#10 自分の意見を形成するために、リサーチが大事だと思う今日このごろ。根っこが深ければ深いほど、木は大きくなる。大きければいいという訳でもないが。

Musesumの多田さんと、UMAの原田さんが八女に遊びにきてくれて(遊びじゃないか、仕事だ。)ディスカッションをしていて、何かを企画したり、起こしたり、デザインしたり、思考したりするベースには、やっぱりリサーチがとても重要だし、それがないと、自分なりの思考は構築できないよね。という話になった。お二人は京都造形大で教えてもいて、最近リサーチに関する授業の試みもしていると聞いた。

うなぎの寝床でいろんな企画をしている。これは、物販という形に現れて、一般の使い手と呼ばれる領域の人たちと、物と情報を通してコミュニケーションをとる。そして、うわべだけで行った展示には人が来ない。リサーチをして、思考した先にやった企画に関しては、不思議と人が来る。たとえ、アウトプットが同じだとしても、そこに行き着いた思考のプロセスなどは、言葉として、写真として、そこに反映される。

リサーチをするということが、自己を形成する。リサーチに対して、自分はどう思うか、自分はそれに対して、同意見なのか、反対意見なのか?それを繰り返し問い続けることで、自分なりの思考や、解釈が生まれていく。知恵は、ある一定量の知識によって生み出される。それは、情報だけではなくて、体感という側面もあるから、見たり、聞いたりというのも、もちろんリサーチの範囲に入る。

そして、面白いのが、何か企画をやったり、物を選んだり、空間をつくったり、アウトプットをしたときに、その表面から見える思考のようなものを、お客さんは無意識的に読み取ることができるということ。この企画の何が面白いと明確に答えることはできないけど、面白いなと思う領域を嗅ぎ分けたりするのは、みんなしている。そこが面白いなと思う。いくら体裁を整えたとしても、それは、表層だけのものかどうか?というのは結構見極められる。プロは、その面白さについて言語化して実行できる人たち。これはスキルである。

R&D(Research and development)という言葉は、僕ははじめて知ったのだが、やっぱり、基本はこの精神が大事だと思っていて、リサーチが深ければ深いほど、開発は面白くなる。木の根っこが深ければ深いほど、大きければ大きいほど、木は上に伸びて、大きくなる。大きいことが全てではないし、小さくても、素晴らしい花や木はあるけれど。

ただ、何かを行うとき、形にするとき、ある一定総量のリサーチは欠かせないな。それを怠ると、本当につまらないことになるなと、自分への戒めとして、この記事を書いている。

うなぎの寝床も7年目に突入しようとしており、忙しくはなってきた。でも、そんなの言い訳にはならない。自己マネジメントをしっかりしながら、リサーチに費やす時間を確保していかなければならない。思考の総量を筋トレみたいに増やしていかないといけない。なんだか、体育会系だなと思いながら、それがいいかどうかわからないが、やっぱり毎日の思考と、体感のトレーニングが大事だ。うん。そう感じる毎日を過ごしている。おわり。

白水

本質的な地域文化の継承を。