年末年始に出逢った奇人たち

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、告白します。

私は、変な人が好きです。
なぜか、変だなぁという人やモノにとても惹かれてしまいます。

変な人の定義は置いておいて
年末年始は変な人にたくさん出逢うことができたので、そのお話を。

年末、所属している楽団のお仲間と一緒に音楽に没頭する旅行に参加してきました。

この楽団には、”変な人”がたくさん所属しています。
具体的にはここには書かないけれど、技術も知識も兼ね備えつつ、音楽の好き度はまさに変態レベルの高さに達している人たちが多くいます。
この人たちに会うといつも舌を巻いてしまうというかお話についていけずに、目が点、思考がストップしてしまうのだけれど
今回、こちらの旅行にてまた新たに変な方に出逢うことができました。

その方は、昨年の夏の終わりにリサイタルで舞台に立っているピアニストさん?でした。

ピアノって、同じ楽器でも弾く人によって全く音色が異なるのです。
何人ものピアノの演奏を聴きながら
「あ、この人うまいな、もっと聴きたいな」と思う方がいらっしゃいました。

そして数ヶ月後、音楽仲間のお宅へ訪問したところその方とご対面。
部屋の隅にあった電子ピアノをさらさらと弾いておりました。

やはり私の耳は間違いなく、その方の演奏はうまい。
力が入ってないのに難しいフレーズをいとも簡単に弾いてしまうのです。粒もきれい。

その方(変人Aさんとしましょう)が
楽団の旅行にも参加されていたのです。

サックスも吹ける変人Aさん。
ピアノの前にて、MacやらiPadやら変な電子機器類を揃えはじめます。
ピアノの椅子に座り、iPadで楽譜を呼び起こして弾きはじめます。

ジャズ。

お洒落すぎる。

特に譜面には音符が書いてありません。
書いてあるのは簡単なメロディーとコードのアルファベットのみ(CとかDmとかね)。

私は躊躇いもなく聞いてみました。
「コードだけを見て、伴奏もメロディーもアレンジしながら弾いているのですか?」

するとAさんは、「そうですよ」とにっこり。

もうくらくらしました。
ピアノのスキルのみならず
アレンジのお洒落なこと、頭の中でできてしまうこと。
世の中にはAさんのような人が数多くいると思うけれど、
私は初めてそのような方にお会いし、そのレベルの高さに衝撃を受けました。

「あの、Aさんって何者ですか?」

つい頭で考えていたことをご本人にぶつけてしまいました。
それを聞いていた他のお仲間たちや変人Aさんに笑われながらもお応えくださったAさん。
聞けば、曲にコードをつけたりアレンジをしたりというお仕事をされているとのこと。

本職が音楽。
ピアニストではなかったけれど音楽で食べていっている人。
ガツガツしているわけでもなく、ただただ音楽が好きなようで、手にしたキーボードで、子どもたちがおままごとをしているときにキューピーのテーマソングなんかを弾いたりと遊びゴコロも満載。

ピアノが本職であるため、他の楽器の方のソロやアンサンブルの伴奏も担ってくださいました。
私もまんまとやられてクラリネットソロを吹くことになってしまいましたが
緊張するも気づけばそのピアノ伴奏に酔いしれていました。
気持ちを込めたいとき、ちゃんと盛り上げてくれる。ほんとにアンサンブルの醍醐味を味わわせてくれる時間でした。

「気持ち良かったです」
感想を伝えると
「伴奏冥利につきます」というご返答。
かっこええ。

こんな変人Aさんに劣らず、他にも変な人がたくさん。

変人Bさんは、吹奏楽やビックバンドをこよなく愛している方。
自らもビックバンドの経験を持ち、本場の音をよく聴きに行っておられます。

変人Bさんは本当に音楽の知識が深い。
楽器も上手なのは言うまでもなく。
吹奏楽作曲家のお話をされるとたぶんそれを肴に夜が明けてしまうほど。

旅行中も、ある作曲家さんのお話を聞いたのだけれど、なんでそんなマイナーな曲をどこから拾ってくるのだろう?とハテナだらけでした。

その変人Bさんがぽつりと呟きました。

「もっといろんな曲を聴かなきゃと思ってるんだよね」

その知識量で、まだ、まだ!知識が足りないとお思いですか?と突っ込みそうになりました。
とんでもないハングリー精神。変態だ。

そんなこんなで年を越し、私も音楽を深めたいと思って、以前から少しずつ始めている音楽理論を新年早々に実家で勉強しておりました。
よくわからず、実家に来ていた義理の弟に、そんな話をしつつテキストを見せると
「あーこれはね、、」といきなりオクターブの理論やコード進行の話などを五線譜を使って説明してくれました。

義理の弟はビックバンドに所属。
アレンジなども曲中に出てくるため、音楽理論に関してはご存知とのこと。
誰かに教わったわけではなく、学生のときに自ら習得したのだとか。

こんなにも近くに、知識の深い人が、変人が いたことにびっくり。思いがけない嬉しいお正月を過ごさせていただきました。

変な人ってすぐそこにいらっしゃるのですね。
もっとその変人ぷりをお聞きしたいものです。
そして、その方たちの音にも浸ってみたく。
願わくば、私もそちらの世界へ踏み入りたく。

今年も変な人たちを褒め称え、尊敬しながら、
音を楽しむ所存です。