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記憶のメカニズム①

今回は、「人間の感覚」と心理学ということで、まず私が触れたいのは
【記憶】についてです。

皆さんも経験していることだと思うのですが、幼なじみの名前はいつまでたっても思い出せるのに、数分前にあった人の名前を簡単に忘れてしまう...

なんて経験ありませんか?(私はめちゃめちゃあります...)

このように記憶とはとても不思議なもので、心理学の分野では、古くから多くの研究者によって研究が重ねられてきました。
その代表者が、アトキンソンシフリンです。

一般的に記憶は、彼らの研究にしたがって、


【感覚貯蔵の記憶】【短期記憶】【長期記憶】


この3つに分けて考えられています。

感覚貯蔵の記憶・・・次々と忘れられていく短命な記憶
見たまま、聞いたままを保持する記憶です。私たちは常に見たり、聞いたりして、多くの情報に晒されていますが、注意を向けられた情報だけが、次の記憶過程である短期記憶に貯蔵されます。注意を向けられなかった情報はすぐに忘れてしまいます。

短期記憶・・・一時的に保持する記憶
短期的な作業をするために、一時的に保持される記憶です。短期記憶は私たちが計算したり、本を読んだり、あらゆる認知的な課題を遂行するために、記憶を一時的に保持する作業台のようなものなので、「作動記憶」とも呼ばれています。短期記憶は大体15秒〜30秒以内には消失されます。

③長期記憶・・・いつまで経っても必ず思い出すことができる永続的な記憶
時として思い出すのに時間がかかることはありますが、一度長期記憶に落ちた記憶を忘れることはありません。私たちが日常で言う「記憶」はこの長期記憶をさします。
また、長期記憶は内容によって2つに分けられます。1つは言葉によって記憶される宣言的記憶です。一方で、自転車の乗り方のように、言葉では記憶されないものを手続記憶と言います。この中でも、さらに、宣言的記憶は、一般的な知識としての記憶である意味記憶と、ある特定の出来事に関して記憶されるエピソード記憶に分類されます。

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この他にも、記憶にはさまざまな種類に記憶があるので、代表的な物だけご紹介致します。

フラッシュバブル記憶・・・写真のように焼き付けられる
これは、劇的で感情的な出来事がそっくりそのまま、写真のように焼き付けられる記憶のことです。有名な例として、ケネディ大統領の暗殺事件があげられます。ニュースで流れた暗殺現場のショッキングな光景は、まるで写真を見ているかのように今でも鮮明かつ詳細にその場面を思い出させます。この記憶は、ショッキングな場面で起こりやすいことから、後にトラウマになる危険も含まれています。

自伝的記憶・・・自分の将来を振り返って再現する
人が自分の生涯を振り返って再現する個人的な記憶を自伝的記憶と言います。無意識のうちに辛い記憶は抑圧され、多分に創作に満ちた記憶になってしまいます。またこの記憶として、想起されるのは10歳〜30歳の出来事が多いらしく、その年代が人生にとって大きな意味を持つことを教えてくれます。

記憶錯誤・・・思い込みで記憶が歪められる
経験したことが誤って追想されたり、空想が混同されたりして記憶が歪曲される記憶のことを言います。
アメリカの心理学者オルポートはイメージ操作の研究のため、ある実験を行いました。それは電車の中の風景を描いた絵を被験者に短時間だけ見せ、誰がナイフを持っていたか質問をすると言うものです。絵の中の乗客は、1人だけアフリカ系のアメリカ人であとは全員白人です。質問に答えたアメリカ人のほとんどはナイフを持っていたのは、アフリカ系アメリカ人であると答えました。実際は違いましたが...
このように、人がいろいろなものや出来事を見る時には、その人の経験やある種の偏見に基づいて対象を歪めてしまう可能性が多分にあります。

いかがでしたか?皆さんも思い当たるものがありました?
次の記事では、記憶についてさらに突っ込んだものを紹介します。
(次の方が実践的かも)

また次の記事でお会いしましょう♪

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