よの泥々の
「とてもいい夢を見たよ」 同居人は、んっと息をつめて背伸びをしながらそう呟いた。伸びきった袖がてろてろと肌を伝って、生白い腕が露出する。薄い皮膚が肘に弛み、集まって妙な模様をつくっていた。どんな夢だったのかわたしは尋ねなかった。夢は言葉にすると、見ていたときの特別な情動を忘れてしまうから、いい夢なら黙って身体に染み込ませるのがいいと思う。 「わたしは、美容室に行きたかったんだけどね。ここを抜けたら近道だと思って行ったら、3方向ビルに囲まれた駐車場だったっていう夢を見たよ。作業
2020/8/8(土) 鼻のプロテーゼ入れ替え、鼻尖形成を受けました。 ただいまダウンタイム真っ最中で顔面がパンパンです。すれ違う人すべて殺して自分も死にたいくらいの精神状態ですが、殺意と希死念慮を指先に込めて、今この文章を打っています。キーボードは闇色に染まっています。 1. 元はといえば、あれは昨年の秋、「美容整形をしよう」と思い立ったのがすべてのはじまりだった。 物心ついた頃には自分の顔がコンプレックスだった。幼い頃から「わたしの悪いところと、お父さんの悪いところを
エッセイでもいかがですか。いかがですかエッセイ。 日常という床に細切れで散乱している、ちっぽけなわたしのちょっとした思想に、皆様の貴重な一日のうちの数分を費やしていいんですか。それでもいいならいかがですか。 夕方、ふとチーズナンが食べたくなり、自宅から徒歩7分程度のところにあるインドカレー屋さんに向かった。 チーズナン。熱々の生地をそっと、両手の指先を使ってつまんで引っ張る。表面にサクッと罅が入った瞬間、チーズの油分が溢れだす。この美味しさの前には、指が汚れることなど気にな
1. わたしは高校生の頃が人生の底だったと思う。勿論、これから更に深いところへ落ちていく可能性は否めないが、21年間中15~18年目が生きていて一番つらい時期だった。 元々崖っぷちにはいた。家族のことが要因として大きい。それは別のnoteでシリーズ化して語っていきたいが、シリーズ化どころか1作目の下書きの段階である。予定は未定であるが未定は予定である。頑張る。 崖から転落し一気に底まで転げ落ちたのは、高校受験の合格発表の日がきっかけだった。 中学まではとても成績が良かった。
最初に自己紹介として述べておくが、わたしは摂食障害である。7年目の中堅だ。世の中には30年目の方もいるらしいから中堅としておく。現在は過食嘔吐に悩まされている。「過食嘔吐って何?」と思われる方もいるかもしれないが、大量に食べて吐くことがやめられない病気だ。もし気になったなら検索してみてほしい。 2020年5月中旬、緊急事態宣言による自粛生活ですっかり心が参り、過食嘔吐が急激に悪化した。そもそも、休日は取り敢えず外に出るタイプだった。恋人や友達と会って話したり遊んだり、何も予定