免疫(39)-アレルゲンに対する免疫応答2-

引用した文献が舌下免疫療法にかかわるものだったため、口腔粘膜における樹状細胞の働きが細かくのっているため、その点についても記載する。

引用文献:侯波ほか アレルギー性鼻炎における舌下免疫療法の奏功機序 耳鼻免疫アレルギー 2015;33(4):209-213

引用文献は前回とかわりなし。

今回は口腔粘膜の主要な樹状細胞である口腔ランゲルハンス細胞(oLCs)について。

oLCsは恒常的にIgEに対する高親和性受容体(FcεRⅠ)、IgGに対するFcγRⅠ、FcγRⅢおよびToll-like receptor(TLR)4を発現している。

in vitroではあるが、TLR4にリガンドが結合することで、oLCsはIL-10とTGF-β1の発現を亢進させ、IL-10およびTGF-β1を産生するT細胞を誘導するという報告がある。

ヒトのex vivoの口腔粘膜モデルで、主要な草の花粉アレルゲンの吸収と結合が、oLCsからのIL-10とTGF-β1の産生させることが示されているため、十分に可能性があると思われる。

活性化されたoLCsはまた、IL-10とTGF-β1を産生するT細胞を誘導する。

舌下免疫療法の場合には、制御性T細胞が口腔粘膜に増加することも示されているので、この制御性T細胞によって、免疫寛容が起きている可能性がある。しかし、どのようにして増加するのかについては不明である

oLCs以外のヒトの樹状細胞が抗原の取り込みや寛容の誘導に関与しているかについても不明である。


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