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おそば屋さんのパフェ



「おうちで、見て、食べる、パフェ」

第16回目として、紹介したいのは、

山形蕎麦の焔藏(山寺店)」さんである。



わたしは日本文学研究の一環で

日本各地のフィールドワークを行ってきたが(以下記事参照↓)、



ある暑い夏の日、山形の山寺駅へと調査へ向かった。



山寺には「立石寺」という有名なお寺がある。

なぜ、有名かといえば、

松尾芭蕉があの句を詠んだ地であるからだ。


山寺


閑けさや


岩にしみ入る

蝉の声





さて、険しい山をのぼり、調査が終わって、

電車が来るまで時間があった。


そのため、山寺駅前の「焔藏」さんで

休憩することにしたのである。


どうやら、ここはお蕎麦やさんのようで、

店内からお蕎麦をすする爽やかな音が聞こえる。


わたしはそこまでお腹がすいてなかったので、

山形名物の「力こんにゃく」を頼むことにした。


と、店員さんを呼ぼうと思ったとき、

メニューに「パフェ」の文字を見つけた。


「だだちゃの和パフェ」という。

「だだちゃ」というのは、山形特産の枝豆の一種らしい。

なるほど、「ずんだ」に似たものだろうか。


もちろん、パフェ好きが注文しないわけにはいかない。


カウンターに案内されたのだが、

パフェは目の前で創ってくれた。

ライブ感が楽しい。


製作過程をつい凝視してしまう。

すると、驚いた。


堂々と出現する、

業務用ホイップと業務用コーンフレークの袋。

そしてレンチンされる冷凍白玉・・・(笑)


すべて丸見えで、つい、笑ってしまった。



だだ茶パフェ



すべて、既製品の盛り合わせだとわかっているんだけど、

それでも、「パフェ」だ。


歩きまわって疲れ切った身体に甘さがガツンとしみわたる。

おいしい。


「だだちゃ」は初めて食べた。

予想通り、「ずんだ」に似ている。

が、すこし、あっさりしている気がする。

一貫して「和」で統一されたパフェだった。



専門店ではないお店が創るパフェは難しい。

だって、逆を考えればわかるはずだ。

パフェ専門店が創るお蕎麦は、

なかなかハードルが高いだろう。



でも、今回思った。

きっと、おそば屋さんに「パフェ」があるのは、

「しょっぱいものを食べた後には

甘い物が食べたくなるよね」とか

「疲れている人に甘い物を提供したい」とか

そういった「焔藏」さんの想いがあるからなんだと思う。


だから、「パフェ」がメニューにある。


しかも、山形の名物「だだちゃ」がテーマだった。


地方を旅することのおもしろさがここにある。





パフェと地元の名産が組み合わさっていること。

これとこれの組み合わせがこんな化学反応を起こさせるのか!

という発見。



旅をし、知らない土地で、知らない食材をパフェとして味わう。


こんなしあわせなことはない。




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