見出し画像

HSPというひとつの個性のお話

おひさしぶりです。
または、はじめまして。

私は今年の春に仕事を辞めて、しばしフリーな時間を過ごしていた。時間はたっぷりあったので、自分の興味あることについて勉強してみたり、YouTubeを見たり、本を読んだりして過ごしていたが、一番していたのはじっくり考えてみること。忙しくしていた日々では考える時間もなかった、答えの出ないような、意味の無いようなことについて立ち止まって考えてみたり。

それはツイッターでトレンドに上がるような話題についてだったり、友達から聞いた恋愛の話だったり。その中でもいちばん深く考えたことは、自分自身の性格についてだった。

説明できない悩み

私は、昔からよくわからない「孤独感」に襲われることがしばしばあった。

基本的に、明るい性格でとにかく人が好き。誰とでも仲良くできることが長所で、周りから「いつも明るくて、元気をもらえるよ!」と言われることも少なくない。自分のそういうところが、私も好きだ。

でも、決して楽観的ではなくて、その日の出来事を深く気にして、友達と別れたとたん1人反省会を繰り広げてひどく落ち込んだり、少しでもネガティブな要素を仕入れると、しばらくはそのことがずっと頭を離れない。

目立ちたがりで思い立ったらすぐ行動できるエネルギッシュな面もあれば、何か気がかりが少しでもあると、気になってその場から一歩も身動きが取れなくなる。

自分のそういった二面性?のような部分に日常的に振り回されて、疲れるなぁと思うことがかなりあった。

特に悩んでいたのは、感受性が少々豊かすぎるところ。これだけ聞くといいように聞こえるが、度を超えて自分の感情をコントロールできなくなることがしばしばあった。あまりにも泣き虫すぎることが気になって夜な夜なググりまくったことは何度もある。

誰しも楽観的・悲観的な考えをどちらも持ち合わせているとは思うが、私の中では、2つの影響力のバロメーターの針が日々ぐわんぐわん上下している感じ。

大学時代にたまに飲みに行っていた友達が、あるとき「〇〇って結構ネガティブだよね」と私に向けて言ったことがあったが、その時にえらく感動したことを今でも覚えている。普通はネガティブと言われて、あまり嬉しくはならないと思うが、なぜかほっとした感覚があった。誰に頼まれているわけでもないのに「明るいキャラクター」を守りたかった私は、なかなか自分の陰の部分を人には相談できず、それが漠然とした「孤独感」を感じる原因となっていたのだと思う。

自分の中でもかなり不可解な部分だったので、この期間にそういった自分の一面についてよく考えた。そんな最中に、ブックカフェで一冊の本を見つけた。

一時期Amazonのベストセラーにも入っていたような本で、話題になっていたのでなんとなく存在は知っていたが、見かけても特に読んでみようとは思っておらず、その日はなんとなーく、たまたま手に取った。今では一番目立つような位置に置いてある書店もかなり見かけるので、目にしたことのある人も多いのではないだろうか。

読んでみると、結構、驚いた。

自分の悩んでいた、しかし言語化できなかったあの「孤独感」の正体はこれなのだろうと、何となく思った。ブックカフェで一気に読破したが、すぐに購入し、家に帰って何度か目を通した。

この本には、「HSP」という気質の話が書いてある。「HSP」は 「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、一言で言うと「とても繊細な人」という意味だ。90年代にアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱された概念で、これはなにかの病気や障害ではなく、一部の人が生まれながらに持っている気質だという。「気質」という言葉の解釈については、後天的な要因を持つ「性格」とは違って、あくまで先天的なものという意味らしい。全人口の約20%の人が持っているもので、5人に1人の人がHSPだと言えるので、大体日本人のB型の人数と同じくらい。(そう考えると結構いる)割合的には女性が少し多いようで、年代では若い世代に特に多いそう。統計的には出ていないが、私は日本人は特にHSPの人が多いのではないかと思っている。

少し前にワイドショーでもHSPについて取り上げられたようで、その時期にTwitterのトレンドにも上がっていたので、知っている人も多いのではないだろうか。

実際わたしの中でかなりホットな話題だったので、身の回りの人がどれくらいこの言葉を知っているかInstagramのストーリーでアンケートをとってみたが、137人中59人(約43%)が知っていると答えてくれた。

HSPの主な特徴

HSPの性質について、代表的なものを紹介すると、以下のようなものがある。
(出典;新宿ストレスクリニックHP)

【Deep of processing】考え方が複雑で、深く考えてから行動する
・一を聞いて、十のことを想像し、考えられる能力がある
・調べ物を始めると深く掘り下げ、その知識の広さを周りに驚かれる
・お世辞や嘲笑をすぐ見抜いてしまう
・物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる
・その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的なものごとに興味があり、浅い人間や話が嫌い
【Overstimulation】刺激に敏感で疲れやすい
・人混みや大きな声、騒音が苦手
・友達との時間は楽しいものの、気疲れしやすく帰宅すると、どっと疲労している
・映画や音楽、テレビ番組、本などの芸術作品に感動して泣く
・人の繊細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない
・些細なことに過剰なほど驚いてしまう
【Empathy and emotional responsiveness】
人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい

・人が怒られていると自分のことのように感じ、傷ついたり、お腹が痛くなったりする。
・悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する。
・人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる
・言葉を話せない幼児や動物の気持ちも察することができる
【Sensitivity to subtleties】あらゆる感覚が鋭い
・冷蔵庫の機械音や時計の音が気になってしまうほど聴覚が敏感である
・強い光や日光のまぶしさなどが苦手
・近くにいる人の口臭やタバコの匂いで気分が悪くなる
・肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できないほど気になる
・第六感がよくはたらき、よく当たる

私はHSPの存在を知ってから、HSPに関する本や記事を色々と読んだ。それらに示されている特徴には当てはまるものが多かったが、中にはしっくりこないものもあった。特に、特徴の一つとしてよく挙げられている「内向的な性格」には全く当てはまらないし、むしろ外交的な方。疑問を感じ、さらに調べていくと、HSPの中でもいくつかの分類があることを知った。

HSPの4つの分類

上の図は私がHSPの4つのタイプについて表にまとめたもので、主に性格が内向的/外交的かどうかと、刺激に対してネガティブ/ポジティブな感覚を持っているという2つの軸で分かれている。

分類には分かれているものの、把握して置くべきことはどのタイプだとしてもHSPの4つの特徴
・深く物事を考える
・強く共感する
・五感が鋭い
・刺激に敏感

を持ち合わせているということ。
その中でさらに分類が分かれている。
以下は私の仕入れた範囲内での情報なので参考までに。

①HSP(内向型HSP)
全HSPの約7割とされているタイプで、基本的に内向的なタイプの人が多い。刺激を目の前にすると不安を覚えやすく、避けていく傾向にある。疲れが溜まったときのエネルギーチャージはひとりでするのが効率が良いひとが多い。

②HSE(外交型HSP)
人と関わることがとても好きで、外に向けて対話することで自分の道を探しだすことも多い。強調性を求め、グループワークなども嫌いではない。基本的にリーダーを自ら進んでやるタイプではないが、他薦でやることになった経験がある人もいるかもしれない。刺激に対してはメガティブな方で、何か果敢に挑戦してみようという気持ちになることは少ない。

③HSS型HSP(刺激追求型HSP)
HSPの中では約3割といわれている。刺激に対してはとてもポジティブで、とにかく好奇心旺盛。ひとり旅行もへっちゃらな人が多い。しかし必ずしも人が好き、というわけではなく内向的な面も持ち合わせている。

④HSS型HSE(刺激追求型・外交型HSP)
HSE(外交的なHSP)のほとんどの人がこのタイプだとされている。社交的でとにかく人と関わることが好きで、刺激に対しても抵抗はなく、チャレンジ精神を持ち合わせている。リーダーや営業職などに向いている人が多い。人と関わるのが好きだが、何か行動する前にはひとりでじっくり考える時間が必要。

私が主に参考にしているサイトはこちらです。各種診断テストがあったり、YouTubeチャンネルも運営されているので、気になる方は是非。

「自分をよく知ること」の重要性

私がHSPについて知って、自分を見つめ直して思ったことは、「自分の取り扱い説明書」を作っておくことは、非常に重要なのではないかということ。
別に形にしなくてもいいのだが、自分の心の中に用意しておくだけでも日々の過ごし方の指針になり、自分の人生での選択が少しスムーズになるかもしれない。

それはHSPの人に限らず、全ての人に対して言えることだ。誰しも生きていく中で躓いて、立ち止まってしまうことはある。そんなときに自分のサポートをしてくれるようなバイブルを持っている人は起き上がりが早いと思うのだ。

私は先ほど書いた分類のうちHSS型HSEの性質がよく当てはまり、自分の悩みの多くはここからくるものなのだと何となく認識している。

この性質は変えようと思っても治せるものではないので、自分でうまく付き合って行く方法を考えることが重要になる。悩んでいる人にとって原因がわからないよりも、ある枠に自分を当てはめられる方が精神的に楽な面はあるが、だからといって自分はHSPだから…というふうに過剰に気にしすぎてもいいことはない。私はまんまとこの沼にハマり、HSPについて知り、安心感を覚えた次の日には地底に沈み、浮上するのになかなか時間を要した。HSPのことを気にしすぎると自分の選択肢が減ってしまう気がして、かなり滅入ってしまった。そのため、あくまで頭の片隅に置いておくくらいで、日々のうまくいかないこと、悩みを全てHSPのせいだと思い込んではいけない。HSPのひとはこの点を注意したほうがいいと思う。本当に困ったときにその概念を知っておくだけで心が軽くなり、対処もしやすくなると思うので、それくらいライトな感じに捉えた方がいい。

必要なのは理解ではなく、思いやり

最後に、ネットでたまに目にする「ファッションHSP」問題について少し物申したい。

HSPがワイドショーで取り上げられた後、多くの人にその概念が一気に広まったので、私もそうかもしれない!ということに気付き、ネットでそのことを公にしてハッシュタグをつけ「HSPさんと繋がりたい」という人が増えた。そのことに対して、「大々的にHSPだと言える人は本物ではない!ファッションHSPだ!」という意見が出て、小さな騒ぎになっていた。

私はこれを見て非常に悲しい気持ちになった。どうして同じような悩みがあるという人を攻撃してしまうのだろうか。自分のことは自分にしか分からないし、他人が一部の発言を見て決めることではないのだから、そんな論争は無駄なのではないか。他人を攻撃することは自分を守る方法にはならないのだから、この人と付き合えないかもしれないと思ったらそっと身を引けばいいだけなのではないだろうか。

私が今回この記事を書いた目的は、周りの人に私のことを理解してもらいたかったからではない。似たような悩みを持つ人にHSPのことについて知ってもらいたかったのと、HSPではない人に、こういう人もいるんだなーくらいに頭に留めておいてもらいたいという二つの目的があった。

人はお互いのことを完璧には理解し合えない。でも思いやることはできる。そんな思いを持って、みんなが気持ちよく共存できる世の中になれば素敵だなぁと、考えている。

それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?