詞 "Setting Sun"

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鏡を見ていて 気がついた
おまえは沈みゆく夕陽なのだ
引き裂かれ、しわだらけで、やつれて燃え尽きてしまった
そうしてようやく、おまえは美しいものになった

おまえは金持ちで、いい家に住み、愛のことをよく知っていた
それから全てを失って、あるいは売り払い、そして忘れてしまった
空っぽの部屋で、見慣れたシーツの色だけがおまえをなぐさめる
夜毎くるまって眠る、それは死の色なのだ

おまえは傲慢で、強欲で、意地汚かった
それは生まれ持ったもので、今もおまえは変わりはしない
ただ両手が空っぽになっただけ
ただ走るのをやめただけ
けれど眠るにはまだ早い

私は知っていた
自分が傷ついた鳥であることを
翼は折れて、傷口は化膿して、意識は朦朧としながら
それでもなお、ただ地面を遠ざけるために飛んでいる

光が 後ろから
おまえの影を伸ばしていく
おまえは——私は
影に向かって歩いていく

そしてようやく気がつくのだ
自分がもうどこへもいかないのだということ
立ち止まる日がきたのだということ
私は理想にたどり着いたのだということ

おまえはもう何も望まずに、ただここにいるだけのもの
日は沈み、夜はまだ若く、私は目がさえて眠れない

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※英訳して曲にするつもりで書きはじめたものですが、なかなか上手くいかないので日本語詩として載せてみました。↓冒頭だけ英語にしたもの。

Looking into the mirror, I see you are a setting sun
Teared, wrinkled, tired and burned out
And now, you are a beautiful one.

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