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忍殺TRPG小説風リプレイ【シークレット・ミッション(その1)】

◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 今回挑戦させていただいたのはトラッシュさん作成のシナリオ【デッカー・ストーリー、序】です。詳細は下記の記事をご覧ください!

※なお、リプレイにあたりシナリオの描写を一部改変させていただいております。ご了承ください。

 挑戦者についてザイバツ・シャドーギルド所属のニンジャが想定されているとのことですので、うちのザイバツ・アプレンティス3人組に向かってもらいましょう

◆ロンダイジ・レツノスケ (種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(ザイバツ):4
カラテ    6		体力   6
ニューロン  6		精神力  6
ワザマエ   6     脚力   3/N
ジツ     3		万札   49

攻撃/射撃/機先/電脳  6/6/6/6
回避/精密/側転/発動  6/6/6/9
即応/緊急       4/1

◇装備や特記事項
 所持品: 『ZBRアドレナリン注射器』
 装備 : 『*カタナ*』『ストリートウェア:緊急回避ダイス+1』
 スキル: 『◉知識:貴族の流儀』『◉知識:犯罪(スラッシャー)』
 ジツ : 『☆カラテミサイルLV3』『☆◉レッサー・エンハンスメント』

組織内での立ち位置や性格:『反抗心や嫌悪』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ロンダイジ・レツノスケ】
キョートの没落貴族、ロンダイジ家の末裔にニンジャソウルが憑依。フリーランスニンジャとして裏社会で活動していたが、ザイバツからのスカウトを受けギルドへ加入する。家の再興が夢。
◆殺◆


◆ヴァルナ (種別:ニンジャ)  DKK:3    名声(ザイバツ):4
カラテ    6		体力   6
ニューロン  6		精神力  8
ワザマエ   6		脚力   3/N
ジツ     3		万札   32

攻撃/射撃/機先/電脳  6/6/6/6
回避/精密/側転/発動  6/6/6/9
即応/緊急       5/0

◇装備や特記事項
 所持品: 『家紋入りハンカチ(家族の写真読み替え):精神力+1』
 スキル: 『◉不屈の精神』『◉魅了』
      『◉交渉:煽り』
      『◉知識:ザイバツ』『◉知識:貴族の流儀』『◉知識:ファッション(着物)』
 ジツ : 『☆カトン・ジツLV3』
 
組織内での立ち位置や性格:『心酔や従順』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ヴァルナ】
キョート共和国アッパーガイオン、貴族階級の出身。実家はザイバツと関わりを持っており、ある日ニンジャ化したことでそのままザイバツ入りした。性格が悪い。
◆殺◆


◆ネクロマ (種別:ニンジャ)  DKK:7    名声(ザイバツ):4
カラテ    6		体力   6
ニューロン  6		精神力  8
ワザマエ   5		脚力   3/N
ジツ     3		万札   19


攻撃/射撃/機先/電脳  6/5/6/6
回避/精密/側転/発動  6/5/5/9
即応/緊急       5/1

◇装備や特記事項
 所持品 : 『オーガニック・スシ』
 装備  : 『人面皮(フェイスガード読み替え)』
 スキル : 『◉◉忠誠心:ザイバツ』『☆◉捕食回復』
       『◉知識:銃器』
 ジツ  : 『☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3』
 
組織内での立ち位置や性格:『心酔や従順』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ネクロマ】
ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。自らの体を半霊化させることの出来るネクロヘンゲの使い手。ザイバツの思想に心酔し、ニンジャの支配する世の中こそ世界のあるべき姿だと盲信している。
◆殺◆

 3人とも壁越え前で詰まってしまってますね。今回の任務で壁超えして変化を付けたいところですがどうなるでしょうか。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

 電脳都市ネオサイタマにも再開発の遅れた地域というものは存在する。マルノウチ北東、時代の流れから取り残され、江戸時代からタイムスリップしてきたのかと思うほどに古めかしい建物が今なお残るセンソ・ディストリクトもそのひとつだ。

 そこにあるラクシャージ・テンプルは資金難が原因で潰れてしまい、それと同時にカンヌシやレッサーボンズはブッダに対する信仰を失ってこのテンプルを出て行ってしまった。あとに残されたものは長い年月の間を重金属酸性雨に晒され、見るも無残に朽ちた廃寺とハカイシのみだ。しかし今、そんな荒れ果てたテンプルの敷地内を歩く細身の影がひとつ。女だ。

 女はアンタイブディズム・ブラックメタリストでもなければユーレイゴスでもない。遠目でも分かる上等なキモノはキョート共和国のもの。そのたおやかな身のこなしは彼女がアッパーガイオンで生まれ育った生粋の貴族であることを物語る。女はサイドテールにまとめた髪が湿った風になびくのをどこか不満そうな目つきで眺め、本堂へと足を踏み入れた。

「ドーモ!お疲れ様ですヴァルナ=サン!お待ちしておりました!」本堂に入った途端に聞こえてきたその場に似つかわしくない明るいアイサツに女……ヴァルナは僅かに眉をひそめ、アイサツを返した。「ドーモ、ネクロマ=サン。相変わらずお元気そうやなあ」

 ヴァルナにネクロマと呼ばれた男はまるでハカバの下から這い出てきたかのような風貌をしていた。瘦せこけた色白の五体にボロボロのニンジャ装束を纏い、人の顔の皮で作ったメンポで口元を隠している。彼はその瞳や開いた口の奥に怨念の籠るヒトダマめいた青白い光をちらつかせた。

「そりゃあもう!これから任務ですからね!ヤルキ十分ですよ!しかも久々の3人一緒の任務とあればなおさらです!」「そらよろしいなあ」ネクロマが両腕で力こぶを作るようなポーズをとり、ヴァルナは視界と思考からネクロマの存在を消去して条件反射で返事をした。

「騒々しいぞ、ネクロマ=サン。静かにしろ」その時、闇の中から滲み出てくるように新たな男がエントリーした。和服めいたパーカーを目深に被り、腰には赤漆塗りの鞘に納められたカタナを差している。

「ドーモ、レツノスケ=サン。まあえらい久しぶりに会った気がするわ。少し見いひん間にだいぶ顔が引き締まりましたなあ。あ、それともただ単にやつれただけやろか?」「黙れヴァルナ=サン。もう時間だ。とっとと位置につけ」ヴァルナの毒のある言葉をレツノスケは適当に躱し、ギシギシと音の鳴る床の上にアグラをかいた。ネクロマは意気揚々と、ヴァルナは含んだ笑いを零して同じようにする。

 若きザイバツ・ニンジャたちは三角形に向き合って座り、目を閉じて瞑想を行う。すると、『………-モ……聞こえ……』やがて3人のニューロンにノイズの混じったような声が響く。彼らはラジオのチューニングを行う様にして己の意識を声に合わせていく。やがて、声は明瞭さを持って3人の脳裏に届いた。『ドーモ、ボーツカイです』

「ドーモ、ボーツカイ=サン。ロンダイジ・レツノスケです」「ヴァルナどす」「ネクロマです!ドーモ!」3人はニューロンに浮かぶ柿色のニンジャ装束を纏うニンジャへアイサツを返した。『全員揃っておるな。さっそくだがお前たちがこれから行うミッションを説明する。よいな?』

 レツノスケたちが無言の肯定を返し、ボーツカイは満足げに頷いてから語り始めた。『お前たちがネオサイタマに来てすぐに行ったゴアソード・ヤクザクランの粛清任務。そこで手にした情報の解析が完了した』「情報……確かUNIXにあったフロッピー・ディスクと」「『天下』だか『安価』だかいうバッジでしたなあ」

『ウム、その結果、我々はザイバツ、ソウカイヤに次ぐ第三のニンジャ組織の存在を発見した』ボーツカイの言葉に場の空気が緊迫したアトモスフィアに包まれる。「第三のニンジャ組織ですって!?ソウカイヤ以外にそんな愚か者どもがいるというのですか!?信じられない!」

『気持ちは分かる。だが事実だ』ボーツカイの言葉には怒りがこもる。おそらくはネクロマの抱いているものと同じ理由の怒りが。「その組織の名は?」『アマクダリ・セクト。これはお前たちが手に入れたフロッピーに記載されていた』

 アマクダリ・セクト。レツノスケ、ヴァルナ、ネクロマはその名前をニューロンにしかと刻み付けた。「では今回の任務というのは」『ああ、このアマクダリに対して攻撃を仕掛ける。当然だが我々の仕業だとバレてはいかん。極秘ミッションだ』

 現在ネオサイタマを支配するソウカイヤとキョートを支配するソウカイヤの間では不戦協定が結ばれている。本来ならばザイバツ・ニンジャがネオサイタマの土地にいることは協定違反なのだ。ゆえに彼らはソウカイヤに自分たちの存在が悟られることの無いよう細心の注意を払ってきた。だが、ここへ来て別のニンジャ組織からも身を隠さねばならないとは。レツノスケは内心で自らの境遇を嘆いた。

「シツレイですがボーツカイ=サン。アマクダリとはそこまで恐れるような相手なのでしょうか?一気に攻め落とすか、あるいはソウカイヤのヤクザどもと潰し合わせては」『そこが厄介なのだ。アマクダリという名前の組織が確かに存在することは突き止めたが、その規模がまったく掴めん。おそらくソウカイヤの連中も同じ程度の情報しか持ってはおるまい』

「つまり、攻め落とすにも敵が何処にどれだけいるか分からないということか」「せやったら、今回のミッションいうんはどないするんです?」レツノスケがまとめ、ヴァルナが疑問を口にする。『案ずるな。優秀な電算機室の懸命の働きによってフロッピーに隠されていたデータが解析され、それをもとにエーリアス=サンがユメミル・ジツである情報を入手した』

「流石電算機室の皆さんとエーリアス=サンです!それで、その情報とは……?」『ウム……それは……』ボーツカイはややもったいぶったように言葉を止め、やがてその名前を口にした。『クローンマッポ計画だ』

「クローン……マッポ?ヤクザではなく?」レツノスケはその不吉な名に背筋に冷たいものが流れるような感覚を味わいつつ、詳細を尋ねる意図で聞き直した。『そう、先日ネオサイタマ政府によって組織を承認された治安維持機構『ハイデッカー』、そして現在水面下で進行している『クローンマッポ計画』。このそれぞれに『アマクダリ・セクト』の息がかかっていることが判明した』

「それって……まさか!」それが意味することを悟ったネクロマがその白い顔を更に青白くさせた。「はいでっかー……ンン……ハイデッカーを、くろーん……ええい、ややこし名前ばっかりやな。レツノスケ=サン。説明頼みますわ」一方、ヴァルナは普段通りであった。「……ハイデッカーと呼ばれる治安維持機構の人員をクローンで賄おうというのだろう。合理的だな」レツノスケは冷静に思ったことをコメントした。

「そんな……!断じて許せることではありませんよ!」ネクロマは興奮のあまりボーツカイとの通信が途絶えそうになる。「我々ギルドのニンジャが支配するべきものを横から奪おうだなんて!すべての治安はザイバツの理念と思想を受け継いだニンジャによって維持されるべきです!」「問題はそこか」「まあネクロマ=サンらしいんとちゃいます?よう知らんけど」

『ネクロマ=サンの意見はどうあれ、我々が今後も活動していく上でソウカイヤとアマクダリ、このどちらもイニシアチブを握ることのできない膠着状態を維持することこそが望ましい』ボーツカイは両手を上げて、バンザイの姿勢をとる。『故に、何としてもこの計画を潰す。すべては格差社会実現のために!』

 レツノスケ、ヴァルナ、ネクロマもボーツカイと同じように両腕を上げた。そして!『ロードの治世、栄えあらんことを!ガンバルゾー!』「ガンバルゾー!」「ガンバルゾー!」「ガンバルゾー!」『ガンバルゾー!』「ガンバルゾー!」「ガンバルゾー!」おお……ナムアミダブツ!今、ニンジャ三大組織による抗争が幕を開けたのだ!ナムアミダブツ!おおナムアミダブツ!

シークレット・ミッション(その2)へ続く