見出し画像

伊那谷サマースクールを振り返る Part 2〜サマースクールの意義と課題〜

2019年8月5日(月) ・ 6日(火)に長野県上伊那郡(通称「伊那谷」地域)箕輪町にて、地域の高校生を対象にした「伊那谷サマースクール in みのわ 2019」をUnicul主催で開催しました。

noteでは2回に分けて、伊那谷サマースクールの裏側を公開しています。第一弾では準備から当日に至るまでの、運営スタッフのリアルな想いをお伝えしました!

前回の記事はこちら↓

第二弾は「伊那谷サマースクールの価値と課題」に焦点を当ててお話しします!

「伊那谷という地域で、Unicul Laboratoryの
キャリア教育プログラムを実施すること」

開催をご支援してくださった地域の方々をはじめ、当日まで奮闘してきたスタッフ、誰よりも意思を持って参加してくれた高校生にとって、その時間にはどんな意味があったのでしょうか?

私たちスタッフが感じたことを中心に、伊那谷サマースクールの価値と課題を書き起こしていきたいと思います!私たちは、伊那谷サマースクールの実施を単なる思い出にはしたくはありません。この記事から何かしら感じることがあったり、気づきがあったり、次に繋げることができれば幸いです。

実施内容は開催報告という形でこちらにまとめておりますので、合わせてご覧ください!

~サマースクールのコンセプト~

前提として、企画当初から私たちが大事にしていたのはこんな想いです。

伊那谷サマースクールのコンセプト
① 多様な人生を生きる大人に出逢い将来の可能性を広げる
② 誰とも比較できない「自分らしさ」に自信を持つ
③ 自分の「やりたい」に目を向け、「やりたいこと」に向かって歩む

これらを軸にしてワークショップをはじめとした企画運営に取り組んできました。

〜実際のサマースクールの価値〜

多くの人の想いが詰まって実現した伊那谷サマースクールでした。では当日、どんな価値が生まれたのでしょうか?

私たちが誰よりも価値を届けたい人は、参加者の高校生でした。
今回参加してくれた高校生は11名。

この二日間には、他者の価値観を掘り下げたり、自分の過去を振り返ったり、ありたい姿を絵で表現したり...様々なワークショップが盛り込まれていました。しかしこのように体験したものが同じでも、受け取り方は個人によって違います。すべての人に等しい気づきや学びが生まれたとは思っていません。11名にそれぞれ、色は違えど何かしら得られたものはあるのでは と感じています。

エンディングの際には、感想の共有を行いました。
「一番印象に残ったワークショップは?」という問いに対して、見事にバラバラに、異なるワークショップを選択し、思い思いの感想を話していたのがそれを示していました。

・自分のやりたいことを見つけるのに一番悩んだ
・ゲストの人生の話から、自分が思いつかないような考えを知った
・自分について、楽しみながら考えることができた

自分が印象に残ったことを自分の言葉で語ることができたのは、
高校生一人一人がしっかりと考え抜いた証拠です。

・普段出逢えない大人に出逢い、多様な人生に触れ、新しい価値観に出逢った人
・無条件に相手に向き合う大学生チューターに心を開いた人
・自分ってこんな人間なんだ、と初めて思考して気づいた人
・やりたいことがない...という悩みにぶつかってもやもやした人
・自分の夢を深めた先に次なる一歩が見えてきた人

あくまで高校生本人が気づいたこと、感じたこと、それが最も尊重すべき価値なのではないかと思っています。そこに間違いはなく、正解もありません。ただ、すべての画一的なメッセージよりも、一人一人が2日間を通じて心が動いた瞬間を持っていること。その事実・その瞬間が大事なのだと思います。

最後に、高校生の一人が
" また来年も来てください "
そう伝えてくれました。

「今回参加して良かった」と思ってくれていること。同時に、来年もサマースクールをやるとすれば、繰り返し同じワークをすることにも意義を見出していること。その言葉に、そんな意味を考えました。

軽く出てきた言葉かもしれません。それでも、私たちがこれまで考えてきたこと・高校生に届けたい価値のそれぞれが「伝わった」と信じられる、あたたかい言葉でした。

〜残るサマースクールの課題〜

一方で、課題は多く残ります。集客からプログラムづくりまでの怒涛のスケジュール、より良いプログラムにするための度重なる変更やトラブルへの対応、ファシリテーターとしてのあり方、行き詰まった際のコミュニケーションの取り方など。挙げればキリがありません...!

なかでも運営上もっとも苦労した課題は、参加者の募集でした。これまで地域の方々のあたたかいご支援を得て、参加者を募るために様々なアプローチをしてきました。

塾の先生にご協力いただいて塾の卒業生に声をかけたり、高校の先生にご協力いただいて、高校2年生240人を対象としたワークショップ体験会や説明会を開催しました。また、希望制で少人数の座談会を開いたり、保護者の方向けのオンライン説明会を企画したり...(残念ながら参加者はゼロでしたが笑)

できることはとにかく何でも行ってきました。
説明会の様子は地元メディアでも報道していただき、結果として多くの人に存在を認知してもらえたのではないかと思います。

しかし、肝心の参加者の数は伸び悩みました。参加できない理由として、「部活」をあげる高校生が目立ちました。確かに、自分が高校生で、部活を一生懸命やっていたとしたら、「将来のことを考えよう」と言われても、目の前の部活の練習を優先していたような気もします。夏休みの2日間を割くほどの価値は見いだせなかったかもしれません。

「自分らしさ」「可能性」「やりたいこと」
これらのキーワードは抽象的で、概念的です。
何か明確な変化の指標があるわけでもありません。

こうしたイメージから、プログラムを受ける前から「こんな力が得られる!」というものを確信するのも難しいと思います。だからこそ「キャリア教育」は、はたから見たら”よくわからないもの”(受験勉強や部活以上に)”優先度の低いもの”と捉えられるのかもしれません。一概には言えませんが、その捉え方の背景には、これまで彼らが受けてきた「キャリア教育」のイメージが少なからず影響しているとも考えられます。

何より、私たちの力不足で十分に魅力ある企画に至らなかったことや、
”参加しよう!”と思ってもらうことに至らなかった情報発信、総じて上記のような考え方に直接働きかけられなかったこと。

これらは今回の反省点としてしっかりと受け止めたいと思います。
その上で今後は「キャリア教育」そのものの価値を感じてもらえるような企画づくりを、さらには「キャリア教育」「自分のキャリアを考える機会」が日常に浸透する存在となるよう、働きかけていきたいです。

〜さいごに〜

観点を絞ってまとめさせていただきましたが、
伊那谷サマースクールを通じた反省は尽きないほどあります。
何時間にも及ぶ振り返りを今後に活かせるよう、
スタッフ共々真摯に活動に取り組んでゆきます。

また、反省は尽きない と書きましたが...
今回の参加者は昨年度の3倍以上でした。
アンケートを通じて、参加者本人や保護者の方々に
「参加して良かった」などの前向きな感想をいただきました。

地域の方々には「来年もぜひ」「感動しました」「素晴らしい実践」
などの有難いお言葉をいただきました。

「ああ、頑張ってきて良かった...!」
それらのリアクションを見て、初めて安心できたように思います。

私たち運営スタッフが最後まで(今も)たくさん悩みながら進めてきた企画を、笑顔で、無事に終えることができました。着実に、昨年度よりも前に進むことができたことは間違いありません。それも、より多くの方々の力をお借りしながら。

ご支援いただいた地域のみなさま
参加してくれた高校生
保護者のみなさま

何度言っても足りないくらい、ありがとうございました。

今後ともUnicul Laboratoryとして試行錯誤しながらも、より良い未来・社会のために、邁進してゆきます。

伊那谷サマースクールの振り返り記事は以上で終わりです。
二つの記事を通じて、運営スタッフやサマースクールの等身大の姿をお見せできたのではないかと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました🌻



いただいたサポートは、より多くの中学生・高校生に私たちのキャリア教育を届けるために活用させていただきます。ぜひ応援いただければ幸いです。