身体感覚を考える(5)必要なのは具体的方法

 掛け声倒れにならないためには,なんらかの実行可能な具体案が必要である。一番望ましいのは,あることを実践することで,特別意識しなくてもそれに付随して身体感覚に対して気配りができるようになることだろう。
 あることを実践すると付随的に他のことも自然と変化するという例は,さほど珍しい現象ではない。たとえば職人技といわれるものにある。優れた職人は,道具を大切にするというが,これは技を究めることと道具を大切にすることが表裏一体となっているからであろう。すなわち優れた職人は「道具を大切にしよう!」と毎日自分に呼びかけているわけではなく,愛着とこだわりをもって仕事をしていると,自然に道具を大切にするようになるようだ。
 このように「身体感覚に気づくように」などと呼びかけるのではなく「こんなことをやれば結果として自然と身体感覚が養える」という具体案があると一番よいのだろうが,今のところ妙案はない。このため,身体感覚の話は「言うは易く行うは難し」の典型となりそうな危惧はあるのだが,それでも方向性だけでも見つけようというのが現段階での計画である。

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