本能寺炎上!英傑怒りの決死拳

恐らく、この物語はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。by note放送協会

1.光秀乱心! 苛心居士の陰謀!

 天翔十年! かの織田信長は京都本能寺滞在中に突如明智光秀にカチコミされ、燃え盛る本能寺に消えた!そしてその真実は謎に包まれていた!
 なぜ明智光秀は本能寺にカチコミを敢行したのか!? その真実が最新AIのディープラーニングで明らかになる!

 ジャーン! ジャーン! ジャーン! 高らかに鳴り響くドラの音! ここは明智軍陣地である! 明智光秀は現在、信長の命により死国攻略の準備の真っ最中だった!
「死国はヒノモトでも稀に見る大戦乱の中にいる……昨日成り上がった新興勢力が次の日には滅びているのもザラだ……我が明智軍も油断していると死国の混沌に飲み込まれてしまうかもしれぬ……用心せねば」
 明智光秀は冷静沈着な知将の顔で死国情勢を分析していた。その表情には油断慢心の色はない。ただ主たる織田信長の忠誠を行動で示そうとする鋼の意志があった。だが恐ろしく狡猾な闇が光秀に迫ろうとしているとはだれも知る由もなかった。
「こんばんわ。明智光秀殿……ご機嫌麗しゅうございますか……」
ふと声がして、光秀は周囲を見渡すとそこには怪しい妖術師の姿があった。
「……貴様は苛心居士! この明智砦に何の用だ! 言わねば切り捨てるぞ!」
明智光秀は突如現れた、苛心居士に警戒の顔を隠さなかった。それもそのはずである。あの邪悪な妖術師はヒノモト各地で暗躍し戦乱を煽っている超一級の危険人物である!室町家の一連の混乱にも関与している疑惑もあるほどの人物であった。その男が明智光秀の目の前突如現れた……存在そのものが不吉だ!
「まぁまぁ、落ち着いてくださいますか光秀殿……某、光秀殿にとある提案をしに参上した次第でして」
「提案? まさかよからぬ提案ではなかろうか……苛心居士よ……貴様の次の発言次第でお前の首と胴体は泣き別れすることになるぞ」
光秀は訝しんだ。苛心居士は何か恐ろしい罠を仕掛けているに違いない。光秀はそう思った。
「光秀殿、少し天下を獲ってみてはどうなのですか?」
「天下……だと?」
「光秀殿は頭も切れて力も強いお方……そのような人が安槌城の大うつけの配下に甘んじるようなことがあってはならぬと某は思うのです……光秀殿が目指す先は天下を自らの手で動かすこと……決して……そう決して、織田信長の手足ではないとは思いませんか?」
その瞬間、光秀の中に激しい怒りがわき出した!
「き、貴様……私の信長様への忠誠を愚弄したな! 今ここでお前を叩き斬ってやる!」
 光秀は抜刀した。苛心居士を斬るために!
「その反応……某の予測通りです……ここまで某の予測通りに動くお方は初めてですよ」
 だが怒りに身を任せた斬撃は苛心居士にとっては予測通りであり、いともたやすく回避された!
「しかし、信長様に天下統一をなされるとヒノモトが退屈になって仕方がないのですよ……なので光秀殿には謀反をおこしてもらうのです……ヒノモトをもっと刺激的にするためにね」
 そうつぶやくと苛心居士は不思議な術を唱えた! すると光秀の身体が金縛りにあい一歩も動かすことができなくなった!
「貴様、何をする気だ! 金縛りを外せ!」
 光秀は苦悶の表情を浮かべ、唸り声を上げる!
「光秀殿、ご安心ください……光秀殿の中に眠る鬼の血を目覚めさせるだけですよ……大人しくしていればすぐに終わります」
 鬼!? 確かに苛心居士は鬼といった。明智光秀は鬼の血を引いているというのか!? それが真実なら歴史が書き換わってしまうではないか!?
 光秀は決死の覚悟で抵抗を試みるが金縛りで身体をうまく動かすことができない。大ピンチだ!
 苛心居士は超自然の針を無から作り出し光秀に見せつけると、その首筋にしめやかに刺した! すると苦痛の表情もなく光秀の体内に取り込まれていった。
「ヤメロー! ヤメロー!」
光秀殿の悲鳴が明智砦に空しく響き渡る!そして、光秀の身体が一度力なく崩れ落ちたかと思うと、次の瞬間には不吉なオーラを噴出しながら光秀が立ち上がっていった。まるで別人のようだ。その証拠にその瞳は血のような緋色に染まっていた。
「うまく光秀殿が鬼の血に目覚めたようですね……この調子で邪魔な織田軍をうちやぶることにしましょう」
 苛心居士は満足げな表情を見せる。自分の仕事に手ごたえを感じたからだ。
「ノブナガ……コロス……ワタシガテンカビト……」
鬼に目覚めた光秀の声はまるで地獄の底から響くような恐ろしい声色をしていた。
 今、反逆が始まろうとしていた!

 一方その頃……何も知らない織田信長は、京都本能寺に滞在していた!
「光秀は死国攻略、秀吉は茂瓜攻略と、織田の懐刀たちがヒノモト各地の攻略が進む中、室町家のご機嫌伺いの為に宴の準備をしなければならぬのはままらなぬ世の中じゃ……とはいえ当日は家康と忠興がヘルプに入るからまぁ大丈夫じゃろう」
 信長は気難しい室町家のご機嫌取りに奔走せねばならないことに苦笑いしながら部下たちに指示を出していた。本当は信長自身も光秀と同行し死国攻略の指示を出したいが、信長の立場上なかなか難しいのが現状である。
「是非もなし……天下人の道は一日にしてならず」
 信長は戦国警句を口に出し、自らの心を奮い立たせた。複雑怪奇なパワーゲームをコントロールするのも信長の役割だと強く信じていた。
 バシュン! 次の瞬間、本能寺の柱に矢文が突き刺さった!
「突然の矢文とは物騒な……なんじゃなんじゃ……これは!」
 信長は矢文の内容を見て愕然とした。信じがたいことが起きているのだ!
「光秀が突然の乱心! 本能寺方面に進軍しているじゃと!」
 光秀はそんなことをするような人物ではない……信長はそう信じていた。信長のニューロン内であらゆる可能性が浮かんでは消えていく。そして信長は一つの結論に達した。
「苛心居士……あやつの仕業か!?」
 信長の怒りは有頂天に達した!
「よくもワシの光秀を誑かしよって……許さぬ!偉大なる孫呉・良平先生もご照覧あれ!光秀を正道に戻してつかまつりまする!」
 信長の肉体がバンプアップし、筋肉が縄めいて浮かび上がる!
「総員迎撃用意!光秀軍が攻めてくるぞ!」
 信長の一声で信長の部下たちは戦闘モードに切り替わった!
 本能寺での死闘が始まろうとしていた……!

2.織田軍、決死の本能寺籠城作戦!

 本能寺に向けて一心不乱に向かう軍勢あり! 内に眠る鬼の血を目覚めさせられた光秀率いる明智軍だ!光秀の瞳は血のような緋色に染まり恐ろしい形相だ!
「テキハ……ホンノウジニアリ……ノブナガヲコロセバ……ワタシガテンカビト……」
 その口調は恐ろしく冷淡で如何にも力の暴走を感じさせた。それを遠目に見守る存在あり……そう、苛心居士である!
「いよいよ面白くなってきました……鬼の血に目覚めた光秀殿と天下の大うつけ織田信長、どっちが勝つか某は楽しみでたまりませぬぞ!」
 抑えきれぬ愉悦への高ぶりを鎮静しつつ絞り出した声はそれを聴いた者が即座に失禁してその場に座り込むほどの恐ろしさであった。苛心居士、どこまでも底知れぬ男! だが信長軍は既に光秀の暴走を察知しているぞ! 明智軍はどう出る!

 その頃、本能寺では着々と明智軍迎撃の準備が進んでいた!
「信長様、明智軍、本能寺推定到達時刻は早くて四時間後でございます」
 織田軍付きの軍師が冷静に状況を分析する。信長は「ぐぬぬ……」と唸り声を上げた。予想以上に残された時間は短い。持てる切り札を全部出す必要がある。信長はそう思った。
「丘矢間の秀吉は間に合いそうにないか……ならば鬼武蔵……長可を出すしかあるまい」
「既に呼び出しております」
「流石は信長軍の軍師……動きが早いのう……ワシらは本能寺を城塞化を進める……女子供は本能寺から速やかに退避するのじゃ……」
 信長は極めて冷静に今回のイクサの方針を定めた。
「信長様!ボクも戦に参加させてください!」
 そこに小姓の少年が歩み出る。
「すまぬ……蘭丸よ、今回ばかりはお主の願いは聞けぬのじゃ……わかってくれ」
その小姓……杜蘭丸は不満そうな顔で信長の答えに応えた。彼は若輩だが信長軍の一員としての想いが強いのだ!
「そうは言っても今のお主の実力では精強な明智軍相手には厳しすぎる……それに長可の意向もあるのじゃ」
 蘭丸は「ぐぬぬ……」と唸り声を上げた。兄である長可を出されては二の句が継げない。だが自分でも何かできることがはずだと蘭丸はそう思った。
「信長様、わたくしめにいい考えがありまする……蘭丸殿に細河屋敷に使いにやってガラシャ様をお守りするのはどうでしょうか……あの苛心居士は細河家になんらかのちょっかいをするかもれませぬ」
織田軍付きの軍師の提案に信長はポンと手を打った。
「そうか……その手があったか。蘭丸、頼めるかのう?」
 信長は蘭丸の目を見てこう言った。
「わかりました、信長様! 細河屋敷に行ってまいります!」
 そう言って蘭丸は細河屋敷に向かって走り去っていった。
「少しでも光秀の状態について分かれば……なぜ苛心居士に付け込まれたかがわかればそれに対してカウンターを打てるが、まずは生き残ることが先決じゃ! 織田軍総力を挙げて光秀の目を覚まさせるのじゃ!」
「「「ウオーッ!」」」
 織田軍の士気は激しく向上! 本能寺全体のテッカバアトモスフィアが濃厚になった!

一方その頃、得川家康は光秀乱心の一報を京から遠い坂井の商人街で知り、対応を協議していた。
「えらいことになった……我が手元にいる美河武士は少なく光秀迎撃の兵数には心もとない。こうなれば側面支援に徹するほかないぞ」
家康の腹心である誉多正信は悲しそうな顔で頷いた。せめて忠勝さえいればどうにかなったかもしれないのに。二人の意見はそれで一致していた。
「家康様、我々の手で丘矢間にいる秀吉に文を出しましょう……幸い我々には羽鳥殿がいらっしゃる」
 正信はしめやかに提案を出した。家康は無言でうなずいた。部屋の外で待機していた羽鳥半蔵はしめやかに部下に指示を出すために姿を消した。美しき信頼関係がなせる御業である。
いよいよ明智軍対織田軍の構図が鮮明になった。ヒノモト史上例を見ない激戦が始まろうとしていた!

3.細河屋敷襲撃! 走れ蘭丸!

京都細河屋敷、細河家当主――細河忠興はガラシャを傍に置き神経をとがらせていた。突然の光秀乱心に困惑しながらもガラシャの安全を守るために本能寺には馳せ参ぜず、細河屋敷に留まっていた。
「父上は理由もなくそんなことをするような人ではありません……何か人智に及ばぬ理由があったのでしょう」
「分かっているさ……光秀殿が故もなく反逆するような人ではないということを」
 忠興は突如、織田軍に反逆した光秀を思い、心の中で涙した。忠興の脳裏に光秀との思い出が次々に思い浮かぶ……

「忠興殿、細河家当主継承、おめでとう……名門細河家を継ぐということになるといろいろと重圧も増えて厳しいだろう」
 そう言うと、光秀は忠興に向けて朱の盃を渡した。忠興は恭しく盃を受け取り、中身の金箔入り酒をしめやかに飲み干した。その動作はあまりにも完成されていて、忠興の育ちの良さをうかがわせる。
「重圧が厳しくないと言えば嘘になりますが、父上が当主への道をうまく整備してもらったので不安はないですね」
 そう言うと忠興は破顔した。
「私も本来なら土鬼家を継承する身の上だったが、肝心の土鬼家が弱小の家柄だったために明智に養子に出され、それから自由に生きていた身の上なので私は当主継承の宴を大々的に行われるような忠興殿のことを少し羨ましく思う」
 そう言うと二人は顔を見合わせ笑いあった。

「光秀殿、何故そのような早まったような真似をしたのですか……ガラシャも気丈に振る舞っていますが、心の中で涙を流しているのですよ」
 誰にも聞かれぬようにつぶやくと忠興はいつもの凛とした表情に戻り、警戒姿勢に入る。不気味なまでの静けさが細河屋敷を包み込んでいた。まるで何かの予兆のようだ。
その時!
「忠興殿!クセモノダー!」
細河家下人によるエマージェンシー発生の隠語を受け忠興の周辺温度が急激に低下する!
「まぁ……クセモノとは物騒な!」
「ガラシャ、私が合図するまでこの部屋に待機していろ、できるだけ早く終わらせるからな」
 そういうと細河家屋敷に侵入してきた輩を把握し切り捨てるために忠興は部屋を出た!
「ウオオーッ!」
 忠興は威嚇しながら、クセモノと対峙する!
「これは……!?」
 その曲者は巨大な蜘蛛だった! なぜこんなところに蜘蛛が現れたのか! 忠興は疑問を振り払い、愛刀『歌仙兼定』を抜き放った! 歌仙兼定から漆黒のオーラがほとばしる!
(迷えば、死あるのみ!)
 一方、謎の大蜘蛛も忠興を恐れず威嚇する!
「そこだ!」
 一刀両断!忠興は謎の大蜘蛛を切り捨てた!
「グギャーッ!」
 断末魔の悲鳴を上げて大蜘蛛は倒れ伏せる!そして蜘蛛の遺体は見る見るうちに煙に包まれ紙人形の姿になった! 
「式神……だと!?」
 忠興の脳裏にあの忌まわしき妖術師の姿が脳裏に浮かぶ!
「まさか……苛心居士の仕業か!?」
 苛心居士の恐ろしき介入に忠興は身震いした! すると呼応するように増援の蜘蛛の群れが三次元的に現れる!
「これはまずいぞ!」
 ガラシャを守り切れるか不安になってきた忠興はよりシリアスな表情になる!
 ビューン! そこに弓矢が飛んできて大蜘蛛に突き刺さった! そのチャンスを逃さず忠興は大蜘蛛の群れを歌仙兼定で叩き斬った!
「忠興様! なんとか間に合いました」
 その弓の主はなんと杜蘭丸だった!
「蘭丸、お前の弓働きには助かった……まぁそれはそれとして、お前は本能寺で信長の付き人をしていたはずでは?」
「信長様の命により、細河屋敷にお使いに参りました! ガラシャ様はご無事ですか!」
「今のところは無事だ! また蜘蛛の増援のおかわりが来るぞ! 油断すれば死あるのみ!ついてこい蘭丸!」
 大蜘蛛の第三波が今か今かと細河屋敷に押し寄せようとしている!忠興と蘭丸はその混乱に飛び込んでいった!

4.光秀接近! 吠えよ鬼武蔵!

 ドドドド……ドドドド……それは風の音でも地響きではない。明智軍が本能寺に迫りくるアポカリプス・サウンドだ! 見よ! 明智軍の足軽は皆、狂気に似た光秀への忠誠により不気味なほど整った統率で進軍しているのだ!この地獄絵図じみた進軍光景を見た者は誰もが無意識に明智軍に道を譲るだろう。それほどまでに明智軍の進軍は恐ろしく道を阻む者はいないと考えられた。
 ……不意に先頭を走る光秀が馬を止めた。自然と明智軍も馬を止め前方を睨みつける! その視線の先には明智軍に立ちふさがろうとせんとした二人の男がいた!
「モリナガヨシニ……ヤスケダナ……モトドウリョウノヨシミダ、ナニモイワズニソコヲドクガイイ」
「光秀……俺様はお前の乱心を止めるためにここに参上した! 故にそこを動くわけにはいかない!」
「ミツヒデ=サン、今ならまだやり直せる……考え直すチャンスだ」
 杜長可とヤスケは強い意志の力で鬼の力に目覚めた光秀に対峙する!
「アクマデモソコヲドクキハナイトイウノカ……イイダロウ、スコシカラダガナマッテイタトコロダ」
 光秀は長可とヤスケと戦うために馬上から降りた!光秀の全身から尋常ではない漆黒のオーラが放たれる!二人は強い意志の力で踏みとどまった!
「このオーラ、ただ事ではないぜ……それでも俺様はここで負けるわけにはいかないんだ!」
 長可は愛槍『人間無骨』を握りしめて揺るぎない決意を見せた!
「イヤーッ!」
 先に仕掛けたのはヤスケだ!奴隷時代に仕込まれたボクシングスタイルの強烈な一撃が光秀を襲う! だが光秀は顔色一つ変えずヤスケの鉄拳を受け止めた!
「ミツヒデ=サン……あなた一体!?」
「ヤスケヨ……ホントウノパンチヲオシエテヤル……タダシ、チジョウノハシャタルオニノテッケンダガナ!」
 そう嘯くと光秀は無造作にヤスケにパンチを放った。その一撃はヤスケを昏倒させるには充分な威力だった!
「グワーッ!」
 ヤスケは叫びぶっ飛ばされた!
「なんてデタラメな威力のパンチなんだ! それに地上の支配者、鬼だと!? 俺様にはよくわからないがヤバいぜ!」
「カカッテコイ、モリナガヨシ! ココデニゲレバ、オニムサシノナガナクゾ!」
 光秀は長可に挑発する。強制的に目覚めさせられた鬼の力に溺れながらも優れた知性も健在であること示す恐ろしい挑発だ!それには流石の長可も「ぐぬぬ……」とうめくことしかできない!
(ここは大技である錠前砕きを使わざるを得ないぜ!)
「ウオーッ!」
長可はここぞとばかりに人間無骨を高速回転させ、突撃した! さすがの光秀はこれを食らえば大ダメージは免れないぞ!
「ブオーッ!」
「ウワーッ!」
 だが光秀は口から火焔を放射することにより長可を本能的に回避行動をとらせた!恐るべき知性と鬼の力の相乗効果だ!業前!
「ドウダ、モリナガヨシ!コレガホンモノノオニノチカラダ!オトナシクミチヲアケロ!」
「クソッ!それでも信長様への恩に報いるためにも俺様は退けない! これでも食らえ!錠前砕き!」
 人間無骨の穂先から黄金のオーラが放たれ、長可の全身から縄めいた筋肉が浮かび上がる! そして勢いよく人間無骨を光秀に向けて決死の突撃を仕掛けた! まるで人間大の破城槌のようだ!
「ウオーッ!」
「アマイゾ!キコクホウ!」
 だが光秀は漆黒のオーラを右手に凝縮して長可に射出した!激しいエネルギーのぶつかり合いだ!周辺にいた明智軍はまとめてぶっ飛んだ!
「ウオーッ!ウワーッ!」
 鬼哭砲と錠前破りの放たれるエネルギーの奔流はわずかに鬼哭砲のほうが上だった! 人間無骨は折れ長可はぶっ飛ばされた!
「チクショー……人間無骨が折れるとは……信長様、申し訳ございません。杜長可は光秀に破れてしまいました」
そうつぶやくと長可は気絶した。
「オワッテミレバタアイモナイ……イクゾ!」
 明智軍の生き残りと光秀は再び本能寺に向けて進軍を開始した!明智光秀強し!これが鬼の力か!

「家康殿……この迅速な矢文助かったみゃー」
 羽島秀吉は遠く離れた丘矢間の地で光秀乱心の一報を聞いた!
「秀吉様、今すぐ京都に帰還しましょう!」
「秀やん、吾輩も同意見ですぞ」
 武中、玄田の両官兵衛は京への速攻帰還を提案した!
「もはや茂瓜どころではないみゃー、それに相手はあの苛心居士相手だと日吉拳を使わざるをえないみゃー!」
羽島軍は全力で京へ帰還する! いよいよ本能寺決戦まったなしだ!


5. 恐怖の下克上! 信長怒りのへし切長谷部!

 鬼武蔵、光秀に敗れるの報はすぐに本能寺の織田軍にもたらされた。あの武辺者が破れるとはと織田軍の足軽たちはざわめく!
「あの鬼武蔵殿が破れるとは明智軍に勝てぬかもしれぬ!」
「ママー!助けて!」
 恐怖の感情に支配された織田軍の足軽を一括したのは他でもない織田信長であった!
「まだ見ぬ敵の恐ろしさにおののくのは惰弱ぞ!ワシらには近代兵器種子島があるぞ!」
 その声を聞いた織田軍は落ち着きを取り戻しつつあった! しかし着実に明智軍は本能寺に近づきつつあった!

 狙撃忍者Aは本能寺に向けて疾走する明智光秀の姿をとらえた!
「明智光秀……ぶっ飛ばしてやるぜ」
 狙い撃つ! だが種子島の引き金を引くより先に超自然的な恐怖に狙撃忍者Aは捉えられた! 狙撃忍者Aが振り向くとそこには大蜘蛛の姿が!これは危ない!
「ウワーッ!」
狙撃忍者Aはあっという間に大蜘蛛の餌食になった!
「危うく狙撃されるところでしたな光秀殿……某の援護が間に合っていなければどうなってたことやら……」
 苛心居士の不気味な声が響き渡った。それが狙撃忍者Aの聞いた最後の音であった!くわばらくわばら!
「しかし、細河屋敷の動きが鈍いですねぇ……アレを奪取できれば某の計画は揺るぎないものになるというのに……」
 苛心居士は恐ろしい声で細河屋敷を襲撃すした大蜘蛛を心配する。その一部始終を見つめていたものがいたことはまだ苛心居士も知らなかった……
(細河屋敷……ガラシャ様が何らかの鍵を握っているのね? 百華組…細河屋敷のことを頼んだわよ!)
(((お任せください、姫様!)))
 この謎の忍び集団は織田家に仕える忍者集団だが、その出自はよくわからないのである! 忍者だけに秘密主義なのだ! 姫様と呼ばれた人物も正体はよくわからない。ただ一言言っておくと信長にとって身近な存在だとだけ言っておこう。
 細河屋敷にも役者がそろい始めた! 聖少女ガラシャはどんな秘密があるのか!? それとも光秀の出自たる土鬼氏に伝わる何らかの真実か!? それはいずれ解る話だ!! 話は光秀に戻る!

織田軍によって要塞化した本能寺についに明智軍が到達しようとしていた! 本能寺山門を警備していた織田軍足軽を光秀はひと払いで倒し、固く閉ざされた門扉を鬼哭砲で破壊した!無法!
「ノブナガ……ソノクビモライウケニキタ……ゲコクジョウノトキハキタ!」
 恐るべき残酷な声音で下剋上を宣言する光秀! それに対して信長は大量の種子島足軽で囲い込むことによって応えた!
「光秀!一体何があったのじゃ! ワシに至らぬ点があったのか!それともお主は狂ってしまったのか!?なぜワシを裏切ったのか!?」
 信長の怒号が本能寺にこだまする!
「ノブナガ、ソンナコトヲキクトハナンセンスナハナシダ……ゲコクジョウハセンゴクノヨノナライデハナイカ……マツナガヒサヒデノイッケンヲワスレタノカ?」
「ぐぬぬ……その冷淡な口調、やはり苛心居士に操られてるのか!?  この信長が今、光秀の目を覚ましてやるからな!」
 そう言うと信長の肉体がバンプアップし、着用していた裃を破り力強い肉体があらわになった! これが偉大なる天下人の真実の姿か! その手には信長の愛刀『へし切長谷部』が黄金のオーラを放ちながら鋭く輝いていた!
「ククク……ホエヅラヲカクナヨ……チジョウノハシャタルオニノチカラヲミセテヤル!」
 光秀の全身の肉体から漆黒のオーラが迸る! これに立ち向かうには強い意志の力が必要だ!種子島足軽は一斉掃射を選択した!
BLAM! BLAM! BLAM! だが明智光秀無傷である!
「ツギハ、コチラノバンダ……ヒャッキヒャクレツケン!」
次の瞬間光秀はものすごい勢いのパンチのラッシュを放った!まるで海を割るかのごとくで放たれる拳圧に種子島足軽は次々に吹き飛ばされていく!
「ウワーッ!ヤラレター!」
「ノブナガジマンノアシガルモコウナッテシマエバカタナシダナ……」
 信長は無言で本能寺前庭に降りてきた。先ほどの戦いは前菜に過ぎなかったのだ……信長の手には黄金に輝くへし切長谷部!数々の戦場を共に戦ってきた愛刀だ!
「いくぞ光秀! 織田一刀流の真髄を見せてやる!」
「コイノブナガ!オニノチカラニフルエテネムレ!」
 黄金と漆黒のオーラがぶつかり合う!
「織田一刀流奥義!暴風斬!」
 信長はへし切長谷部に風属性のエンチャントをし斬撃した!しかし光秀は鬼特有の身体能力を発揮し跳躍回避! そのまま光秀は真空回し蹴りを決める! 信長はとっさにブリッジ回避で難を逃れた!
「ドウシタ……ノブナガ? テンカビトノケンハコノテイドカ?」
「まだだ光秀! 織田一刀流奥義! 嵐雪剣!」
 へし切長谷部に水属性のエンチャントをし下段水平斬撃を仕掛ける!フィールドに凍結の追加効果でスリップダメージでポイント倍点だ!流石は孫呉・良平に戦術を学んだ男だ!スリップダメージで確実にダメージを与えるとはよく考えたものだ!
 だが光秀は漆黒のオーラを鎧の如く纏うことにより最低限のダメージで乗り切ろうとしていた! これには流石の信長も苦笑いを隠せない!
「光秀よ、こんなパワーアーマーへし切してくれるわ! 織田一刀流奥義!紫電へし切!」
 へし切長谷部に雷属性と重力属性の二重エンチャントして放たれる荒業だ!雷のエネルギーと重力の力を合わせて二倍の威力の斬撃が光秀に放たれる! これは規格外の耐久力を持つ光秀も少し厳しいか!?
「ナンノコレシキ!バックステップ!」
 嗚呼! 光秀は軽快なバックステップで信長必殺の一撃を回避した! これには流石の信長も動揺を隠しきれない!
「ミタカ……ノブナガ! コレガオニノチカラダ!サァイノチゴイヲシロ!ゴクエンブソウ!」
 すると光秀の肉体が超自然の獄炎に包まれる! これが本気の光秀! 強い意志の力がなければ戦闘すらままならぬ! 恐るべきは光秀の中に眠る鬼の力か!
「くっ、なんじゃこの力は!ワシも奥の手を使うしかないのか!第六天魔王インストール!」
 信長も負けじと黄金のオーラを取り込みハイパー状態に移行する!信長と光秀は激しいオーラを放ちながらぶつかり合った!
「ウオーッ!」
「ウオーッ!」
 すさまじいエネルギーの奔流で本能寺が大ダメージ! これが本能寺の変だ!


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