと、エピソードを分析し、個性的な自己紹介カード「ユニクルカード」を作成!
カードを相手に配ることで、興味を引き、面白がってもらい、結果としてインタビューで高まった自己肯定感を長く高く保つことができます。
出会いのきっかけ
For Ideal Japanさんが毎月開催している自治体xスタートアップのオンラインプレゼンイベントで東広島市役所の担当者様と「CONNECT」しました。
(プレゼン後に興味のある自治体の方はZoom上で「CONNECT」の札を上げ、その場で面談相手が決まる面白いイベントです)
その後、東広島市役所の担当者の方から「職員課の人を紹介しますね!」とつないで頂いたことが今回の研修のきっかけでした。
こうやってスタートアップ担当職員の方が庁内の関連部署へとつないで下さると本当に嬉しいですね。いつもありがとうございます。
では、ここからは各サービスの概要と、お客様の声を紹介していきます。
①「令和の信頼ベースリーダーシップ」
こちらは、ユニクル代表の高野が海外プラント建設プロジェクトに15年かかわってきたなかで学んだ、「組織が上手く回るリーダーシップ」を理論と実践でお伝えしていく研修です。
これまでに多くの企業様だけでなく、東京大学や慶應義塾大学等でも実施している弊社で一番人気のあるテーマです。
研修後の職員アンケートでは
「殺伐とした対応が多い職場で働いているので、今回受けた研修を活かして、職場の同僚と、褒め合える肯定感の高い職場を築いていきたい」
「この研修は女性管理職を増やすことや、望まないステップアップをすることで感じる不安の解消、理想と現実のギャップ解消にも役立つと感じました」
と、多くの方から高評価を頂いた一方で、
「自分だけ褒める技術を使っても浮いてしまう懸念があります。もっと上位の管理職の研修としても取り入れて欲しい」
という声も頂きました。こちらは要改善です。
②ヒーローインタビュー&ユニクルカード
ヒーローインタビューは合計18名の東広島市役所の方々に、オンラインで個別に行いました。
ともすれば、埋もれてしまいがちな入庁時の夢や、人生で心が震えた瞬間などを思い出して頂きながら、今の仕事の意味や楽しさなどを一緒に見つける2時間。
インタビューがはじまってすぐは、職員の方々も緊張した雰囲気でしたが、高校の文化祭の話や、入庁を決めた話、20代の苦労話などをするうちに、どんどん表情も明るくなっていくのが印象的でした。
「2時間は長いかな?話すことなんかないよ?と最初は思いましたが、あっというまに終わった楽しい2時間でした、ありがとうございます!」
「こんなにも自分のことを話す機会はありませんでしたが、案外自分の人生も悪くないと思いました!」
「インタビュアーの方が楽しそうに自分の話を聴いてくれるので、安心して話すことができて、心をもみほぐしてもらったような時間でした」
と多くの方にご満足頂けました!
そして、インタビュー後一か月ほどでカードが完成し、カードを作った職員の方々全員で交換会を実施。
職場の同期も知らなかったスキルや、高校時代のエピソード、趣味など会場のあちこちで話が弾んでいました!
「最初は、渡すことが恥ずかしい気持ちもありましたが、”交換”であれば相手も持ってるので気軽に渡すことができました」
「話のきっかけになることがたくさん書いてあったので、どれも興味深く、家に帰ってからもじっくり読んでみたいです」
と、インタビューで上げた自分への自信(自己肯定感)が、カードを渡すことによって、またさらに強化されていく様子を見ることが出来ました。
(前回のユニクルカード交換会のレポートはコチラ)
③林琢己 元横浜市副市長による研修
リーダーの楽しさを知り、自分の強みに気づいてもらった最後には、林さんの波乱万丈キャリアから分析された令和のあるべき公務員の姿の提案です。
水戸黄門の様に先陣を切っていた時期、ある時地元の主婦の方々のチカラを目の当たりにして「協働」の凄さを知った時期、そして立場が上がっても協働のチカラで横浜を動かしてきた時期、を語ってもらいました。
人口増加の時代の地方公務員と、人口減少・技術進歩・価値観の変化が起きた現代の地方公務員では求められる姿が大きく異なります。
しかし個人の思いや、状況に違いがあり、ひとりひとりのライフワークバランスが尊重されるべき現代でも、一つの共通理想像があると考えます。
それは「能動型のフォロワー」になること。
フォロワー(支える人)として、地域住民との協働を推進しても良し、職場のリーダーを支えても良し、困ってる同僚を助けても良し。
いずれにせよ、地方公務員の方々が
・自発的にまずは自分の近くから改善をくりかえしていくこと
・窓口で待つだけでなく、住民との対話で一緒に地域作って行くこと
・異動などの変化も、自らのWILL(やりたいこと)との重なりを見つけながら成長を感じること
それにより、誰しもが有能感・自律感・関係性を保つことが出来、内発的動機を持って働くことで、常に強いメンタル状況で働くことが出来ます。
これが、現代に求められている地方公務員の姿の一つと考えます。
2時間の研修は一方的に話すだけでなく、立場をこえて議論もしてもらいながら、終始活気にあふれた状態で進めることができました。
また、本研修はインタビューをうけた18名に加えて部長クラスや、庁内の希望者にも参加して頂きました。
「大きな成果を出すことだけが称賛されることでもない。目の前の仕事を確実にこなすこと。その時に『もっといい方法はないか』と考え続ければ良いということを知れて、心が軽くなった」
「横浜市と東広島市で自治体としてのサイズや状況も違うけれど、地域の方々に対するアイデアや姿勢など取り入れてみたいことが多くあった」
「民間の方のお話を聞く機会は良くありますが、他自治体のお話を聞けることはめずらしく、内容もとても面白かった」
「自分だけでなく、部局長も一緒に聴けたのが良かった。同じ考えでこれからの仕事を進めて行ければ良い」
「『ミッションを大切にすると最後自分に充実感が返ってくる』『失敗・成功体験は両方糧になる』というお言葉がとても胸に響きました。自分の信念を大切に、先輩・同僚と共有・相談し、日々取り組みたいと思います」
林さん自身もユニクルカードを持っており、研修後は多くの方が林さんとユニクルカード交換をしながら、各自が思いをぶつけて良い議論が出来ていました。
「リスキリングのその前に」
今回の研修では、一般的な単発の研修とは異なり
・個人レベルでの動機付けを丁寧に行う
・理論と実例を学ぶ
このステップを取れたことが、多くの好評価の理由になっていると思います。
今後、リスキリングは多くの自治体にさらに必要なアクションとなってきますが、「リスキリングその前に」
・職員のやる気を上げる
・職員の個々人が目指す姿やありたい姿を言語化する
そういった取り組みが、いまのリスキリングの効果を2倍にも3倍にもしていくと考えます。
編集後記
元々は管理職の楽しさを伝えて欲しいという今回のオーダーでしたが、インタビューを通じて、そして林さんと研修資料を作る打ち合わせを通じて感じたことは(繰り返しにはなりますが)
「いま管理職になることだけが、全員のゴールではない」です。
もちろん、今回の研修で管理職になることに前向きになってくれた方々もいます。
ですが、家族の為、地域の為、未来の為、様々な価値観や夢野望がある中で、「時期が来た時に管理職としてリーダーシップを発揮する」。
その準備ができていれば良いと思いました。
リーダーシップを取る時期が来た人を、周囲が能動的なフォロワーとして支える。そういった強い組織が出来て行けば、現在地方行政が抱えている課題の多くが解決に向けて強力に進むことが出来ると信じています。
そして何より、日本に暮らす私たちが安心して生活できる基盤を作って下さってる全ての公務員の方々が、もっと今の仕事や自分自身に自信を持って、楽しんで働いてもらえればと思います。
そのお手伝いが出来るように今後とも頑張って行きます。
ユニクル株式会社
https://uniqle.co.jp
ライター:高野俊行
撮影:潤さん(ボランティア)