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「どういたしまして」という言葉は滅びそう

先日、姉とその子供とランチをしました。姉の子供は、3歳くらいの女の子です。彼女は、言葉を覚えまくって絶賛脳みそ成長中の生命体です。何でも覚えてしまう年頃なので、私が汚い言葉を発すると姉によく注意されます。

三人がそれぞれが好きなメニューを頼んで食べていると、彼女は私の食べているものを食べたそうに見ていました。
「食べたい?」と聞くと「うん」と頷いたので、私は自分の食べているものを彼女に分け与えました。

すると彼女が嬉しそうに笑い、仰々しく「ありがとう」と言いました。

人に物をもらったら「ありがとう」と言うように教えられてるんだなと思い、私はくすりと笑いました。

すると彼女が「○○(私のあだな)、どういたしましてって言わなかったよー!」と姉に告発したのです。

私は、はっとしました。

たしかに、小さい頃「ありがとう」と「どういたしまして」はセットで覚えた記憶があります。どうやら、姉も子供にそう教えているようでした。

しかし私は、その言葉を最近全く使っていないことに気付きました。それは別に、私が「ありがとう」と言われるような行いをしていないからではありません。

私が「どういたしまして」を使わない理由

自分の中で「どういたしまして」は、なんとなく偉そうに聞こえる印象がある。「ありがとう」「どういたしまして」のセットが使われるシーンを自分史の中で思い返しても、小さな子供が親戚のおばさんに何かもらった時に使われてるイメージばかりで、ビジネスシーンではまず使われない。友達同士のシーンでもあまり浮かばない。

「どういたしまして」は偉そうなのか?

実際のところ「どういたしまして」はどういう言葉なのだろう。これを品詞分解できる日本人はどれくらいいるんだろう。分解するとこのようになります。

どう(どのように[副詞])+いたす(するの謙譲語[動詞])+ます(丁寧語[助動詞])+て[助詞]

私がどのようにいたしましたか(なんもしてないですよ)と、反語のような言い回しです。つまり「どういたしまして」というのは「いや、そんなにお気になさらず」といった謙遜のニュアンスがある言葉のようです。その謙遜のニュアンスすら私はもう感じれていない。
文法的には謙譲も丁寧も入っていて、そこそこ丁寧な言葉で別に全然偉そうではありませんが、相手を否定するようにも聞こえるので、失礼になるからビジネスシーンでも避けるのがマナーになってるみたい。

今使ってる人はいるのか?

私はビジネスのシーンではもちろん使わないですが、普段でも全く使った記憶がありません。実際まだ使っている人っているのかなと思って、とりあえずTwitter検索すると意外にそこそこ使われているようでした。自分では何年も発していないので信じられませんでした。口語としては死んだけど、文語としてはまだ生きてるってことなのかな。

「どういたしまして」の代わり

私の場合、例えばコンビニ店員に「ありがとうございました」と言われたら「ありがとうございます」と返すことが多いです。自分の中で「いえいえ、こちらこそありがとう」という意味で「ありがとうございます」と返しています。

自分の中で「どういたしまして」は近い未来、滅びる気がしているのですが、「こんにちは」が由来も関係なく、あたりまえにまだ使われているのだから「どういたしまして」も「ありがとう」の対の言葉としてセットの言葉として母から子へ受け継がれ根強く生き続けるのですかね。

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