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珈琲の話。

 雨です。

 珈琲に対しての考えを一度まとめておこうと思う。
 まずスタンスとして、珈琲を美味しいと思っていない。黒くて苦い飲み物だ。苦みが強いものもあれば薄いのもあるしやたらと酸味が全面に出ているものもある。甘いジュースやスープのような旨味のあるもの、それらとは当然異なる異質な飲み物の一つ。
 そして決して矛盾しない意見として記すのだが、僕は珈琲が好きだ。大好きと言えるほどではないが、喫茶店やコーヒーショップには良く行く方だと思う。ただし動機は不純で、考えをまとめたいときや、ただ店の雰囲気を楽しみたいなどの目的が大部分を占めている。それでも繰り返し記すが、僕は珈琲が好きだ。思わず漢字で書くくらいには、格好付けたい飲み物だ。
 そう、まず格好良いのだ。煙草を吸う不良に憧憬を持つ少年のような。缶コーヒーのBOSSに描かれているスティーブ・マックイーンのようなアイコン。めちゃくちゃ渋い。大人が飲む飲み物のイメージと言えば、お酒か珈琲なのは間違いないだろうが、どことなくお酒には格好良さがない。いや、ウイスキーには人生を背中で語るような渋さがあるとは思うし、ワインにはお洒落で瀟洒なイメージがある。でも一般的に僕が目にするお酒の類い、心象とは、ビールや焼酎、そして居酒屋で馬鹿騒ぎする老若男女だ。そうなると、格好良い大人の飲み物と言えば、珈琲択一になっても不思議ではないだろう。ちなみに禁酒法時代のアメリカでは珈琲の消費量が倍増したそうです。
 友人が大の珈琲好きで、「何故そんなに好きなの?」と聞いたところ、「チョコレートによく合うんだ」と返答されたことがある。当時は、それってどうなの? と思ってしまったものだが、池袋にあるスペシャルティコーヒーの専門店で、珈琲をチョコレート系のケーキと一緒に注文したら物凄く美味しかった。初めて、珈琲を美味しいと思ったのだ。甘味と合わせることで、ようやく完成形を見た気がする。それまでは、美味しいとは思わずとも、気分が落ち着くので好んで飲んでいた飲み物でしかなかったが、味わい方によってはちゃんと美味しい飲み物なんだなあと。その後、ネスプレッソの店舗に並んでいる数多のチョコレートを見て、友人の言っていたことは正しかったんだ、と感心したものである。
 喫茶店で別の友人が頼んだアメリカンコーヒーの香りを嗅いで、「納豆の匂いがする」言ったら物凄い剣幕で怒られたことがあるが、実はあながち間違いではないらしい。焙煎の方法に原因があるようなのだが、それ以降、その友人の嗅覚と味覚は信用していない。珈琲はそんな人間をも濾過するペーパーフィルターのようなものだ。

 そんなことを考えている。


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詩と随筆、 雨が降るか或いは降らないか、 遺書を書かされています In poetry laboratory

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