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【読書ノート】17「アメリカン・スパイ」ローレン・ウィルキンソン

作者はまだ30代の若手作家でありながら、自分と同じアフリカ系アメリカ人女性を主人公にした80年代の冷戦下における諜報活動を描いている。つまり自分が生まれたころの30年ほど以前の世界を知りえた情報を基に想像を駆使して描いているわけで、その試みが成功しているか否かはともかく、小説としては非常に斬新な試みではないだろうか。

時代と舞台は60年代幼少期(NY)、80年代のFBIでの諜報活動(NYとアフリカのブルキナファソ)、90年代の引退後(カリブのマルティニーク)の主に3つに4別れており、交互に話が展開していく。

諜報活動の中核はブルキナの若き大統領であるサンカラ(実在の人物)に対してアフリカ系女性である利点を活かしてハニートラップを仕掛けることで、舞台は主にNYとブルキナであり、当時の西アフリカの政治や歴史、CIAの干渉などが絡んできて読み応えがある。

(2021年4月10日)

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