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2019.11.06 りんごジャム(紅玉)

季節のうつろいとともに駆け抜けていく素材を捕らえるのもジャム作りにおける重要なスキルだ。

秋のはじめは、紅玉。

僕の場合それを逃さないために必要なことは、如何に適切な時期に長野に仕事で出張するか、である。

紅玉の出回る時期はだいたい10月。りんごの中では早めなのでぼんやりしてると取りこぼしてしまう。今年は少し遅くなったが 11月はじめに長野出張をねじ込んだ。なんとか間に合った感じ。ギリギリだったと思う。

もちろん近所のスーパーでも売ってないことはないし、ネット通販でも買える。しかし、やはり現地で買うりんごの新鮮な美味さはちょっと食べてみないとわからない感動があるのと、通販だと4kg〜だったりしてそれはさすがにしんどい。やはり、行くチャンスがあるなら長野(青森でもいいけど)に行くべきだし、チャンスは自らの手で作り出すものだ。ちなみに今回の長野出張にあたってりんごを持ち帰るためにキャリーバッグで行くべきところを完全に失念してしまい、ビニール袋で気合で持って帰った程度にはちゃんと仕事もしている。

今更ながら、紅玉は「こうぎょく」と読み、酸味が強く食感がイマイチと、生食にはあまり向かない品種。しかし、強い酸味は砂糖との相性が素晴らしく、柔らかな肉質は理想的な煮崩れ感を出すので、誰が作っても美味しいりんごジャムができる。

そんなことはご存知の方も多いと思う。しかし、りんごは品種意識が一般に浸透してるので紅玉くらいは誰でも知ってるだろう、と思うと意外とそうでもない。知ってるのは長野県民と青森県民とお菓子作る人くらいだったりする。ジャムを煮ていると果物の品種名にやたら詳しくなりがちで一般的な感覚と解離していくので、早口でりんごやすももの品種トークとかして引かれないように注意しなくてはいけない。


美味しい紅玉を使えば「誰が作っても美味しいりんごジャムができる」のであまりレシピに気を遣わなくても良いのだが、そういえば先日こんな本を購入した。

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ミセスベリー先生こと赤曽部麗子先生は、かのダルメイン世界マーマレードアワードの本国大会で日本人初のダブルゴールドを受賞した実績を持つ、日本ジャム界のレジェンドだ。まぁ僕も知ったのはつい最近ですすみません。

今回はこの本に載っている紅玉ジャムのレシピで行こう!と思ったのだけど、シナモン入れたりカルバドス入れたりと若干コンセプトがずれるので、参考に留めておくことに。


というわけでいつもどおり、8等分のくし切り、種と皮を取って薄切り。

皮をひたひたの水で煮出す。

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ピンク色の煮汁を加えて煮ることで、かわいい色のジャムに仕上げるためだ。かわいいから、以外の理由はたぶん無い。


砂糖はりんごの重量の50%とした。

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りんごが1.2kgちょっとなので砂糖だけで600g以上だ。軽く引いた。

りんご、皮の煮汁と、砂糖の半量を鍋に入れて強火で煮はじめる。

さすがの紅玉は、すぐに果肉が煮崩れてドロドロになる。なんだかすごく嬉しくなる瞬間だ。全く伝わらないと思いますが。

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これが、

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こうなって、

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こっから、

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ここまで、焦げないように終始シリコンヘラで混ぜたが、果肉を潰すことはしてない。勝手にこんだけ煮崩れるのである。

ちなみに上記ミセスベリーのレシピでは、紅玉だけだと崩れすぎるので食感を楽しむための工夫がされていたりして大変勉強になる。今回は不採用ですが。


で、こんな感じで出来上がり。

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酸味と甘味のバランス、香り、固さ、色、とても満足のいく仕上がり。

もはや完璧では?

もう今シーズンはりんご打ち止めでもいいのでは?

とか思いつつ、実は一緒に買ってきたブラムリーが控えてる。次回、キング・オブ・クッキングアップルが意地を見せるか?!乞うご期待!!

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