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「息子の人生を変えた」自閉症の子ども向けの学習支援ロボットを開発するMOVIAロボティクス社

UNICAST Robotics

昨今、学習支援にまつわるテクノロジーは急速に普及しています。自宅で大学の授業が格安で受講できる「Coursera」、Netflixで複数言語の字幕を表示する言語学習支援ツールの「Language Reactor」等々......また、タブレットで動く文章読み上げアプリ等のツールはディスレクシア(文字の読み書きに困難さをもつ学習障害)を持つ方々の読み書きの支援にも使われているといいます。

最近筆者も「Speechify」という英文読み上げツールを使用し始め、その便利さに驚いています。目で読んでいると滑り落ちてしまうような英文も、読み上げてもらうだけで、読むスピードも上がりましたし、内容も劇的に理解しやすくなりました(こちらも元々はディスレクシアの方向けに開発されたツールだそうです)。

テクノロジーによる学習支援の分野では、ロボットも活躍の場を徐々に広げています。そんな中でも今回は、自閉症を抱える子どもへの学習・生活・対人関係育成支援ロボットを提供するMOVIAロボティクス社の取り組みを紹介します。

株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。このマガジンでは、海外の情報を中心に様々な社会課題の解決のために開発されたロボットを紹介しています。

また弊社では最新ロボットの導入支援も行っております!今回ご紹介した製品に興味がございましたら、お気軽にご相談ください。

2年間苦労していた歯磨きが利用開始2週間でスムーズにできるように

MOVIAロボティクス社は、家庭向け、学校向け、セラピスト向けといった三つの分野で自閉症を抱えた子どもの学習や生活、対人関係の育成を支援するロボットアプリを開発しています。アプリケーション開発が事業であるため、「Kebbi」や「Misty」といった複数のコミュニケーションロボットに対応しています。

▲Kebbiを家庭内で利用する様子

ロボットは計算や国語といったタスクを子どもと一緒にこなしたり、手洗いや就寝、学校への準備といった生活習慣を子どもへ教えたりすることができます。

MOVIAロボティクス社のロボットの利用にはどのような効果があるのでしょうか?

自閉症と診断された5歳の息子のJackくんの両親であるCherly氏とGary氏は、「ロボット・Kebbiは息子の人生を変えた」と語っています

購入から数週間以内にJackくんは、ロボットの声がけに従って、就寝をしたり、歯を磨くようになったとのこと。Kebbiの利用前は、ご両親がいくら声がけをしても中々従ってくれなかったそうです。また、今まではなかったご家族の言葉への反応が増えたことも大きな進歩だそうです。KebbiはJackくんの生活能力やコミュニケーション能力の向上に役立っていることに加え、ご両親にとっても大きな助けになっていると言います。

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▲「Kebbi」を使った学習 MOVIAロボティクス社公式サイトより

また、Kebbiは自閉スペクトラム症を持つ子ども向けのセラピーの場でも役立っているそうです。セラピストのRimmer氏は、自閉スペクトラム症と診断された患者とKebbiを利用しました。Kebbi利用前は、セラピーの効果はあまり見られず、手を洗うといった日常生活の指示に従うことができない、学校で集中することができない、といった課題があったそうです。しかしKebbiを用いて、手を洗う、服を着替える、授業で話を聞き、挙手をするといったロールプレイレッスンを受けると、これらの動作を自分で行えるようになったと言います。またKebbiと一緒に学んだことを、Kebbiなしでも学校で行えるようになり、彼女の母親はその変化にとても感動していると語っています。

MOVIAロボティクス社は上記2点の事例に加え、他にも10件以上の利用者の声の記事動画をWebサイトに掲載しています。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。

子どもを安心させ、両親の負担を軽減することのできるロボット

ロボットはなぜ自閉症と診断された子ども達の困りごとの改善に役立っているのでしょうか?MOVIAロボティクス社は、ロボットを使う利点を以下のように挙げています。

1. 情報の伝達方法を調整することができる

MOVIAロボティクス社のCEOであるBolat氏は、情報の伝え方を調整することができる点を子どもたちがロボットへ反応を返す第一の理由として挙げています。

ロボットであれば、その子どもに最適なボリュームに設定することができますし、また発話のペースも子どもに合ったものにすることができます。そして、一度設定すれば変わることはありませんし、また必要であればいつでも変更することができます。この調整できる点と持続性が、子どもたちに安心を提供できているのではないかと語っています。

2. ロボットは常にポジティブでフレンドリーな反応を返すことができる

ロボットは子どもが間違ったり、声かけに従わなかったとしても、常にポジティブな反応を返すことができます。ヒントを与えたり、他の方法を伝えたりという工夫もプログラム上でなされています。そして、同じタスクを何回もやり直すことができます。ロボットは怒ることも、疲れることもありません。

MOVIAロボティクス社は、これは子どもの不安を解消させることができるだけでなく、セラピストや両親のストレスを軽減させることができると主張しています。

3. データ収集により効率よく学習をすすめることができる

ロボットの強みは利用データを収集できることにあります。MOVIAロボティクス社のロボットも、子どもの学習や利用の記録を収集し、今後の学習プランの計画に役立てることができるといいます。MOVIAロボティクス社のロボットに搭載されたデータ収集は、米国の政府機関であるアメリカ食品医薬局の認定を受けたものだそうです。

4. 一定以上のクオリティが常に保証できる

MOVIAロボティクス社のロボットには200以上のすでにプログラムされたレッスンがあり、また3ヶ月に1回は新しいものが追加されていくと言います。そして、このレッスンは現役教師やセラピスト、研究者と共同で開発されているそうです。

また、Cheif Education OfficerのひとりであるParenti氏は同時に特別支援学校で校長を勤めていたり、カリキュラム作成部のトップであるO’Brien氏は特別支援教育でのキャリアがあったり、社員の中には自閉症の子どもを持つ方もいたり、と経験豊富なスタッフが揃っているようです。

初めて自閉症と診断されたお子さんを育てるご両親や、その子の担当をする教師にとって、すでに専門家によって作成されたプログラムを利用できるのは心強いかもしれません。

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▲「Nao」を使った学習  MOVIAロボティクス社公式サイトより

普及はこれから?自閉症と診断された子ども向けのロボットの今後

産業向けのロボットは昔からありますが、消費者向け・サービス向けのロボットはまだまだ普及の半ばです。 最近では、レストラン等での配膳ロボットの普及が進んでいますが、主体は経済力のあるチェーン店です。特別支援の現場でロボットが普及するのはもう少し時間がかかるかもしれません。

しかし、本当にMOVIAロボティクス社の公表しているような効果があるのであれば、自閉症の症状で困りごとのあるお子様やご両親の大きな助けになるかもしれません。

MOVIAロボティクス社の製品は、実際に一般消費者向けに販売されている数少ない自閉症の子ども向けの支援ロボットのひとつです。お値段は1年契約で月額約2万円とのこと。手の届かない値段ではないと思います。日本進出が待ち遠しいロボット企業のひとつですね!

株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。当社では、新規ロボット・ITシステムソフトウェアの開発や最新ロボットの導入支援を行っております! 今回ご紹介した製品含め、ご関心がございましたら、こちらのページから気軽にご相談ください。



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