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「大学一年生の数学」第7週:微分方程式の解の一意性

今週は微分方程式を扱いました。特に線形で定数係数の場合に解の冪級数による表示や解の一意性についてお話ししました。

火曜日は、微分方程式x’(t)=x(t)について扱いました。この方程式を変数分離形で解く時にx(t)=0となるtを気にする必要がありますが、この場合にはx(t)=0となるtがあれば全体でx=0となることを示しました。



水曜日は、火曜日の話を踏まえてx’=xの解が指数関数に限られること、つまり初期値に対する解の一意性を説明しました。また解を冪級数により表示し、解の一意性と合わせることで指数関数の冪級数表示が得られることを説明しました。また、指数法則も解の一意性を使って導きました。



木曜日は、指数関数の冪級数表示を参考に行列の冪級数を導入して微分方程式の解を構成する方法について説明しました。この行列の冪級数は行列の指数関数と言われるもので、微分方程式などの研究に用いられるものです。



金曜日は、より一般にX(t)がベクトルに値を持つ関数とし、方程式X'(t)=AX(t)について扱いました。この方程式について、火曜日と同様に解があるtでX(t)=0となるとき全体でX(t)=0となることを証明しました。定数係数線形斉次微分方程式について、n階の方程式を行列を用いて1階の方程式に書き換えこれについても同様の一意性を証明しました。



来週は数列と関数列の収束について、特に一様収束という概念を紹介し、関数列の極限操作と微積分の関係についてお話しします。

サポートいただけましたら、書籍などの購入費用にあてたいと思います。学んだ内容はいろいろな形で還元していきます。よろしくお願いいたします。