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ヘアケア用品の秘密に迫る!コーセーとミルボンのマーケティング戦略を分析

長時間のスマホやストレスによって、髪に悩む人が増えているようです。
皆さんは髪を正しくケアできていますでしょうか?

7月のファイナンスラボの業界地図勉強会では、いつまでも健康的で美しい髪でいられるよう(笑)

「ヘアケア用品」

をテーマに発表しました!
(前回6月は「フードロス」

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業界地図勉強会は、会計クイズのオンラインコミュニティ「ファイナンスラボ」で毎月行っている勉強会です。

業界地図の元編集長中山さんをプレゼンターに、

大手町のランダムウォーカーさん
おしばさん
・いごはち

でいつも発表させていただいています。

今回も157名にご参加いただき、たくさんの感想をいただきました。
本当にありがとうございます!!!

おしばさんの発表内容はnoteで公開されています。リースというちょっと難しそうなビジネスの内容をわかりやすく解説されていますので、ぜひ読んでみてください!

今回の勉強会では、ヘアケア用品について、かなりディープな所まで調べました!
ヘアケア用品については、女性の方が詳しい方が多いと思いますが、このnoteを読めば、周りの女性よりも詳しくなれるかもしれません。
約1万字ありますが、ちょいちょいクイズも挟んであるので、ぜひ楽しんで読んでいただけるとうれしいです(^^)

ちなみに私の髪型は「坊主」です!

トイレタリーってなに?

ヘアケア用品は、「トイレタリー用品」の一種とされています。
業界地図でも、ヘアケア用品を扱う企業は「トイレタリー(日用品)」業界として掲載されています。

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みなさんは、「トイレタリー」という言葉はご存知でしょうか?

ネットで調べてみると、「トイレタリー」は日用品の一種とされており、

身だしなみを整える商品のことをさす

とされています。
ヘアケア用品の他に、ボディケア用品やスキンケア用品、シェービング用品などが「トイレタリー」に分類されます。

これらの商品の特徴として、「イメージ戦略が重要」ということがあります。
みなさんもよくCMなどで、有名タレントが宣伝しているのをご覧になられることが多いかと思います。
ヘアケア用品も、有名タレントのCMをよく見かけますね^^

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ヘアケア用品知識問題①

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さっそくですが、ここで問題です!

みなさんも髪を洗う時、「シャンプー」、「コンディショナー」、「トリートメント」を使われているかと思います。

さて、これらのヘアケア用品、使用する際の正しい順番はどれでしょう?

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下にスクロールすると解答になります。








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こちらの問題、勉強会でめちゃくちゃ盛り上がりました^^

自分も調べるまで知らなかったので、男性が知らないのは想定内でしたが、女性の方でも知らない方がいらっしゃったのが印象的でした。ちなみにうちの嫁さんも知りませんでした笑
(勉強会での正答率は約3割でした。)

<参加者の回答(一部抜粋)>

簡単に解説すると、

■シャンプー
頭髪、頭皮の汚れを落とすためのもの

■トリートメント
髪の内部に成分を浸透させて、髪を内側から補修するためのもの

■コンディショナー
髪の外側をコーティングして乾燥から守り、艶を与えるもの。

です。

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そのため、正しい使用順は、

シャンプー → トリートメント → コンディショナー

となります。
もしよろしければ、周りの方にも正しい使用順を知っているか、ぜひ問題を出してみてください(^^)

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ヘアケア用品の外部環境

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まず、ヘアケア用品の市場規模をみてみます。

こちらは経済産業省の「生産動態統計年報」をもとに作成した、「国内頭髪用化粧品出荷販売額の推移」です。
ご覧の通り、年々減少傾向にあります。
要因としては、ヘアケア用品を主に使う15歳~64歳の女性の人口が減ってきているのが大きいようです。

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次に、ヘアケア用品の商品別に見てみます。

長らくシャンプーが販売額トップで推移してきていましたが、染毛料が右肩上がりで伸びており、2018年にシャンプーを逆転しています。
トリートメントやヘアリンス(≒コンディショナー)はほぼ横ばいです。

染毛料が増えてきた要因の一つとして、「若年層にも白髪が増えてきていること」が上げられます。
パソコンやスマホで目を酷使する生活習慣や、ストレスの増加により、若くても白髪がある人が増えてきているようです。

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ヘアケア用品知識問題②

ここで2問目の問題です!

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実は「髪を染める」商品には大きく二種類あります。
先程出てきた「染毛料」と、「染毛剤」です。

このうち「染毛料」について、

・ヘアカラートリートメント(化粧品)
・ヘアカラー(医薬部外品)

のどちらのことでしょうか?

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下にスクロールすると解答になります。









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正解はヘアカラートリートメント(化粧品)が「染毛料」でした!

染めても1日~数日で取れてしまう、ヘアカラートリートメントやヘアマニキュアが化粧品として分類される染毛料です。染色効果が弱い分、髪も傷みにくいのが特徴です。

一方、染めると効果が長持ちするヘアカラーが医薬部外品の染毛剤となります。長持ちする分、こちらは髪を傷めやすいです。

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以下の図は日本ヘアカラー工業会のHPからもってきたのものですが、使用する原材料によって、さらに詳細に分類できるようです。

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一般用ヘアケア用品と美容室専用のヘアケア用品

ヘアケア用品には、大きく2分けて2種類の商品があります。

・小売店で買える一般用ヘアケア用品
・美容室でしか買えない美容室専用のヘアケア用品(専売品)

CMでよく見るのは、一般用ヘアケア用品です。
美容室でしか買えないヘアケア用品があることを、みなさんはご存知だったでしょうか?

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業界地図で見てみると、一般用ヘアケア用品を扱う企業は、花王、P&G、ライオン、資生堂、コーセーなど、TVCMや店頭でよく見る企業が多いです。
これらの会社のヘアケア用品を使っている方も多いのではないでしょうか?

一方、美容室専売品に特化している会社があることはご存知でしょうか?
業界地図では、ミルボン、コタという会社が掲載されています。

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今回の勉強会では、一般用ヘアケア用品を扱う会社から「コーセー」、美容室専売品を扱う会社から「ミルボン」について、そのビジネスモデルの違いが両社の財務諸表にどう表れているのかを分析しました!

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コーセーとミルボンのPL比較問題

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まず、美の総合メーカーであるコーセーの特徴について解説します。

コーセーは、化粧品、トイレタリーを製造販売する総合メーカーです。多数のブランドを持ち、百貨店からコンビニまで幅広い商品展開をしています。

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コーセーの業績推移です。
海外企業の買収が奏功し、2019年3月期決算までは、売上高、営業利益がともに右肩上がりで伸長していました。
ただ、直近の2020年3月期は新型コロナウイルスによる百貨店の休業による販売減などが響き、減収減益となっています。

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売上高の構成は、化粧品が約8割を占めており、ヘアケア用品を含むコスメタリー事業の割合は約2割となっています。

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続いてミルボンです。

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ミルボンは、美容室用のヘアケア用品に特化したメーカーです。美容室専売品に特化した企業の中ではトップの企業です。

商品はいずれも「美容師のアドバイスにもとづき、使用されること」を想定して作られており、

「美しさへ導く、一人のためのストーリー」をコンセプトに、パーソナルヘアケアプログラムに基づき最適な商品がセレクトされる「オージュア」や、グローバル展開する「milbon」などが主力ブランドです。

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ミルボンの業績推移です。
12月期決算のため、新型コロナウイルスの影響は含まれていませんが、売上高、営業利益ともに右肩上がりで成長している優良企業です。
特に売上高については、上場以来23期連続増収を達成しています。

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売上高の内訳は、シャンプーなどのヘアケア用材が6割、染毛剤が約3割強という構成になっています。

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さて、ここで会計クイズです!
コーセーとミルボンのPL比較問題です。

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化粧品、ヘアケア用品など、美容に関する商品を幅広く展開する「コーセー」、一方、美容室用のヘアケア用品に特化している「ミルボン」

ミルボンのPLはどちらでしょう?という問題です。
両社のビジネスモデルを想像しながら、考えてみてください!

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下にスクロールすると解答になります。







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正解は、②がミルボンのPLでした。
販管費に両社のビジネスモデルの特徴が表れています。

toC向けがメインのコーセーは、美容スタッフの人件費の他、TVCMなどの広告宣伝や販売促進費に多く投資しており、販管費の割合が大きくなっています。一方、toB向けがメインのミルボンはコーセーに比べると販管費の割合が小さくなっています。

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コーセーから順に詳細を見ていきます。

コーセーの販管費の特徴

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上で説明したとおり、コーセーの主力は売上高の約8割を占める化粧品事業です。百貨店からコンビニまで幅広い商品展開をしています。
そのため、販管費の割合が大きく、その中でも人件費、広告宣伝費、販売促進費が多いという、化粧品をメインで扱う企業の特徴が表れています。

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まず人件費からです。

コーセーは多くの美容スタッフを抱えています。美容スタッフの役割は、コーセーの商品を買いに来たお客に対し、化粧品のカウンセリングを行うことです。

みなさんも百貨店に行った際、1階の化粧品コーナーにたくさんのスタッフがいるのを見たことがあると思います。あの中には百貨店のスタッフに混じって、コーセーの美容スタッフがいます。
化粧品を見に来たお客からメイクの悩みや要望を聞き出し、その場でメイクを施したり、そのお客にあった自社製品の案内をするといった販売活動を行っています。(これを制度品販売モデルといいます)

また、百貨店で扱うような高級化粧品はブランドイメージが非常に重要であり、誤ったメイク方法、その人に合わない商品を買ってしまうというような失敗が起き、ブランドイメージが損なわれないようにするとともに、「メイクによって自分を変えたい、自信を持ちたい」といった、お客の多様な要望に応えることで、ブランド価値を向上させる役割を担っています。

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次に広告宣伝費です。

ご存知の通り、化粧品やヘアケア用品は非常に多くの商品が存在しています。ドラッグストアなどの店頭にも本当に多くの商品が並んでいます。その中から自社商品を手に取ってもらうためには、商品を「知ってもらう」必要があります。そのため、TVCMなどの広告を大量に投下し、商品の認知獲得を行っています。

また、化粧品やヘアケア用品の広告では、機能面よりも「自分もこうなりたい」というイメージを想起させることが非常に重要です。そのため、商品ターゲットに合わせたモデルや女優を起用し、消費者の「エボークト・セット」に入る努力をしています。

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最後に販売促進費です。

店頭で配る無料サンプルやポスターなどの費用が含まれています。その他、販売会社や卸売会社に支払う販売奨励金が含まれています。
販売奨励金は、目標の数量を販売した会社に対して支払うリベートのことです。

これらの費用で小売店や販売会社の営業活動をサポートし、消費者の購入につなげる営業努力を行っています。

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以下のグラフは、コーセーの売上高に対する、販管費の中の人件費、広告宣伝費、販売促進費の割合の推移です。

マーケティング費用である広告宣伝費、販売促進費の割合はほぼ一定になっており、売上に合わせてコントロールされていることがわかります。

一方、固定費である人件費は、売上高に連動して割合が変動しています。

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美容室専売メーカーのミルボン

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ミルボンが扱っているのは、美容師のカウンセリングを前提につくられた美容室専売品です。

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ヘアケアというのは実は非常に複雑で、頭皮の状態、髪のくせ、ボリューム、ダメージレベルなどの髪や頭皮の状態を考慮した上で、なりたい髪を実現するための商品を正しい使い方で使っていく必要があります。

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薬で例えると、一般用ヘアケア用品は、症状が軽い風邪などを治すために買う一般用医薬品(OTC)と同じであり、美容室専売品は、その人の症状や体質に合わせて処方される医療用医薬品と同じです。

理想の髪を手に入れるためには、専門家である美容師に自分の髪や頭皮の状態のカウンセリングを受けた上で理想の髪の状態を伝え、正しいヘアケア用品を処方してもらう必要があります。

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では、この美容室専売品、一体どのように流通しているのでしょうか?

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一般用ヘアケア用品が、「メーカー⇒卸売業者⇒小売店」を通じて流通するのに対し、美容室専売品は「メーカー⇒販売代理店⇒美容室」というルートで流通しています。

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代理店はどのような役割を担っているのでしょうか?卸売業者とは何が違うのか、ミルボンと美容室チェーンを展開する田谷の双方に出てくる「株式会社ガモウ」という会社で見ていきます。

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まずは美容室サイドからみた代理店の役割です。

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美容室にとって、代理店は単なる仕入業者ではなく、美容室にヒト・モノ・情報を提供する「パートナー」としての役割を担っています。

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「美容室はコンビニよりも多い」

のを皆さんご存知でしょうか?

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、美容室の数は毎年2千~3千のペースで増加しており、現在は約25万施設存在します。
コンビニも競争が激しい業界ですが、美容室はなんと、その4.3倍も店舗が存在しているのです。

コンビニよりも激しい競争を勝ち抜くためには、代理店から得られる業界の情報や商品情報、最新の技術トレンドを知るためのイベントや技術習得の研修などが、美容室にとっては欠かせません。

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次にメーカーサイドの代理店の役割です。

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実は美容室は個人経営が圧倒的に多い業態です。厚生労働省の「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査」によると、個人経営が9割を占めています。

株式会社などの組織になっていれば、本部を押さえれば、配下の店舗に商品を流通させることができますが、個人のお店だと1件1件に対して営業活動を行う必要があります。

メーカーが自社でそれを全て行うことは非常に困難なので、その役割を担ってくれる代理店は、メーカーにとって、流通チャネルとして重要な存在です。

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このように、美容室専売品の流通において、代理店はメーカー、美容室の双方にとって重要な役割を果たしています。

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ここからは、美容室専売品の専業メーカーNo1のミルボンを支える2つの独自システムについてみていきます。

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1つ目は「フィールドパーソンシステム」と呼ばれる、化粧品業界における美容スタッフに似たシステムです。

ミルボンは販売先の美容室の開拓を代理店に任せるだけでなく、自社でも行っています。
美容スタッフとの違いは、フィールドパーソンのカウンセリング相手は美容室、美容師という点です。

ミルボンは「美容室と共に繁栄する」ことを目指しています。
そのため、商品を売り込むのではなく、美容室から直接、課題を聞き出し、解決策を提供する提案型営業活動で、美容室の繁栄に貢献しています。

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2つ目は、「TAC製品開発システム」と呼ばれる独自の製品開発方法です。

TACは、Target Authority Customer(顧客代表制)の略で、TAC製品開発システムとは、成功している美容師を製品開発のパートナーとし、その成功の秘訣を分析し、他の店舗でもその優れた手法が再現できるよう製品に落とし込み、標準化を図る仕組みです。

人気の美容師が100%満足する製品を開発することで、多くの美容師や利用者が満足するものを作り上げます。

ミルボンの売上の2割を占める「オージュア」は、このTAC製品開発システムから誕生しました。

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このように、ミルボンは「フィールドパーソンシステム」と「TAC製品開発システム」を連動させ、成長力の高い美容室を開拓し、その美容室をさらに成長させるだけでなく、成長の源泉となっている人気美容師のノウハウを標準化、製品にすることで、さらに多くの美容室の成長を促すという、正のサイクルを築いています。

この正のサイクルにより、「美容室と共にミルボンも繁栄する」という目標を達成し、好業績につなげています。

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これが販管費にどう表れているのかみてみます。

まず人件費です。
ミルボンにとって、フィールドパーソンは成長の源泉であり、その人数はKPIになっています。そのため、販管費の中でも人件費は大きな割合を占めています。

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次に販売促進費です。
こちらは5%と、コーセーの33%と比べると非常に少ない割合になっています。

美容室専売品の流通における代理店の役割の重要性は先ほど述べたとおりですが、その代理店に対し、ミルボンは販売奨励金による販売促進は行っていないのでしょうか?

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ミルボンの販売促進費が少なくなっているのには理由があります。
ミルボンは2019年12月期から「収益認識に関する会計基準の変更」を行っています。

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収益認識を変更したことにより、

・販売促進費に計上していたリベートが売上高から控除
・無償サンプルの費用が売上原価に加算

されることになりました。

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収益認識の変更前後が比較可能な2018年12月期のPLを比較してみると、売上原価と販管費の割合が変化しているのがわかります。

販管費の内訳を見てみると、販売促進費が17%⇒5%に大きく減少しています。

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以下のグラフは、売上高に対する人件費と販売促進費の割合の推移です。
人件費、販売促進費ともにほぼ一定の割合で推移していたのが、2019年12月期の売上高販売促進費率が大きく減少しているのがわかります。

このように企業分析を行う際は、単年だけで見るのではなく必ず時系列でも確認を行い、大きな変化があった場合は、その理由を確認する必要があります。

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なお、収益認識に関する会計基準については2021年4月から適用開始が予定されており、今後、多くの企業で変更が行われる見込みです。

コーセーとミルボンのPL比較結果まとめ

toC向けのコーセーは、

・美容スタッフによる販売活動とブランディング
・消費者の認知獲得のため、広告宣伝にお金をかける
・積極的な販売促進を行う

というマーケティング戦略を取っており、その結果、販管費の割合が大きくなります。

toB向けのミルボンは、

・美容室へのコンサルを行うフィールドパーソンがKPI
・販売先が美容室のため、広告宣伝はほとんど必要ない

というマーケティング戦略であり、toC向けのコーセーより販管費の割合は小さくなっています。

また、収益認識に関する会計基準の変更により、販売促進費が売上高から控除された結果、さらに販管費の割合が減っています。

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美容室専売品の流通の闇

ここまで、「美容室専売品は美容室でしか買えない」と書いてきましたが、読んでおられる方の中には、

「美容室専売品って、ロ○トやド○キ、ネットでも買えるけど」

と、思っている方もいらっしゃると思います。

ネットで探してみました。確かに、ネットで普通に売っていますね。
これは一体どういうことなのでしょうか???

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そこには、美容室専売品の流通の闇が存在していました。

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美容室専売品の流通の闇、それは、非正規のルートでの美容室専売品の横流しです。
本来美容室にしか流通しない美容室専売品がどのように横流しされているのか、例を3つあげます。

まず1つ目。代理店(卸売業者)から横流しされるルートです。

上でも書きましたが、販売目標をクリアした代理店(卸売業者)には、メーカーから販売奨励金が支払われます。
この販売奨励金を目当てに、代理店(卸売業者)は商品を自社の販売能力を超えて大量に仕入れます。
売れ残った在庫について、メーカーからの仕入値で買取業者に横流しすれば、販売奨励金の分だけ儲かるという仕組みです。

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2つ目は、廃業した美容室から流れるルートです。

美容室は非常に競争の激しい業界のため、倒産する美容室も多数存在します。倒産した美容室が保有していた在庫について、買取業者が安値で買い取り、ネット等を通じて消費者に販売します。

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3つ目は、美容室(美容師)が横流しするルートです。

美容室専売品の販売にあたっては、購入者への事前カウンセリングが必須などの条件がメーカーから付けられていることが多いです。

そうした条件が厳しい商品ほど需要も多く、高く売れるため、不正に稼ぎたい美容室(美容師)が、商品を買取業者に横流しする、フリマサイトなどで直接販売する、といった方法で不正に販売していることもあるようです。

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では、これらの不正流通に対し、メーカー側はどのような対策を行っているのでしょうか?
ミルボンを例にみてみます。

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1つ目の対策は、「信頼のおける美容室を選んで契約する」です。

特にオージュアなどの上位ブランドについては、販売を希望する美容室に対して無条件に販売するのではなく、信頼のおける美容室かどうかをしっかりと見極め、その上で不正販売が行われないよう、しっかり契約条件に定めるという方法を取っています。

ただ美容室側に厳しい制限を課すだけでなく、「自社ブランドの取り扱い美容室」として公認し、HP上に公表することで、美容室側のプロモーションに貢献しています。

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2つ目は「製造番号による管理」です。

商品に5桁の番号を付与し、特定可能とすることで横流しを牽制する効果を狙うだけでなく、万が一、不正に流通した場合にその流通経路を特定する手がかりとしています。

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ただ、これらの対策も不正流通を防止するには十分ではなく、2019年には初の刑事事件になっています。
商品を横流しするだけでは罪に問うことができませんが、このケースでは製造番号を削って販売したため、刑事事件に発展しました。

実はミルボン側では以前より不正流通の情報をキャッチしており、立件可能な状態になったタイミングで警察と連携し、一気に逮捕まで持っていったと言われています。

このニュースは美容業界では非常に大きなインパクトがあったようです。

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が、それでもネットを検索すると美容室専売品が普通に売られています。
参加者の方のコメントにもあるように、この闇は非常に深いようです。。。

このnoteを読んだ皆さんは、美容室専売品は美容室で買いましょう。

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milbon:iD(美容室専売品のオンライン販売)

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美容室専売品の不正流通が発生する理由の一つとして、「美容室に行かないと買えない」という点があります。

この課題を解決するため、ミルボンでも2019年に「milbon:iD」というオンラインストアをスタートしました。

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こちらは、milbon:iDをビジネスモデル図解したものです。

特徴としては、誰でもミルボンの商品を買えるというものではなく、あくまで「美容室を利用すること」が前提になっているという点があります。
そのため、オンラインストアで購入するためには、

①美容室を利用する
②美容室でサロンカードを受け取る
③サロンカードを使ってmilbon:iDに登録する

という手順を取る必要があり、購入できる商品も登録した美容室で取り扱っているブランドの商品のみとなります。

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もう一つの特徴は、「美容室に売上計上される」という点です。販売価格も美容室側で設定することができます。

メーカーの直販サイトではなく、あくまで美容室とその利用客のためのオンラインストアになっており、「美容室との共存・共栄」というミルボンのポリシーが反映されています。

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おわりに

コーセー、ミルボンという企業を通じて、「ヘアケア用品」について掘り下げてみましたが、いかがだったでしょうか。
かなりヘアケア用品について詳しくなったのではないでしょうか?
(シャンプー、トリートメント、コンディショナーの使う順番は覚えていますか?笑)

今回の分析にあたり、行きつけの美容室でフィールドワークしたのですが、「美容室専売品の流通の闇は本当に深い」と、担当の美容師さんもお話されていました。

美容室専売品は効果が高い分、適切に使わないとアレルギーが出てしまったり、期待した効果が出なかったりするので、ちゃんと美容師に相談して欲しいとのことでした。

私も、もし美容室専売品を使いたくなった場合は、必ず美容室で相談して買おうと思います(^^)
ただ、坊主以外の髪型にする気はないんですけどね笑

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