空のマンションを見て

この間電車に乗っているとき車窓から、「入居者募集」とデカデカとポスターの貼られた新築っぽいマンションを見た。おそらく4階程度の大きさだったと思う。ベランダもガラス張りで、窓も大きかったので空の部屋も見えた。やけに天気のいい日だった。

この物件にもすぐに誰かが入居して、あったことのない人達が住み始めて、僕とはきっと交わることのない生活を送るのだろう。なんて考えながら電車に揺られていた。なぜかそのマンションのことが頭から離れない。

もう春だ。とも感じていた。気温は低かったが、快晴で「小春日和」と言われるような気持のいい日だった。春になると思い出す曲がある。3年か4年前の、CDTVで「aikoの春歌10選」みたいな感じでaikoさんが他のアーティストの曲を選んでいた。確か1位ではなかったはずだがこの曲が印象に残っている

歓びの明日に/SUPER BEAVER

CDTVを見る前からビーバーを知っていたし、その曲も聞いたこともあったけど「春の歌」という感じは一切なかった。何か漠然と「明日への希望を歌った曲だ」くらいに考えていたと思う。(当時は中学生だったから容赦してほしい)ただ、番組を見てからというもの僕は「春の歌」という印象しかなくなってしまった。

例えば 何かが違う朝に
僕は気付けてるかな? どうだ?
例えば 誰かを失くしたことにも
気付けていないんじゃないかな? 今も

1番冒頭の歌詞。新生活が始まってその変化についての想いのような気もする。前の生活で一緒だった人達との別れ。その人たちの大切さをかみしめる暇もなく進んでいく日々。寂しさや悲しさを胸に秘めながらも、進んでいく新しい日々を「歓びの明日」と表現しているのだと僕は思う。悩みながらも前進していく自分を2番の歌詞では重ねてしまう。そして曲の最後。

さよならの跡に ねぇ僕らは絶えず歌う
哀しいなら声に出して
そして繰り返し歩いてく 僕は僕の 君は君の毎日を
そうやって哀しみと
後悔の先でまた会おう
一切を噛み締めて
ひどい顔で笑いながら

今はまだ別れの季節。もうすぐで出会いの季節。
春は哀しくも歓びのある季節だ。大切だった人のことを夜毎思い出すかもしれない。それでもいいと思う。ただそれでも春は来る。
別れを迎えた皆様、おめでとうございます。
あえて言わせてください「おめでとう」と。
皆様の明日に「歓び」がありますように。

P.S.配信版ではacoustic ver.もあります。どちらもいいですが僕的には3月:アコースティック、4月:オリジナルがしっくりきます。どちらもいいので聞いてみてください。

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