映画「レディ・プレイヤー1」が好きになれなかった人の感想

たぶん同じような話は他にいくらでも書いてあるんだろうけど、そういうのを読む前に自分なりに整理しておく用。

設定とか解釈とか聞いたら納得できる部分もあるんだろうけど、そうなる前の思考を残しておきたい。

とはいえTwitterとかでチラチラ目に入った部分はあるし、見た後に友人と話したりもしたので、何の影響もない素の感想とはいいがたいけど。

あとネタバレについてはあんまり配慮してません。

タイトル

これは事前にどういう意味か聞いていたからいいけど、やっぱりわからない。

過去プレイしたゲームにReady? っていう表記自体あまりなかったから。パソコンゲームの入力待ちとかで、見たこと自体はあるんだけど。

もし自分でタイトル訳すとしたら「プレイヤーワン スタート」とかにするだろうと思う。意味的には「PUSH ANY KEY」でもいいけど、あの世界ではキーボードを使ってないみたいだし。

文化の違い

タイトルもそうなんだけど、やっぱり文化がだいぶ違うんだなと思う。

AKIRAとか、ガンダムとか、世界的な知名度で選ばれてる。なんというか、クールジャパン的な。

でもおれの感覚でいうと、あの空間にアバンストラッシュをするやつがいないというのが、どうにもしっくりこない。

ギガスレイブでふっとばすとかは、ゲームバランス上無理なのかもしれないけど。

ゲーム化されてないというのもあるし、そもそもアメリカの観客が見てもわからないだろうから、おそらく権利とかそういうこと以前の問題だろうけど。

日米の差だけじゃなく、年齢層の違いもあるのかも。自分よりちょっと年上狙いだってのは感じがした。

じゃあどんなのが出たらよかったのか

世界の需要を完全無視して、自分の感覚だけで選ぶと、

人形劇三国志の劉備三兄弟とか出てきたら、映画館で叫んじゃったかもしれない。

設定上はそういうことがあってもおかしくない。ただ現代でもDVDが入手困難なのに、その時代まで記録が引き継がれてるかという問題はあるけど。

ゲームということに限っても、ヴァルキリープロファイルのレナスとか、サクラ大戦の光武とかは、あの中で戦ってたとしても違和感はなさそう。

自分でロボット化して出撃するならエヴァ初号機で出たい。

そう色々とロボットを知ってるわけじゃないけど、もともと制限がある代わりに強い機体だから、短い時間での戦いと事前に知ってるから、アドバンテージがある。

自衛隊からポジトロンライフルを借りてくれば、敵の装甲も貫けるはず。オアシスの全電力を集中させてくれるかってとこは問題だけど。

とにかく自分の全盛期と作品がちょっとずれてた感じがある。

そういうのも実はどこかにいたのかもしれないけど。

みんな同時に出てきすぎだから、一度見ただけじゃわからん。

もっと時間差で、ピンチに時に次々援軍が来る感じにしてくれれば、視認できたんだろうけど。

VRシステム

どうしてもこの世界のVRシステムがなっとくいかない。

街中でゴーグルかぶって人が暴れてるの、危なすぎる。

VRの限界というか、その場で自分で歩いていくわけにもいかないし、コントローラーを使って進むと酔うしっていう、今技術的に直面してる大きな問題に触れてるのに、そこの解釈があやふや。

ゴーグルかぶって手足を動かせばなんとかなる的な。

最初にウェイドが使ってた、ランニングマシン的なのは、その場で移動する仕組みとして

話としてそこが大事じゃなかったというのは重々わかってるんだけど。

日本だと、いまどういう問題があって、どうやったらその状態に持っていけるかっていう、ライトノベル方面で真面目に考えられてるんだけど(結論としては転生するのが一番)、そういう文化もたぶんアメリカには伝わってなさそう。

他にも中の人を捕まえたからって、"オアシス"上の任意の位置に拘束できるのも、VRゲームとしてなんか変だなと思ってしまう。

ログインシステムもよくわからない。

端末そのものに紐づけされてないようだけど、敵の端末で敵としてログインしてるような描写もあったし。謎。

アルテミスの呼び方

字幕版で見たんだけど、アルテミスは多くのシーンで、アリーとかアーリィとかって呼ばれてる。長いから略して呼んでる。

でも日本の感覚だとアルテミスをアリーとは略せない。誰のことだかわからない。

アリーシャみたいな名前だったらいいけど。

字幕では一貫してアルテミスだった。吹き替えでどうなってるかはわからないけど。

この問題は洋画ではしょっちゅうあることなんだけど、呼び方が違うと、人間関係の見せ方も違ってくるんで、なんとかならないものかと思ってるところ。

デスペナルティが重すぎ

しょっちゅう死んでる人いるのに、それで持ち物なくなっちゃうって、どういうバランスなんだコレっていう感じがする。

デスゲームに匹敵するぐらいリスクが高い。

他人に預けておいたり、現実世界で物を買っておくことで、ある程度資産を残しておくことは出来るかもしれないけど。

そして最後のアレに巻き込まれちゃった人のことも考えると、あそこで実質的にオアシス世界は終焉を迎えてしまったんじゃって気が。

このへんは作中での説明が不足してたから、ルール設定をよく見てみないとわからないところだけど。

何とかの天球がバランスブレイカーすぎる

これもなんだけど、とにかくゲームバランスが悪い。効果が強すぎる上に、有効期間まで長すぎて、使われた時点でノーチャンスってのは厳しい。

ハリデーさんがこんなの作ると思えない……いや作るかも。

逆走トラップがあったからなあ。

企業私兵達は正面からゴリ押しでクリアできるけど、もっと弱い人でも工夫すればクリアできるっていうならわかるんだけど、あれが唯一の解法というのはちょっとひどい。

しかしハリデーさんならやりかねないという前提に立つと、あんなに尊敬されるとは考えにくい。どう考えてもクソゲー認定される。

自分の全財産を賭けてるから、普段のゲームデザインとは別……と考えるとやっぱりあの天球は邪魔。すべてを台無しにするチートアイテム。

これがハリデーさんの想定外のアイテムで、それがわかる描写があれば納得できたんだけど。

でも簡単にクラックとかができるなら、そもそもエッグを探す必要もないし、ライバル社の人もさっさと広告出稿してただろうし。

このへんはVRゲーム系作品の泣き所ではあるし、みんなの想いの力でバリアが壊れた、とかよりはよかったのかもしれないけど。

結局リアルに戻るのかよ

あのエンディングが許せないという感情はある。

主人公がリア充になって腹立つとか、他のユーザーからしたらあの変更は裏切りだろうとか、そういうのもあるんだけど、もっと根本的なところで。

このエンディングはVRによる救済を認めてない。

自分の性別や外見に縛られずに生きていくっていう可能性。

別に自分の外見に不満はあまりないけど、もっと身長があればダンクシュートとか出来るよなあとか、思ったことはある。

でもあればいいってもんでもない。

身体のでかい黒人がこっちに歩いてくると怖いっていう感覚は、自分にどれだけ道徳心を叩き込んだところで消せそうにない。その人は何も悪いことはしてないのに。

逆に考えると、好き好んでそういう身体に生まれてるわけでもないのに、そういう意識を向けられ続ける人がいるということ。

この問題はもう全員が銃で武装して、対等に破壊力を持つしかないのかと思ったこともあるけど、VR空間では技術的に解決できる可能性がある。

そしてその可能性を作中で少し見せている。

自分の外見を変えたり、異なる性別のアバターを使ったり。

問題から逃げた世界

元々あの世界は、いろんな問題の解決を諦めた世界という設定だった。

たぶん食料とか衛生とか人口とか地球環境とか、そういうのはもうどうにもならない、なるようになれで。

問題から逃げて逃げて、VRに逃避した世界。

なので、リアルを大事にしろっていう、逃げるな。たまには逃げてもいいけど、リアルにちゃんと戻れ、メッセージになる。

作中の登場人物にしてもそう。

アルテミスは、アルテミスとして好かれるだけじゃ満足できない。結局リアルの自分を見て嫌われるんだったら、そんなものは空虚だと思ってしまう。

VRそのものが解決策だ

とは認めない。

あくまで逃げるための娯楽。

どうあれ、結局デブはデブだっていう、何の救いもない。

そこがどうしようもなく残念で……本当にもう残念としか言いようがない。

こうやって人と金を集めて映画を作れる人と、1人で書くライトノベルの差みたいなものを感じた。

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