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アフリカベンチャーニュース(2019年9月)

アフリカでは今、次々と新しいベンチャー企業が生まれています。世界の投資家からも注目されており、内外からの資金調達も活発です。アフリカならではの事業が発明されていると同時に、シリコンバレーや世界で普及する新しい技術・ビジネスモデルとの時差は確実に縮まっています。

アフリカにおけるベンチャー企業、ベンチャー投資、ベンチャー的な取り組みをまとめました。今月は、給与前払いアプリ、バンキングサービス、チャレンジャーバンク、家庭用太陽光発電キット販売、エンジニア育成ベンチャー、バス配車アプリ、デジタル地図、廃棄物回収、インキュベーションセンター、ファッションマーケットプレイス、中国トランシオンの香港スター市場上場などを取り上げています。
日本語で報道されない、現地の生の情報を、1カ月単位でまとめます。

なお、これらアフリカのベンチャー企業に関するニュースは、こちらの週刊アフリカビジネスをお申し込みいただければ、毎週定期的にお手元に配信されます。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。


【エジプト】エジプトの給与前借りアプリNowPayが500StartupsとEndure Capitalからシード投資60万ドルを獲得(9/2)

エジプトで給与前借りサービスを提供するNowPayが、Endure Capital と 500 Startupsからシード投資60万ドルを獲得した。2019年初めに実施された投資がいま発表された形。

NowPayは2018年に創業した。企業が払う給与の一部を従業員に前払いするアプリを提供している。創業陣はマイクロソフト、アマゾン、IBM、オラクルでの勤務経験がある。

この事業の顧客は雇用主で、従業員は、アカウントが雇用主によって承認された後、企業アカウントからNowPayのアプリにログインするだけで前払いをリクエストできる。給与、残高、前払いを要求できる最大金額などはアプリ内で確認できる。希望した金額は、1〜2日以内に従業員の銀行口座に振り込まれる。毎月末までに企業は前払いの合計額に手数料を加えてNowPayに支払う。

NowPayは現在、プレシリーズAラウンドの資金調達を行っている。UAEとサウジアラビアを頭に今後2年以内に中東やアフリカへ事業を拡大する計画がある。NowPayの関係者はこのサービスを利用している雇用主の数は明かさなかったものの、ほぼ毎月倍増していると述べた。


【ケニア】ケニアのFamily Bankが同社PesaPapアプリを介して最大50%の給与前払いサービスを開始(9/11)

ケニアのFamily Bank は同社のPesaPapアプリを介して給与前払いサービスを開始する。最大50%の給与を前払いでき、月末に一括で天引きされ、前払い分に対して10%の手数料か300ケニアシリング(300円)のうち高い方を手数料として払う。携帯電話からいつでも申し込みができ、前払い金はPesaPapアカウントに入金される。

ケニア中央銀行やケニア統計局、CGAPとの協力で実施したFSD Kenyaの最近の調査では、ケニア人の4人に1人が家庭の事情やビジネスのために、デジタルローンから融資を受けている。

Family Bankはロンドンに本拠を置く金融テクノロジー会社SimbaPayと提携し、WeChatプラットフォームを介してのケニアと中国間の即時送金サービスも開始している。


【ナイジェリア】手数料無料の個人間モバイル国際送金サービスのスタートアップChipper Cashがナイジェリアに進出(9/5)

手数料無料の個人間モバイル国際送金サービスを提供するスタートアップChipper Cashが、ナイジェリアに進出する。シリコンバレーに本拠をおき、ガーナやケニアで事業を展開しているChipper Cashは、ナイジェリアの決済サービス会社Paystackと提携して、同社の決済ゲートウエイを用いてナイジェリアでモバイルペイメントサービスの提供を開始する。ラゴス本拠のバイク配車スタートアップGokadaの共同創業者をカントリーマネージャーとして引き抜いた。

Chipper Cashは2018に創立、現在7万人以上のアクティブユーザーを持ち、これまで無料のP2P送金25万件を処理してきた。同社はChipper Checkoutという業者向けの有料C2Bモバイル決済サービスも提供しており、こちらも数カ月以内にナイジェリアで開始する見込み。

Chipper Cashは2019年5月に250万ドルをシードラウンドで調達している。


【ケニア】ケニアの金融グループHF GroupがケニアではじめてWhatsAppを介したバンキングサービスの提供を開始、メッセージアプリを使った銀行サービスとしてはアフリカ初(9/6)

ケニアの金融グループHF Groupが同国で初めてメッセージアプリWhatsAppを介したバンキングサービスを提供する。メッセージアプリを使った銀行サービスとしてはアフリカで初となる。

HF GroupはInfobip、クラウド通信会社のWayawaya、Kocela、Myriadと提携し、WhatsAppを介して、口座開設、送金、ローン申請、請求書の支払い、商品購入などのサービスを提供する。

Jumia Kenya Mobile Report 2019によると、ケニア人口の少なくとも74%がWhatsAppを使用している。


【ナイジェリア、ケニア、ウガンダ】アフリカのエンジニアへのトレーニングとアウトソースの斡旋を行うアフリカの著名スタートアップAndelaが、ジュニアエンジニア420人を解雇。ビジネスモデルの転換を行う(9/17)

アフリカでエンジニアを雇用し、トレーニングとアウトソースの斡旋を行う著名スタートアップ、Andelaが、ナイジェリアとウガンダで250名、ケニアで170名の合計最大420名を解雇する。解雇の理由として、ジュニアレベルのエンジニアへの需要がないことを挙げている。

Andelaは2014年に創業。ニューヨークの他、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、エジプトにオフィスを持つ。エントリーレベルのエンジニアを4年の契約の元フルタイムで雇用し、トレーニングを提供して、主として米国のIT企業からのアウトソーシングを受託することで、エンジニアを育て、Andelaも売上を得るというビジネスモデルで事業を行っている。現在1,500名以上のアフリカのエンジニアを雇用しており、米国を中心とした200企業を顧客としている。

ナイジェリア、ウガンダ、ケニアでは、トレーニングプログラムも終了する。ルワンダでは、政府がトレーニングコストを助成しているため、継続する。今回の変更は、エントリーレベルのエンジニアを育てて仕事の機会を提供するというAndelaのミッションの大幅な変更となる。今後はシニアレベルのエンジニアを雇用し受託を増やすことによって売上を伸ばすビジネスモデルへと転換する。2020年までに700名のシニアレベルのエンジニアを採用する。


【タンザニア、ルワンダ、ケニア】仏Engieがタンザニア、ルワンダ、ケニアで家庭用太陽光発電キットを販売する独Mobisolを買収、2017年に買収したFenix Internationalとあわせてアフリカで65万台を提供するトップ企業に(9/3)

フランスの電力、ガス供給会社Engieは、アフリカでオフグリッド太陽光発電事業を行う独Mobisolを買収したことを発表した。

Mobisolは2011年に創業し、タンザニア、ルワンダ、ケニアに15万台以上の家庭用太陽光発電キットを設置している。Engieは、2017年にウガンダに拠点を置くFenix Internationalを買収しており、ウガンダ、ザンビア、ナイジェリア、ベナン、コートジボワール、モザンビークに50万人以上の家庭用太陽光発電キットの顧客を抱えている。


【モザンビーク】仏エネルギーENGIEが買収した家庭用太陽光発電キット販売のFenix Internationalがモザンビークに進出(9/16)

仏エネルギー企業ENGIEが買収した、アフリカの家庭用太陽光発電キット販売会社Fenix Internationalが南アフリカの通信会社Vodacomと提携し、モザンビークに進出する。同社にとってウガンダ、ザンビア、コートジボワール、ベナン、ナイジェリアに続く6カ国目、2019年になってから4カ国目の進出となる。

同社はこれまで総計50万世帯に製品を販売してきた。モザンビークでは、3年以内に20万人に太陽光発電キットを販売する計画。

モザンビーク政府は、2030年までに人口ベースの電力普及率の100%達成を目標に設定しているが、現時点では世帯ベースで27%にすぎない。


【エジプト、ナイジェリア】エジプトのバス配車アプリSwvlが2019年末までにラゴスに進出、来年上半期に1億ドルの調達を目指す(9/16)

エジプトのバス配車アプリSwvlは2019年末までにラゴスに進出する。2週間以内にはパキスタンの2都市にも進出し、2020年前半にはフィリピンのマニラでも事業を開始する計画である。
さらに、ダルエスサラームやアビジャン、また東南アジア市場への進出も目指している。
同社は、固定ルートに沿ってバスを運行し、顧客がアプリを使用して予約や支払いを行えるサービスを提供している。

Swvlは2020年上半期の資金調達ラウンドで1億ドル以上の調達を目指しており、今後5年間に企業価値10億ドルを目標としている。同社の2017年における企業価値は約200万ドルであったが、現在では投資家から8,000万ドルを受け取っている。現時点で利益はでていないが、2〜3年以内の黒字化を目指している。創業者は30%の株式を保有しており、米Autotech Ventures、スウェーデンのVostok New Ventures、オマーン政府系ファンド、UAEのBeco Capital、中国MSA Capital等が投資を行っている。


【ナイジェリア】ナイジェリアのオンライン専用銀行Kudaがプレシードで160万ドルを調達(9/11)

ナイジェリアと英国を拠点とするオンライン専用銀行Kudaが、プレシードにおいて160万ドルを調達した。同社はナイジェリア中央銀行から銀行ライセンスを取得しており、現在サービスのベータバージョンを開発している。同社のサービスは、モバイル決済や銀行のオンラインバンキングとは違い、自身で預金を受け付け、直接中央銀行システムにつなぐものとなる。

Kudaは、月額手数料不要の当座預金口座や無料のデビットカードを提供しており、今後数カ月以内には預金口座と個人間決済の提供を開始する計画。銀行口座は5分で開設できる。ナイジェリアの金融機関GTBank、Access Bank、Zenith Bankと提携しているため、顧客は支店やATMを利用して手数料なしに入金したり下ろしたりできる。

ナイジェリアは総額においても、一人当たりの金額においても、ケニアなどの主要なアフリカ諸国に比べ、デジタル決済の普及が遅れている。


【ナイジェリア】ナイジェリアのフィンテックスタートアップFairMoneyが新興市場向けのチャレンジャーバンクのために1,100万ドルの資金を調達(9/17)

ナイジェリアのフィンテックスタートアップFairMoneyが、新興市場向けのチャレンジャーバンク(旧来の銀行とは違う新しいタイプの銀行)を開設するために、シリーズA のシードラウンドで1,100万ドルの資金を調達した。Flourish、DST Global Partnersや既存の Newfund Speedinvestや Le Studioが投資した。

FairMoneyは現在、モバイルアプリを介して融資を受けることができるサービスを提供している。いくつかの質問に答えることで経済状況を把握し、地理的位置や携帯電話にインストールされている他のアプリ、その他の要素を分析し、数分で融資可否の回答を出す。顧客は平均して33ドル相当を借りている。期限内の返済を続ければ、最終的には415ドルまで借りることができる。利息の最大年率は13%となる。ナイジェリアでは銀行振り込みが数分で完了するため、顧客は借り入れを申し込んですぐに資金を入手できる。


【ナイジェリア】ウガンダの国際モバイルマネー決済Chipper Cashが、ナイジェリアのフィンテックスタートアップPaystackと提携し、ナイジェリアへ進出(9/16)

シリコンバレーに本拠を置くウガンダのモバイルマネー決済会社Chipper Cashが、アフリカ全域の企業に決済ツールを提供しているナイジェリアのフィンテックスタートアップ企業Paystackと提携し、ナイジェリアへ進出する。Chipper Cashは、Paystackの決済ゲートウェイを利用し、ナイジェリアにおいてモバイルマネー決済サービスを提供する計画。

Chipper Cashのサービスは、アプリを通じて無料で国境を超えた個人間のモバイルマネー決済を提供するもの。ガーナとケニアを含むアフリカ6カ国で事業を行っている。世界銀行の2017年のデータによると、サブサハラアフリカにおいてナイジェリアが最も海外からの仕送りを受け取った人数が多く、サブサハラ全体の58%にあたる219億ドルを送金している。

同社はナイジェリア進出にあたり、ラゴス本拠の配車スタートアップGokadaの共同創業者をカントリーマネージャーとして引き抜いた。また、ケニアのインターネットハードウェアスタートアップBrckのAlicia Levine氏をCOOに据える。同社は2019年5月に、240万ドルをシードラウンドにて調達している。


【アフリカ全般】カナダのテック企業Ecopia Techがサブサハラアフリカのデジタル地図作成のために650万ドルを調達(9/17)

カナダのテック企業Ecopia Techが、サブサハラアフリカのデジタル地図作成のための650万ドルの資金をカナダ政府系基金Sustainable Development Technology Canadaから調達した。地球の高解像度画像を高解像度のベクトル地図に変換することで地図作成を可能にする。

サブサハラアフリカの建物3億4,200万軒分、道路236万マイル分、森林14億3,000万エーカー分の地図を作成する。AI技術や衛星および航空画像を用いて正確で高解像度の線形データマップを作成する。

同社は2018年に、宇宙技術の米Maxar Technologiesと提携して、タンザニアではじめてとなる完全な地図を作成した。3週間をかけて、高解像度の衛星画像と高度なAI技術を利用し、ビル1,800軒以上を捕捉し正確な地図を作成している。

デジタル地図は、経済の効率化、都市計画の支援、環境の監視のために世界中で使用されている。サブサハラアフリカのデジタル地図ができれば、社会的および経済的な意思決定に使用できる。例えば新しい道路や学校を建設する場所を決定したり、火災への対策やウィルスのワクチン配布時に人口密度の高い地域を選ぶ、再生可能エネルギーのインフラを建設場所選定といったシーンで活用できる。


【南アフリカ】アフリカの通信会社rainがアフリカ初の5Gネットワークを提供開始(9/18)
 
南アフリカの通信会社rainが、アフリカではじめてとなる5Gネットワークの顧客への提供を始めた。1カ月5G使い放題の料金は1,000ランド(7,200円)となる。現在の5Gのカバー範囲はヨハネスブルグとプレトリアの一部の地域に限られているが、2020年には南アフリカ全体に拡大する予定。

同社は、既存の4Gインフラストラクチャを活用して、規制された3,600 MHzスペクトルバンド内で5Gネットワークを構築している。これにより、rainが費用効果の高いネットワークを構築し、追加サイト数を制限しながら広い範囲に提供することができるため、費用を削減できる。

5Gネットワークは平均して既存の4G/LTEネットワークに比べ、少なくとも10倍の速度を提供できる。rainの関係者によると、理想な条件下における試験運転時には、700Mbpsに近い通信速度が見られたが、実際の利用環境では、顧客に少なくとも200Mpbsの通信速度となると述べた。
※1ランド =7.2円(モーニングスター、9/21)


【ナイジェリア】ネスレがナイジェリアのラゴスで社会的企業のWecylcersとMoUを締結、同社のプラスチック廃棄物のリサイクルシステムの普及を促進(9/21)

世界的にプラスチック廃棄物への懸念が高まる中、食品大手ネスレが、ラゴスを拠点とする社会的企業WecylersとMoUを締結した。ラゴス州においてプラスチック容器廃棄物の回収とリサイクルを促進させる。

Wecylersは、プラスチックの収集所を設置し、低所得者層のコミュニティーがその回収によって収入を得られるようにする事業を行っている。今回のMoUによって5つのコミュニティーを新たに設置し、プラスチック廃棄物のリサイクルシステムの普及をすすめる。

ネスレは政府やNGO、その他の民間セクターや産業界の利害関係者とともに、プラスチックを回収しリサイクルして再利用する仕組みの構築に取り組むことを明らかにしている。同社は、Food and Beverage Recycling Allianceの創設メンバーである。

ナイジェリアでは、年間3,200万トン以上の廃棄物が発生しており、ラゴスだけで毎日約1万トンの廃棄物が発生しているが、そのほとんどが埋め立て地や水路に捨てられており、健康上の問題や環境破壊を悪化させている。


【ナイジェリア、ケニア】ナイジェリアのインキュベーション施設Co-Creation Hubがケニアのインキュベーション施設iHubを買収(9/26)

ナイジェリアのインキュベーション施設Co-Creation Hub(CcHub)が、ケニアのインキュベーション施設iHubを買収したことを発表した。両社は、アフリカの最も著名なテックハブである。今後もそれぞれの名称は継続する。買収額は非公表。CcHubのCEOであるBosun Tijani氏がiHubのCEOを兼任する。

両社の統合プランの詳細は不明だが、ナイジェリアにおけるプログラムを展開する他、買収により投資先探索のパイプラインをケニアやルワンダに広げる。
CcHubは2011年にラゴスで創業され、起業家や学生対象のデジタルスキルプログラムやスタートアップ支援、Growth Capital Fundを通じた投資といった、イノベーションセンターとしてさまざまな活動を行ってきた。

iHubは東アフリカにおける中心的なテックハブで、2010年以来、iHubを通じて170社が設立された。


【エジプト】エジプトの小売店向けアプリMaxABが620万ドルを調達(9/25)

カイロに拠点を置くエジプトのMaxABが620万ドルのシードラウンドでの調達を行った。Beco Capital、4DX Venturesがリードインベスターとなった。

MaxABは2018年に創業。食品や日用品のサプライチェーンを最適化することを目指しており、商品の仕入れから店舗への配達までを管理できるアプリを提供する。小規模店舗を対象としており、店舗がアプリを用いて商品を注文する。売買に乗せたマージンが同社の売上となる。同社によると、現時点の顧客数は9,000小売店。

同社によると、エジプトの食品・日用品流通においてスーパーマーケットが占める割合は10%に過ぎず、90%は小規模なパパママショップを通じて行われており、その規模は5,000億ドルに上るという。


【ケニア】エストニアの物流スタートアップTai+がケニアに進出。Kobo360に続く(9/26)

エストニアの物流スタートアップTai+が、アプリを通じてトラックの見積をとり、予約し、移動をモニターできるサービスの提供をケニアで開始した。

同社のアプリは、エストニアのテック開発企業Reach-Uが開発している。アプリのユーザーは、あわせてデータ分析もできるため、効率的な貨物輸送プランの策定に役立てられる。
 ケニアには、同じく物流スタートアップであるナイジェリアのKobo360が9月にサービスを開始したばかり。


【アルジェリア】アルジェリアの配車アプリTemTemがシリーズAラウンドで400万ドルを調達(9/26)

アルジェを拠点とする配車サービスのスタートアップTemTemが、ルクセンブルグを拠点とするTell Venture Automotiveとその他匿名の投資家からシリーズAラウンドで400万ドルを調達した。

TemTemは2014年に、アルジェリアのスタートアップスタジオCasbah Techの創業者であり、教育スタートアップiMadrassa Groupの共同創業者であるKamel Haddar氏によって創業された。
今回の投資は、製品の多様化やマーケティング、スタッフの増員に使うとともに、年内に2つの新サービスを発表する予定。同社は4万人以上のドライバーを抱えるとされ、最近デリバリーサービスを開始している。

同社は2018年には170万ドルのシード資金を調達している。


【チュニジア】チュニジアの個人間ファッションマーケットプレイスDabchvが、シートラウンドで30万ドルを調達(9/23)

チュニスを本拠とする個人間ファッションマーケットプレイスDabchyが、500 Startups、Flat6Labs、Saudi Venture Capital Company、Vision Ventures、Daal Venture Capital、そしてその他エンジェル投資家が参加したシード投資ラウンドで、30万ドルを調達した。チームを拡大すると共に他のMENA地域の国々へ進出する。

同社は2016年に創業。ユーザーが新品や中古の洋服を売買できるオンラインプラットフォームを展開しており、チュニジア、モロッコ、アルジェリアに40万人以上のユーザーがいる。同社のアンドロイドアプリのダウンロード数は10万回を超える。これまでの累積取引数は10万回以上となる。


【ケニア】eコマースのJumiaがJumia Foodでアフリカ初の配送料定額サービスJumia Primeを開始(9/30)

アフリカでeコマースを展開するJumiaのサービスのひとつ、食事配送のJumia Foodが、激化する競争での勝ち残りと新規ユーザーの獲得を目的に、ケニアで配送料定額サービスを開始する。

Jumia Primeと名付けられたこのサービスは、顧客が1カ月500ケニアシリング(500円)、3カ月1,200ケニアシリング(1,200円)、6カ月1,800シリング(1,800円)のいずれかをあらかじめ支払えば、その期間内はいくら注文しても配送料が無料になるというもの。

対象商品は食事の他、アルコール、食料品、医薬品となる。


【ナイジェリア】ナイジェリア中央銀行は、モバイルマネー運営会社、エージェント、プロバイダーなどにモバイルマネー金融サービスの提供が可能なPayment Service Bankライセンスを供与(9/29)

ナイジェリア中央銀行は、キャッシュレスポリシーの実現に向け、26のモバイルマネー運営会社、10の通信会社エージェント、21の決済接続プロバイダー、21の決済サービスプロバイダー、4つのサードパーティープロセッサー、9のSwitch、5のノンバンクのアクワイヤーに、モバイルマネーによる金融サービスの提供が可能なPayment Service Bankのライセンスを与えた。

キャッシュレスポリシー再導入にあたって、金融包摂を進めるため、同政策に基づく手数料やエージェントでの現金引き出しへの課税は免除される。ただし、個人が50万ナイラ(15,000円)、法人が300万ナイラ(880,000円)超える現金引き落としと預金の際には手数料が課せられる。
※1ナイラ=0.30円(モーニングスター、10/2)


【アフリカ全般】アフリカでトップシェアの携帯端末メーカー中国トランシオンが新興市場香港スター市場に上場(9/30)

携帯端末メーカーの中国Shenzen Transsion Holdings(トランシオン)が上海スターマーケットに上場した。中国国内投資家向けのA株8,000株を発行し28億元(420億円)の調達を目標としている。調達資金は携帯組立工場の増設と上海にR&Dセンターを設立し研究開発をすすめる費用に用いるとされる。アフリカ向け携帯電話の製造および開発拠点をインドに設立するとも発表されている。

トランシオンの2018年の売上は、前年の200億元(3,000億円)から増加し226億元(3,300億円)となった。純利益は前年の6億7,700万元(100億円)から減少し6億5,400万元(98億円)だった。2018年の世界における端末販売台数は1億2,400万台。

アフリカにおいて同社はフィーチャーフォンでは54%の販売シェア、スマートフォンではサムソンに次ぐシェアを持つとされる。アフリカにおける拠点としては、研究開発拠点をナイジェリアとケニアに持ち、販売拠点をナイジェリア、ケニア、タンザニア、エチオピア、エジプトに持つ。また、トランシオンは2019年8月にアフリカのアーリーステージのフィンテック企業に投資する

一帯一路に基づくインフラ投資やコモディティ事業と比べると、中国によるアフリカのスタートアップ投資は盛んではないが、今回のトランシオンの上場や、中国企業が主要株主であるノルウェーのソフトウエア企業Opraが現在ナイジェリアで行っているベンチャー事業といった、アフリカのデジタル経済へ触手が見られるようになっている。
※1元=15円(モーニングスター、9/30)

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