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忍殺TRPG公式サンプルシナリオ小説風リプレイ【ア・ネット・オブ・エントワイン・コンスピーラシィ(その4)】

アイサツ

ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPG公式サンプルシナリオのマップを利用した小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPG及び公式サンプルシナリオについては下記の記事をご覧ください。(一部有料記事となります)

 なお本記事はニンジャスレイヤーTRPGのサンプルシナリオをプレイした記録であり一部公式より抜粋、改変させていただいている記述がありますがニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。
また、PLもNMもすべて私が行っております。ご了承ください。

こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

ではやっていきたいと思います!

本編

グレーターヤクザの部屋

「ザッケンナコラー!」「グワーッ!」

ゴアソード・ヤクザクランの恐るべき重サイバネ改造グレーターヤクザ、【ライオンをも血祭りにする】ケンガは、ヤクザデスクの上から煙草の吸殻が山と盛られたクリスタル灰皿を掴み、報告に来たレッサーヤクザの頭をカチ割った。

「グワーッ!グワーッ!」「スッゾコラー!」「グワーッ!」更に【ライオンをも血祭りにする】ケンガは痛みに転げまわるレッサーヤクザの背中を容赦無く踏みつける。レッサーヤクザの顔が激痛に歪んだ。「グワーッ!ゆ、許してくださいケンガ=サン!」「ウルッセーゾコラー!」「グワーッ!」更にストンピング!

「兵隊が全滅しやがったことなんざどうでもいいんだよコラーッ!んな事より!何で!盗られちゃいけねえデータが盗られてんだコラーッ!スッゾコラーッ!」「アイエエエ……!ちゃんとハッカーと傭兵に守らせてたんですが……!」「そのハッカーと傭兵がくたばってんだろコラーッ!ボケがオラーッ!」「グワーッ!」ストンピング!

「クソクソクソが……!こんなことが奴の耳に入ったら……」【ライオンをも血祭りにする】ケンガは頭を激しく掻き毟りながらウロウロと歩き回る。その姿に武闘派で鳴らしたグレーターヤクザとしてのソンケイは無い。だがそれも仕方の無いことだろう。彼は数か月前にこのクランの実質的な支配者の座を奪われてしまったのだから。あるニンジャによって。

(こうなりゃいっそのこと夜逃げして……)「ア、アイエエエエ!?アイエエエ!アバババーーッ!」「!?」その時、地面に倒れ伏していたレッサーヤクザが突如として断末魔の声を上げる!一体何が!?頭部のダメージがそこまで重篤だったのか!?否!そうではない!レッサーヤクザの方に振り返った【ライオンをも血祭りにする】ケンガが見たものは……!

「アババーッ!アババババ―――ッ!」「Gulp!Gulp!Gulp!」ナ、ナムアミダブツ!サメだ!タタミを水中めいて泳ぐバイオホオジロサメがレッサーヤクザの頭部に噛み付き、咀嚼しているではないか!「アババーッ!」レッサーヤクザ死亡!ナムアミダブツ!

「Gulp!Gulp!Gulp!シューッ……!ケンガ=サン。状況を説明してもらおう」バイオホオジロサメが喋った!?なんたる正気を蝕む恐怖体験!だが読者の皆様にはどうか意志を強く持っていただきたい!サメと言ってもただのサメではないのだ!そう、バイオサイバネティクスにより頭部をサメに改造した……ニンジャなのである!

「ア、アイエエエ!ランドシャーク=サン!何も問題ありやせん!アンタのお手を煩わせることは何もありやせん!」【ライオンをも血祭りにする】ケンガは弁明の言葉を述べると、サメの回遊する海の中へ沈みゆく船に取り残された乗客めいてヤクザデスクの上に慌てて飛び乗った。

「シューッ!」「グワーッ!?」ランドシャークと呼ばれたサメ男がドルフィンジャンプめいてタタミから飛び出すと、その複数列並んだ牙で【ライオンをも血祭りにする】ケンガの耳をすれ違いざまに食い千切り、再びタタミに着水した。「グワーッ!グワーッ!」「状況を説明せよ」「ハ、ハイィ!」【ライオンをも血祭りにする】ケンガは情け無い声を上げた。

…………「っつう次第でして、ハイ」「フゥーム、ナルホド……」ランドシャークはタタミの中を泳ぎながら【ライオンをも血祭りにする】ケンガのもたらした情報を頭の中で反芻していた。その魚類めいた瞳は深海めいた暗闇を湛え、如何なる感情も読み取れない。

(妙だな。ソウカイヤのニンジャにしては動きに無駄が多すぎる)ニンジャ三人によるカチコミ。それを聞いたランドシャークが最初に下手人として予想したのはソウカイ・シンジケートだ。今のネオサイタマで複数のニンジャを同時に動かせるニンジャ組織は限られるためだ。

(だがソウカイヤは既に我々の情報をある程度は収集している筈。ダイダロスという凄腕のハッカーも居る。なのに何故真っ先に電算室へ向かわずにドージョーや牢屋などに行く?とても我々のことを知る者の動きとは思えない)サメの背鰭がタタミの上を滑り、床に広がる血の染みを伸ばす。

(恐らく、連中はソウカイヤのニンジャではない。ソウカイヤ以外でニンジャ戦力を複数有していて我々の組織に敵対しそうなニンジャ組織と言えば……)ランドシャークは脳内で複数の名を思い浮かべる。オムラ・インダストリ、サヴァイヴァードージョー、イッキ・ウチコワシ、あるいは……

(まさか……ザイバツ?ザイバツ・シャドーギルドか?ネオサイタマから撤退したと聞いていたが……)「ラ、ランドシャーク=サン?まだ何かありやすか?」「イヤーッ!」「グワーッ!」ランドシャークはタタミから飛び出し、【ライオンをも血祭りにする】ケンガに空中回し蹴りを食らわせデスクの上から吹き飛ばした。

「グワーッ!グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ランドシャークは痛みに転げまわる【ライオンをも血祭りにする】ケンガの背中を容赦無く踏みつける。【ライオンをも血祭りにする】ケンガの顔が激痛に歪んだ。

「現状は把握できた。残りの兵隊をこの部屋に集めろケンガ=サン。奴らは私が処分してやる」「グ、グワーッ!ヨロコンデー!」平坦な口調で背中を踏みにじるランドシャーク。【ライオンをも血祭りにする】ケンガは痛みを堪えながら彼の鮫肌めいた灰青色のニンジャ装束の胸元に光るプラチナ製のバッジを見た。『天下』の漢字を象った威圧的なバッジを。

◇◇◇

宝物庫

7宝物庫

レツノスケニューロン調査判定:5d6>=5 = (1,2,6,3,1 :成功数:1) = 1

電算室の向かいにある部屋に足を踏み入れたレツノスケ達はその部屋の内装を見てすぐに危険を察知した。壁に飾られたショドーや歴代オヤブンの額入り写真。ガラスケースに入れられたトロフィーや美術品。だが、それ以上に目を引いたのは。

「……キンタロアメ殺人レーザーか。一介のヤクザクランが随分と大仰なトラップを」レツノスケの視線の先、部屋の中央にあるガラスケース内には赤漆色の鞘に納められた年代物のカタナが置かれている。

だが、その周囲には壁から放たれた殺人レーザーがまるで蜘蛛の巣のように張り巡らされている。この赤い糸に触れたが最後、ニンジャといえども輪切りにスライスされたブザマな屍を晒すことになる。それだけあのカタナがこのクランにとって大事ということだろう。

「この部屋に非ニンジャの気配はありませんね。ニンジャも居ないようですし、後回しにしますか?」「いや、せっかくだ。そこのカタナもいただいておこう。売り物にしても良いし、イクサの役にも立ちそうだ」「ナルホド!非ニンジャのクズ共には勿体ないですね!我々が正しく運用しましょう!」「そういうことだ……数秒待て」

レツノスケは部屋の隅に隠されたLANポートにオイランアサシンの死体から剥ぎ取った携帯用UNIXを接続し、ハッキングを開始する。「イヤーッ!」物理タイプとキネシス・ジツによる非接触物理タイプの併用によりそのタイピング速度はテンサイ級の領域に迫る!「イイヤァーッ!」レツノスケのニューロンが加速し、加熱する!

……キャバァーン!ハッキングが無事完了!「……フゥー。ネクロマ=サン、悪いが回収作業を頼む……」「ヨロコンデー、レツノスケ=サンは少し休んでいてください」「すまん……な」レツノスケは滝のような汗を流しながらその場に座り込み、息を整える。

レツノスケハッキング即応ダイス2消費:7d6>=5 = (3,3,3,3,6,6,3 :成功数:2) = 2
レツノスケ即応ダイス残り3

*カタナ*GET
レツノスケが所持する
レツノスケ即応ダイス残り2

「お疲れさんです。レツノスケ=サン」「ああ、ヴァルナ=サン……どうだった」「一通り見て回りましたけど、後はもう残っとるんは一部屋だけです」見回りから帰って来たヴァルナがレツノスケの隣にすっと正座し、耳打ちした。サクラを思わせる淡い香水の匂いがレツノスケの鼻腔をくすぐる。「で、どうもその部屋ん中で手ぐすね引いて待ち構えとるみたいですわ」

「そうか……」「えらくお疲れのようですけど大丈夫なん?ニンジャ相手のイクサはこれからですえ?無理せんと仮眠室で休んどき」「心遣い痛み入る。だが少々ニューロンが疲労しただけだ。少し休めば何の問題ない」「そら何より。レツノスケ=サンが元気無いと、うちはもう心配で心配で……オヨオヨ」「そうか」

「お待たせしました!他にトラップは無かったみたいです、レツノスケ=サン」「ああ、見せてくれ」ネクロマが二人に駆け寄り、ガラスケースから回収したカタナをレツノスケに差し出した。レツノスケが鞘からカタナを引き抜くと、血で濡れたように赤い刃にエンハンスの光が宿り、刀身が紅い水晶のように輝いた。

「ワオ、ゼン……!なんて見事なカタナだ……!」「ほんまやなあ。間違いなく歴史のある値打ちもんや。さっき回収したボンサイの作り物も後100年すればこのカタナみたいな風格を出すようになるんとちゃいますか。よう知らんけど」「ウム、思わぬ掘り出し物だったな。これは私が持つとしよう」レツノスケは満悦の笑みを浮かべ、赤く輝くカタナを鞘へと封じた。

「ではいよいよだ。ニンジャが居ると思しき部屋へと向かうぞ。覚悟はいいな?」「ハイ!全力を尽くします!」ネクロマが両手の拳を胸の前でかち合わせた。青白い光が火花めいて弾けた。「ほな、今のうちに帰りのたくしー……タクシーでも呼んでおきます?今度は詐欺に遭わんようにせんと」「フッ……そうだな」

三人は宝物庫を出て応接間奥の部屋へと向かう。既にゴアソード・ヤクザクランの事務所はほとんどの部屋がニンジャの暴力によってブラッドバスと化していた。……だが、今宵この建物で流されるべき血はまだ流れ切っていない。今まではあくまで前哨戦に過ぎない。これから起こるイクサこそが今夜のメインイベントなのである。

◇◇◇

※ヤクザキッチンにて『オーガニックスシ』をGETし、レツノスケが所有します。

グレーターヤクザの部屋

8ボス部屋

「イヤーッ!」CLASH!他の部屋の扉よりも一際大きい扉を蹴り破り、レツノスケ達は最後の部屋へとエントリーした。「ヴォラッケラー!」「ダッテメッコラー!」「チャースイテッコラー!」ヤクザスラングの合唱が彼らを歓迎する。ヤクザ包囲網!

レツノスケはクローンヤクザの集団の奥に目を向ける。そこには異形の頭部を持つ男が一人、玉座めいたヤクザデスクの上に直に座っている。「ドーモ」彼はアイサツをした。

「私の名前はランドシャークです。ようこそネオサイタマへ、ザイバツ・シャドーギルドの皆さん」ザイバツの名がランドシャークの口から出た瞬間、ザイバツニンジャ達の纏う空気がわずかに揺らいだ。

ボスニンジャ
1:ランドシャーク2:カルネイジ3:ハイウェイローニン:1d3 = (1) = 1

「……ドーモ、ランドシャーク=サン。ハジメマシテ。ロンダイジ・レツノスケです」「ヴァルナどす」「ネ、ネクロマです。どうして我々がザイバツだと……」「ネクロマ=サン!」レツノスケが慌ててネクロマの口を塞ごうとしたが、一手遅かった。「ナルホド、本当にザイバツか」ランドシャークがせせら笑った。

「カマをかけてみたが、今の反応で確信に変わった。ソウカイヤにやられてキョートに引っ込んだ落伍者共が、今頃ネオサイタマに何の御用かね」「グ……貴様……」ブラフに引っ掛かった屈辱と忠誠を誓う組織を侮辱された怒りにネクロマが歯を食い縛る。

「落ち着きい、ネクロマ=サン。うちに何度も仲間を引っ叩く趣味はあらしまへんえ。そっちにそういう趣味があるなら、まあ、尊重はしますけど」ヴァルナがぴしゃりと言った。「そうだ。それに所属がばれてようが問題ない。これからどちらかの陣営はサンズリバーの向こう側へ赴いて、二度と戻ってこないのだからな」レツノスケが言葉を引き継ぐ。

「いえ……フー……大丈夫です」再び激昂しかけたネクロマであったが、二人の叱責を受けて平静を取り戻し、深呼吸を行うことで怒りを気化させた。「頼むでほんまに……で、そういうそちらは何処の生け簀の所属です?」ヴァルナは出し抜けにランドシャークに質問する。

「はて?何を言い出すかと思えば」ランドシャークは小首を傾げる。「所属も何も……私はこのゴアソード・ヤクザクランの事務所にヨージンボーとして籍を置いている一山いくらの傭兵ニンジャなのだがね」「てんご言わんといてや」とヴァルナ。

「こないにクローンヤクザが仰山居って立派なボンサイが飾ってあるような事務所で傭兵やっとる程のニンジャが、ザイバツのニンジャ三人相手に喧嘩売るほど鈍な訳無いやろ。ザイバツのことを知っとるなら尚更や……つまーり」「ゴアソードのボスの座は隠れ蓑……ザイバツに匹敵するほどの組織、あるいは後ろ盾があるという訳か」「ぴんぽーん」レツノスケの推測にヴァルナがおどけて返事をした。

「ザイバツに匹敵……とすればソウカイヤのニンジャでしょうか?」「ぶっぶー。それやったら応接間のリアルヤクザとかスモトリが言うとったことがおかしなるやろ」ヴァルナは両手の指で小さく×を作ってネクロマに突き付ける。

「このごあそーど……ンン……ゴアソード・ヤクザクランはソウカイヤと敵対しとる。それは確かや。それらの情報をまとめると、ソウカイヤと敵対して、ザイバツ相手に一歩も引かん組織がランドシャーク=サンの後ろに付いいとるってことやね。問題なんはその組織が何なのかっちゅうことやけど……やっぱツキジやろか。それともトヨス?」「くだらんな」ランドシャークはヴァルナの推理を一笑に付した。

「そっちの男が先程言った通りだ。これからサンズリバーを渡るお前達にそれを知る意味も権利も無い。ここで我が糧となれ、時代遅れのカルティスト共」「そら鮫は海洋生物やさかい、川ん中は泳げへんわな。うちらが丁重に運んで差し上げな溺れてまうやろ」「口の減らん女だ!」ランドシャークがヤクザデスクから飛び下りる!

「イヤーッ!」ザブン!そのままランドシャークは水泳選手の飛び込みめいてタタミの中に潜り込む!ドトン・ジツだ!「おおコワイコワイ!うち、泳ぐんは苦手なんよ。後はお二人に任せしますわ」「却下だ。別に泳ぐ必要は無かろうが」「泳ぎの特訓なら僕が後で付き合いますよ!」「そらよろしいなあ」

「ザ、ザッケンナコラー!ナメクチャテンジャネゾラー!ヤッチマエー!」完全にリラックスした態度のザイバツニンジャ達にカンニンブクロを爆発させた【ライオンをも血祭りにする】ケンガが怒りと共に号令を下し、周囲のクローンヤクザ集団も行動を開始した!「「「スッゾコラー!」」」

ア・ネット・オブ・エントワイン・コンスピーラシィ(その5)へ続く