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中学生向けに企画をつくるとき、私が大切にしていること ~4年間の「未来人財育成塾」を振り返って~

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今回の「#深堀り!unicul」シリーズでは、
・Uniculのメンバーがどのような想いで活動しているのか
・コロナ渦でどのように活動を進めていきたいと考えているのか

その想いを深掘りして、じっくりとお伝えしていきます。
これらのnoteを通じて、Uniculの活動やメンバーの想いをより深く知っていただき、一人でも多くの方に活動を応援していただくきっかけとなればと考えています。

第二弾は「中学生向けに企画をつくるとき、私が大切にしていること
~4年間の「未来人財育成塾」を振り返って~ 」
というテーマで、Uniculで5年間様々な企画を中高生に届けてきた齋藤が想いを綴ります。

はじめに

こんにちは、Unicul Laboratoryの齋藤亮子(通称:あっこ)です!
Uniculの活動には、大学2年生になるタイミングで参加し、大学院2年生の今は5年目になります。

これまで未来人財育成塾(以下、未来人財)会津若松市グローバル人材育成事業といった、中高生を対象とした企画のプロジェクトリーダーや当日スタッフを務めてきました。

▼未来人財育成塾について

▼会津若松市グローバル人材育成事業について

中でも未来人財は2016年から4年連続で参加しており、特に思い入れの深い企画です。
つい先日は、「再!未来人財育成塾」と題し、当時中学生だった参加者と学生チューター(参加年度:2015年〜2019年)を集めた、いわば「未来人財の同窓会」をオンラインで開催しました…!

▼【開催報告】「再!未来人財育成塾」を開催しました

実は、Uniculでは未来人財の運営を行うまで高校生を対象とした企画がほとんどだったため、中学生向けのワークショップをつくる機会はあまりありませんでした。
そこで今回は、主に高校生向けの企画・ワークショップをつくることが多かった私が、中学生向けに企画をつくる時に大切にしていることやワークショップに乗せている想いについて、お話してみたいと思います!

プロジェクトリーダーを務めた2017年のプラチナ未来人財育成塾@柏
(前列中央が私です)

参加してくれる中学生はどんな子たち?

未来人財を通じて多くの中学生に出会ってきましたが、この企画に参加してくれる中学生は、参加理由を基準にして、大きく3つのタイプに分けられることが多いように思います。

①未来人財で何かを達成したいという明確な思いがあって参加した
②生徒会長や学級委員長などを務めていて、学校から推薦されて参加した
③先生や親に「行ってみたら?」と言われ、なんとなく参加してみた

という3つのタイプです。

参加理由は様々な彼らですが、大部分は「ワークショップ」や「大学生と関わる」、あるいは「将来や夢について考える」という経験はほとんどありません。

ただ、①のような何かを達成したいという明確な思いがある中学生、あるいは②のような生徒会長や学級委員長などを務めていて学校から推薦されてきた中学生は、多くの人とコミュニケーションをとる機会であったり、チームでリーダーシップを発揮するような機会がたくさんあります。
そのため、一旦参加者同士で打ち解けてしまえば、未来人財の中で行われるグループワークなど、期間中の様々な活動に馴染むのは早いと思います。

ですが、③に当てはまるような中学生からは、グループワークの最中に「なぜこんなことをするのか分からない」「グループワークの内容が難しくて分からない」という反応があることもしばしばです。
ときには、ワークが進むにつれ、他の参加者とは進度がどんどん異なっていってしまうこともあります。

参加してくれる中学生に共通すること

以上のように、大きく3つのタイプに分けられる参加者たちですが、その上で彼らに共通することもいくつかあります。

1つは、多くの中学生が「周りからどう見られているのか」「これで間違っていないのか」をすごく気にする、ということです。
とくに、何かを問いかけられると、必ず何か「正解」があるものとして考えてしまっていることが多い印象があります。未来人財に参加してくれる中学生は、真面目で日頃頑張っている子が多いからかもしれません。

もう1つは、大学生スタッフや他の参加者など、ほぼ初対面で素性の知れない人たちに対し、自己開示をしてくれるまでにものすごく時間のかかる中学生もいる、ということです。
中学生という、多感な時期にあるということも、影響しているのかもしれません。

中学生と高校生の違い

さて、そんな自分の経験から「中学生と高校生の違い」みたいな話もしてみたいと思います。

中学生と高校生の違い、という点では、

①「働く」「社会」「将来」ということに馴染みがない(自分事として捉えることが難しい)
②自分のアイデンティティを構成する要素が何であるかを知らない(自分をメタ認知するのが難しい)

の2つが思い浮かびました。

《これら2つは、もちろん高校生にも難しいことですし、また未来人財に参加するような中学生(何らかの意思があって参加する中学生)と学校の授業でワークショップを行う場合の中学生(自分の意思にかかわらず、授業だから参加する中学生)とでは、若干の違いがあると思います。》

①に関していえば、中学1年生からすれば、小学校を卒業してまだ1年も経っていません。新しい環境に慣れ親しむことに必死で、10年後の将来を真剣に考える機会はあまりないと思います。
また中学生となると、関わる大人たちは保護者や医者、先生や美容師といった専門職ばかりで、この社会を作る大人たちにどれだけの幅があるのかを知りません。
このような環境ですと「働く」「社会」「将来」といったことに親しみはないと思いますし、相当に遠い存在だと思います。

一方で高校生、とくに高校3年生ともなると、嫌でも進路について考えなくてはならないし、その中で「働く」「社会」「将来」といったことに触れることになります。
また高校1年生・2年生でも、文理選択などを通じて、将来についてなんとなくの方向性を考える機会はあると思います。

②に関していえば、中学生の段階では、自分自身に向き合う機会がなく「自分が何を好きで何が嫌いなのか」を言語化したことがない、自分が大切にしたいものや興味のあることが何であるかを知らないし、考えたこともない場合が多いと思います。
(ある意味、これも当たり前ですが)

一方で、高校生くらいになると、自分の「好き」や「嫌い」について表現できたり、あるいはこれだけは一生続けたいと思っているものが見えてきたり、「自分」という存在を構成しているものを、多少なりとも見つけられていると思っています。

ワークをつくる上で大切にしていること

さて、これまでにお話した通り、中学生と高校生では「働く」「社会」「将来」について考える機会や自分についての理解の段階が全く異なっています。

また、Uniculのワークショップは「思考レベルの高い高校生がちょっと考え込む」というレベル感のつくりになっているので、中学生には正直、難しいと思っています。

そのため、中学生にワークを行う際には、中学生が「少し頑張ると達成できる」くらいのレベルに毎回アレンジすることが多いです。

具体的には、ワークショップに参加してくれる中学生はどのような中学生か参加する前の現状を考え、そこからワークを通して最終的にどのようになってほしいのか、ゴールを考えます。
そこから、そのゴールを達成するためにはどういったワークが必要で、来てくれる中学生のレベルに合わせると、どこを変えていけばよいのかという点について議論をしながら、アレンジをしていきます。

もちろん、アレンジの仕方はケースバイケースではありますが、中学生向けにワークショップをアレンジするときに、共通して大切にしている点は、以下の2つです。

①とにかく楽しめること
ワークショップ全体や個別のワークに世界観をつけて、とにかく楽しめるコンテンツとするよう意識しています。

たとえば、自分がストーリーの一部になっているかのような楽しさ、折り紙を切ったり貼ったりして手も口も動かす楽しさ、競争心を書き立てるようなゲーム性のある楽しさ、いつの間にか最後には自分だけの成果物ができている(しかも見た目も綺麗な)楽しさ、などです。

いつも学校の授業では45~50分間机に張り付き、動けるのは実技教科系だけーーそのような彼らにとって、非日常的でありながらも、終わった時には自分のことや将来についてちょっと考えることができた、というワークをつくるよう、心がけています。

②ワークのレベル感を参加者に合わせて調節すること
本当にいろいろな中学生がいる中で、ワークショップの作業や学びの目標を、どのように時間内で達成させるのかを考えます。
具体的には、

(1) 将来や自分について明確な考えがある層
(2) 何となくの方向性はあるけどはっきりはしていない層
(3) 将来について考えることをあきらめてしまっている層

のどの層を念頭に置くのかを考えて、アレンジします。

例えば(2)の層の中学生にフォーカスするのであれば、
・(2)の中学生がちょっと頭を悩ませつつ達成感を持てるように設計し、
・(1)の中学生にはとっては簡単なので、⑵の中学生をサポートするような+αの仕組みを組み 込み、
・(3)の中学生については、ほとんどつきっきりでファシリテーションを行うことを前提に、万が一時間内に終わらなければ、別途個別に対応、という考えで、ワークをアレンジすることになります。

私が中学生と関わる上で大切にしている想い

私が中学生と関わる時に大切にしていることや、中学生に伝えたいと思っていることは、
「自分の「好き」を自信を持って好きと言える」
「何がベストな選択だったかは後になってみないと分からない」

の2つです。

前者は、とくに中学生に伝えたいと思っていることです。
はじめの方にも書きましたが、中学生というのは多感な時期です。
その中で自分と他人を比べてしまい、自分を押さえつけてしまうことが決してないように、という想いをワークに乗せています。

そして自分の「好き」に素直になってほしい、そこに恥ずかしいことなんて1つもないよ、という想いも一緒に乗せています。

逆に中学生に関わる時に気をつけているのは、
「まだ中学生と思わないこと」
「自分を表現する力はまだ成長途中であること」

の2つです。

前者は、「まだ15年しか生きていないのだから」とは思わずに、目の前にいる中学生も、ここに辿り着くまでにたくさんの経験をし、たくさん考えてきた1人の人間であると尊重することを意味しています。
一方で後者は、中学生は長くて15年を生きてきた中で体得してきた言葉でしか、物事を表現することができない、言い換えれば語彙力が少ないということです。

この2つは、まるで正反対のことを言っているように見えるかもしれませんが、私にとっては全く矛盾することではありません。
なぜなら、だからこそ、その言葉の中にどれだけの思いとバックグラウンドがあるのかを想像し尊重することが求められる、という点において共通しているからです。

最後に

ここまで、自分の経験をもとに、中学生と高校生の違いやワークショップに乗せる想いを書き連ねてきました。
完全に私の主観による内容ではありましたが笑、それでも読んでくださった皆様にとって、何か得られるものがあればいいなあ、と思います。

今年は残念ながらコロナの影響で未来人財も中止になってしまいましたが、「再!未来人財育成塾」で卒業生と再会した中で、参加者一人ひとりにとって未来人財という場が本当に大切な存在であると改めて感じることができ、とても嬉しく思いました。
これからも、一人でも多くの中学生・高校生にこのような企画を届けていきたいと思います。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!
またお会いしましょう!

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