『ゴッドファーザー』の劇場公開をリアルタイムで観る世界線で生きてみたかった(と思ってた)
少し前、まだコロナ第7波の予感もなく、「このままゆるやかに日常を取り戻すことができるのかもしれない」と思っていた、春の終わり頃。
友人とごはんを食べながら、海外旅行そろそろ行けるかしらね~なんて話をしていてたら、彼女が「今度シチリアに行きたいと思ってて!」と言うので、「シチリア?イタリアの?」「そうだよ」…のあと、何の申し合わせもなく、ふたりで声をあわせて「たららたらららららららら~♪」と高らかに歌い始めて、店員さんをぎょっとさせてしまいました、映画部の宮嶋です。イタリア料理店で良かったです(そういうことじゃないですねゴメンナサイ)。
念のためですが、「たらら~♪」は「『ゴッドファーザー』愛のテーマ」です。オフィシャルが見当たらないので、個人的に気に入ってるスカパラさんによるカバー、置いときますね。
その友だちは特に映画がめちゃくちゃ好きというわけでもなく、それでも「シチリアと言えば『ゴッドファーザー』」という連想を共有できてるの、考えてみたらすごいなぁと思った次第です。
私が初めて『ゴッドファーザー』を観たのは、中学か高校時代でしょうか。親が特に映画好きというわけでもなかったので、遅ればせながらやっと洋画に興味を持ちだした頃。レンタルビデオ隆盛期で、お小遣いを握りしめて近所のビデオ店に通っていた頃でした。
確か「不朽の名作!」みたいな棚から、「アル・パチーノ、好き!名作なんだ、観た~い♪」みたいなノリで手に取ったと思います。(いわずもがな、アル・パチーノは主人公のマイケル・コルレオーネを演じています。そしてもちろん劇的にカッコいい!)
で、観てビックリしちゃって!おなじみの、冒頭の結婚パーティーとドン・ヴィトー・コルレオーネの部屋のカットバックとか。子どもの洗礼式と殺しのシーンのコントラストとか。何気ない“家族の日常”と凄惨な“裏社会の出来事”が当たり前のように地続きに存在することが、強烈すぎちゃって!
その後、何度か観る機会があったり、この作品が映画史のなかでどのような評価を受けているかを知って、改めて驚いたり、うんうん納得したり。そして、この映画が生まれ、それまでの興行記録を塗り替えるほど熱狂的に受け入れられアカデミー賞を受賞した1972年を、リアルタイムで体験してみたかったなぁ、と思ったり。
私は「不朽の名作!」の棚にあったからこそ、一定のクオリティを担保されたうえで観たわけですが、当時リアルタイムで、あの時代の空気感のなかで観た人たちには、もっともっと大事件だっただろうなぁ、と、ちょっとうらやましくなったりしました。
1974年にパートII、1990年にパートIIIと、一族の大河ドラマでもある本作。リアルタイムで追いかけられていたらまた違ったみかたが出来ていたのかなぁ、いいなぁ、うらやましいなぁ。(もちろん、今の時代に観ても全然古びていないんですが!)
で、ここからはちょっとPRっぽくなったら嫌なんですけど、そんなうらやましさを払しょくする、おそらく本作のファンにはめちゃくちゃ刺さるドラマが今日からU-NEXT独占配信スタートしているので、紹介させてください!!
まず、主人公でプロデューサーであるアルバート・ラディをはじめ、全員がド実名で登場してビックリ!かつ、ドラマの進行にあわせて、あのシーンの裏話とか、あのキャスティングの背景とか、裏話が続々で歓喜!
マリオ・プーゾによる原作が書かれた背景(起死回生の1作だったんだなぁ…)、 プロデューサーのラディの野心と奮闘(まったく別の業界の人だったんだ!)、当時の映画会社の内情(社内の力学が生生しい)、アメリカにおけるイタリア移民たちのムーブメント(これは映画を観るだけじゃわからなかったことだな~)、それにキャスティングのプロセス(アル・パチーノがフレッシュで可愛い)、コッポラとプーゾの脚本共作の様子(愛すべきキャラでただただ癒し…と思いきや、やはり天才)、などなど…。
ひとつネタばらししちゃうと、予算の関係で「時代背景をベトナム戦争後にしろ」という指令が下るシーンがあって(実際は第二次世界大戦後で、マイケルは従軍していたという設定)、観ていて思わず「それだと全然違う話になっちゃうやん!」と主人公のラディと一緒になってツッコんでみたり。
『ゴッドファーザー』シリーズはリアルタイムでは観られなかった世代だけれど、『ジ・オファー』で制作の追体験をさせてもらえた!と、本当に嬉しくなっちゃいました。
『ゴッドファーザー』を観たことがあるかた、全員におススメしたいドラマです!!ぜひ、本シリーズとあわせてお楽しみください!
最後になりましたが、本作で主人公の兄ソニーを演じ、7月6日に亡くなったジェームズ・カーン氏に、尊敬と哀悼の気持ちを込めて。
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