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アフリカにおける新型コロナウイルスの状況(その2)感染対応

以下は4月2日時点の情報です。
国別に、新しい情報を随時追記し、アップデートしていきます。

(トップの画像は、南アフリカの地方空港で撮った美しい夕日)

3月8日に投稿したこちらの記事が、遠い昔になってしまいました。この頃は、アフリカの日本企業においても出張をとりやめた程度の動きだったのですが、いまアフリカの日本企業駐在員の方は、8割程度?は日本に帰国したのではないでしょうか。

3月8日の時点では30人ほどだったアフリカにおける感染者数は、3月25日時点で2,000人ほどとなりました。死亡者は40人ほどです。12億人の人口がいるアフリカ大陸における合計感染者数/死亡者数なので、数字としては大きくはありません。ただし、各国政府が早急にとった対策により、状況が一変しました。

追記: 4月2日時点では感染者は6,700人を超えました。感染者数と死亡者数の数字は、以下のBBCのサイトが網羅性と正確性に優れています。

ただし、一番早く、それも一次情報が得られるのは、ツイッターです。アフリカ各国の保健省や大統領、内閣府といった意思決定機関が、決定事項をまずツイッターで発表していますので、速報性と正確性では最強です。当社および私のツイッターアカウントでは、それら情報を即時お知らせしています。

アフリカビジネスパートナーズのツイッターアカウントはこちら

梅本のツイッターアカウントはこちら

情報を追っている限り、アフリカでの感染者のほとんどは、まだ「海外から来た人/戻ってきた人」です。国内感染が爆発的に増える段階にはなっていません。なお、「海外」の国では、欧州の国々とドバイ(UAE)が多い印象です。また、死亡者については、公開されている情報を見る限り、60歳以上の方や持病を持っていた方に偏っています。

今回の新型コロナウイルスは、感染症としての恐ろしさ(死亡率等)よりも、この新しいウイルスが引き起こした各国の対応や社会現象が、未曾有の影響を与えているといってよいかと思います。アフリカにおいても同様で、常日頃から隣り合わせで生きている、もっと危険な感染症や疾病、事故や紛争・テロでさえ、社会と経済にこれほどの規模のインパクトを与えたことはありませんでした。

アフリカの経済と事業に与えるインパクトについては、別記事としてのちほど掲載します。

また、私自身がこの2カ月をどう過ごしたか、記録を以下にアップしました。

この記事では、随時、各国の感染対応の状況をアップデートしていきたいと思います。更新日については冒頭に記載することとします。なお、感染者数は累計の数字です。



エジプト(感染者779人/死亡者52人)

アフリカで最初の感染者ならびに死亡者が発生したのがエジプトでした。アフリカにおいて現在感染者数がいちばん多いのは南アフリカですが、死亡者数はエジプトとアルジェリアが最大となっています。

エジプトは観光国であり、欧州や中東・アラブの国々とも往来が多い、中東・欧州・アフリカとの接合点です。最初の感染者も、死亡者も、欧州から旅行に来た人でした。人口密度が非常に高い都市部を抱えていることも、感染が広がりやすい要因ではないかと思います。

政府は3月19日から、すべての国際線旅客機の運航を停止しました。当初3月31日までの予定でしたが、その後4月15日までに延長しました。

同じく3月19日には、食料品店や薬局を除くレストラン、ショッピングモールなどの夜間19時から6時までの営業停止が発表されました。3月24日からは17時からの停止に早まっています。休日である金曜日、土曜日の営業も停止となりました。

通常、カイロのショッピングモールでは、夜中の23時でも多くの人が飲食や買い物を楽しんでいますし、夜でも小売店もレストランも開いていますから、大きな打撃です。

モロッコ(感染者676人/死亡者40人)

3月15日に国際線旅客機の発着停止が発表され、その後21日に実際にストップしました。同じ21日には国内線やバス・鉄道といった国内都市間の移動も禁止されました。

また、外出禁止令が出され、3月20日から4月20日までの1カ月間は、移動許可証がない移動は禁止され、通勤には別途移動証明書が必要となります。学校はもちろん休校です。

アフリカにおけるコロナ感染者は、上記のエジプトはじめ、北アフリカが先行しています。観光国が多いこと、欧州との人の往来が多いこと(および検査を受けるのはそういった人たちであること)が背景にありそうです。エジプトやモロッコに限らず、現在アフリカにおいて見つかっている多くの感染者は、欧米からの旅行者や欧米から帰国した人たちです。

当初、中国との交易や人の往来が多いアフリカは、コロナの感染がすぐ広がるのではないかと心配されていましたが、いまのところ中国経由の感染の発見数は非常に少数に留まっています。理由は定かではありませんが、アフリカに100万人住むと言われる中国人の多くは小規模事業者で、そもそも中国を含むアフリカ外にでていないこと、マネージャーレベルなどの中国駐在員は春節で中国に戻ったあとアフリカに帰ってこれなかったこと、また、中国旅行者が多い欧州やアジアと違って、アフリカに旅行で来た一般の人がもとより少なかったことなどが背景にあるのかなと想定しています。

中国からの感染の影響は少ないですが、中国経済がコロナの影響を受けたことでのアフリカへの影響は膨大です。日用品や生産のための中間財・産業材の多くが中国から輸入されているので、各国で価格が上がっています。原油や資源国では中国の需要が減ることで影響を受けています。

南アフリカ(感染者1,462人/死亡者5人)

3月26日から4月16日までの21日間、全国で外出禁止となり、ロックダウンに入ることが発表されています。昼夜ともに外出禁止・自宅待機で、都市間の移動も禁止です。店舗はスーパー、薬局、銀行、ガソリンスタンドといった必需品を除きすべて閉店します。混乱や遵守に備えて、軍が準備をはじめています。

アフリカ各国が外出禁止に踏み切っていますが、昼夜問わず外出禁止、都市間の移動の禁止による封鎖、上記必需品や電力など基礎的サービスならびにリモートワークを除くすべての商業活動の停止ということで、もっとも厳しい措置だと言えるでしょう。実質的にビジネスはシャットダウンされます。

当然ながら26日以降は国際線・国内線ともフライトは運行停止です。貨物は動いていますが、物流にも影響がでています。陸路も閉鎖されており、それでもやってくる人の出入国を防ぐため、フェンスをつくるというニュースもありました。

その後ロックダウンの具体的内容について明らかになりましたが、貨物も必須の貨物以外は禁止となりました。集会禁止は当然ですが、葬儀のみ可というのも辛い話です。また、酒類の販売は禁止とのこと。南アフリカはまれにみるワイン天国で、スーパーで売っている300円のワインでさえおいしい国です。酒類禁止のせいで暴動が起こらないか心配です。

扱いが不明だった船便については、すべての港を開港し、貨物は入港できると4月1日に発表されましたが、必須物資以外は港からの搬出ができない状態のようです。鉱物資源の輸出は行えるようです。

南アフリカには、欧州向け拠点として自動車工場が多くありますが、BMWが操業停止を決めています。日本企業では、トヨタ、日野、いすゞ、日産、スズキなどが工場を持っており、これら企業に収める部品サプライヤーも現地に製造拠点を持っています。

追記(3月26日):トヨタが南アフリカ工場の稼働を4月16日まで停止すると発表しました。南アフリカにおいてどのような日本企業が存在しているのかについては、以下からご確認ください。

また、ロックダウンが決定する以前に、3月20日付けで国営南アフリカ航空がアフリカ域外への国際路線をすべて停止しています。感染防止というよりも、コロナの影響による収益悪化によるものと思われます。

3月30日には、政府のよる経済対策が発表され、雇用を継続、特に30歳以下の雇用を行う企業に対しては還付が行われると発表されました。失業保険の特別給付も発表されています。

ナイジェリア(感染者174人/死亡者2人)

3月24日から4月23日まで、国内すべての空港で国際線旅客機の発着が停止となりました。

3月26日夜には、ブハリ大統領がツイッターで、空港および陸路国境を数週間に渡り閉鎖すると発言しています。自国民の帰国も禁止とのこと。大統領はさらに、港に入る貨物について、14日以上海上で留まったもののみ入港を許可するとしています(石油・ガスは除く)。航空貨物については明言されてませんが、貨物の混乱も必須でしょう。

政府は繰り返し、都市部において、外に出るな、集まるなとアナウンスしています。ロックダウンをすべきだという論調も高まっており、最大の商業都市のラゴスや首都アブジャについては近々行われるかもしれません。

ナイジェリアには34社の日本企業が拠点を置いていますが、現在駐在員の方が残っているのは2社のみとのことです。

カドナ州では、外出禁止が命じられたと報じられています。ナイジェリアの治安については、まるで「全土が危険」のような扱いをされていますが、テロや誘拐、暴動の危険度は州のよって大きく違います。そしてカドナ州はこの数年危険度が高いエリアです。他の州に先駆けて外出禁止となった背景だと思います。

追記(3月29日): ラゴスとアブジャおよびオグン州のロックダウンが発表されました。30日午後11時から14日間とのことです。大統領の発表では、よく練られたと思しき内容が事細かに話されており、事前の調整が大変だった様子が伺われました。

追記(3月30日): ロックダウンに入りました。当社スタッフによると、当日は買い物をする人で市場やスーパーは溢れたようですが、買い占めという状況までにはなっていなかったようです。ナイジェリアの都市部の女性は2週間に1回程度美容院で髪をセットするので、美容院への駆け込みがあるのではとちょっと思ったのですが、多くはすでに閉店していたようです。

ナイジェリアに関しては、コロナとは別に起こった3月9日の原油価格の暴落も大きな影響を与えます。国家歳入および輸出(外貨獲得)のほぼすべてを原油に頼っているためです。2020年度国家予算は1バレル57ドルで設定されていましたが、半分になってしまいました。

ケニア(感染者110人/死亡者3人)

感染国からの入国の14日の隔離、外国人の入国禁止と段階を踏んできましたが、3月24日深夜から、すべての空港で国際線旅客機の発着が停止となりました。

私自身はいまケニアにいます。今後、ケニアでもロックダウンなどあるかもしれませんが、在宅にて再開を待ちます。

バーなど深夜営業の店の開店はすでに禁止され、レストランはテイクアウトのみOKとなっています。こうなることを予想して、3月13日にお気に入りのレストランで最後の晩餐をしました。

マタツなど公共バスでは、1車あたりの乗客人数が制限されました。青空市場の閉鎖もすぐに行われそうです。スーパーは、Social distanceを確保するためのシールが床に貼られています。

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家籠もりに備えて、できる人は買いだめをしていますが、物資の供給はいまのところ十分あり、ハンドサニタイザーを除き、買い占めも起こっていません。余談ですが、店舗の棚の欠品具合や人々の買い物かごの中身、パパママショップでの物の動きや卸における値段の上がり具合をみていると、こういうときに人が欲しがる必需品は何なのかがよくわかり、面白いです。当社が現在取り組んでいる商品はほとんど動いておらず、少し落ち込みました笑。

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感染を恐れてというよりも、ビジネスが激減したために、昨日、今日で店を閉めるところが増えています。常に混むナイロビの道も、いまはどこでも空いています。喫緊でないサービスを提供する政府のオフィスは早くに閉まりました。

一方で、卸や商業の密集するエリアや住宅密集地では、人々がごく普通に動き回っており、政府は必死に「家にいろ」と呼びかけています。街がロックダウンされてもリモートで仕事を続けられるのは一部の人のみです。アフリカのどこでも、ほとんどの人が生計を立てている商売-物を売り買いしたり、直接サービスを提供したり-は、在宅では成り立たないものです。

ケニアは本日、またなんらかの新しい発表があるとされています。
追記(2月25日): 発表がありました。ロックダウンになるのではないかと噂されていましたが、19時から5時までの夜間外出禁止にとどまりました。嬉しくて小躍りしています。

25日の発表では、
・法人税の減税(30%→25%)
・VAT(付加価値税:物品やサービスに一律にかかります)の減税(16%→14%)
・所得税PAYEの減税
・月収2.4万Ksh(約2.4万円)以下の所得税免除
・大統領、副大統領の給与20%減給
などが発表されました。年収2.4万Kshというのは、今回のような外出禁止やレストランの閉鎖、そしてロックダウンでもっとも影響を受ける層の年収に該当します。

3月26日、初めての死亡者がでました。66歳の持病があったケニア人で、南アからエスワティニ経由で3月にケニアに戻ってきた人でした。合掌。

セネガル(感染者195人/死亡者1人)

3月20日から4月17日まで、すべての空港で国際線旅客機の発着が停止されました。セネガル沖合は遠洋漁業の良地でもありますが、漁船の着岸も禁止されました。

3月23日には全国において夜間外出禁止令(20時から6時)、都市間移動の禁止、公共交通機関の乗車人数の制限などが発表されました。

セネガルはアフリカ西端の面積も人口(1,500万人)も小さな国ですが、そのわりに感染者数が多いです。フランスを始めとした欧州との関係が深いことや、当初コロナの検査ができるラボがあるのが南アフリカとセネガルのみだったことから、結果として感染者の発見が多くなったというのもあると思います。

セネガルのダカール・パスツール研究所とダイアトロピックス、英モロジックが、コロナ簡易検査キットの検証試験を6月の発売に向けて開始したというニュースが流れています。ダカール・パスツール研究所は、世界に先駆けて黄熱病とテング熱のワクチンを開発した機関。キットはコスト見合いの1ドルでアフリカ各国で販売予定。アフリカの他の地域でも製造する可能性があるとのことです。

感染者が200人近くなっても死亡が一人もいなかったセネガルですが、4月1日、初めて1名死亡者がでました。

コートジボワール(感染者190人/死亡者1人)

コートジボワールは早い段階から漸次対策をとってきましたが、3月23日に陸海空すべての国境の閉鎖に踏み切りました。3月24日からは全国において夜間外出禁止令(21時から5時)、全レストランの閉店、都市間移動の禁止がはじまっています。

コートジボワールは仏語圏西アフリカの中心地で、内陸国への物流のハブでもありますが、陸路の国境も封鎖されてしまいました。マリやガンビア、モーリタニアなどへ物資が運ばれる上述のセネガルも、周辺国との国境を封鎖しています。

3月26日には、最大の都市アビジャンとそれ以外の地域の交通を遮断しました。

ルワンダ(感染者84人/死亡者0人)

内陸国であり、ほとんどの物資を輸入に頼るルワンダですが、陸路および空路の国境の閉鎖は素早く行われました。3月21日に国際便旅客機の発着が停止されています。

あわせて、3月21日より、2週間の外出禁止に入りました。食料品の買い物や病院を除き外出が全国で禁止され、必需品以外の店舗はすべて閉鎖です。レストランはオンライン注文のデリバリーのみが許されています。移動もできないので、これはロックダウンですね。

当初は開くとしていた銀行/ATMも、3月24日に閉鎖すると発表されました。銀行が閉鎖されるということは、事実上金融封鎖であり、金の流れも止まるということです。オンラインバンキングはちゃんと動くのでしょうか。外出禁止やロックダウンが長引けば、(使うこともできないと言えますが)資金はいずれ枯渇します。突然の発表は直前の多額の引き落としによるデフォルトを避けるためだったかもしれませんが、混乱は免れません。

ブルキナファソ(感染者288名/死亡者16名)

サブサハラアフリカの中で被害が大きいのがブルキナファソです。サブサハラアフリカ(北アフリカ5カ国を除く国々のこと)ではじめての死亡者が発生したのがブルキナファソでしたが、すでに4名となっています。政府閣僚が感染したことでもニュースとなっています。

ブルキナファソは、コートジボワールの隣国で、両国間は人も物も往来が多いです。コートジボワールの港からは物資が運ばれてきますし、ブルキナファソからはコートジボワールは野菜などを販売する市場です。国境が封鎖されたことでの影響は大きいでしょう。

3月21日以降夜間外出禁止令がでています(19時~5時)。3月21日以降2週間を目処に、貨物を除いて空港や陸路の国境も封鎖されました。

その後ブルキナファソの死亡者は16名まで増えました。

これより下は、3月26日に追加しました。ひとまず、日本企業が多いトップ10国について記載します。


日本企業リスト_2019_まとめ_ページ_1

ウガンダ(感染者45人/死亡者0人)

他のアフリカで感染者が次々見つかるなか、一人も見つからないうちから入国制限や外国人の入国禁止を行っていたウガンダですが、3月21日に初の感染者が見つかりました。

3月22日から、国際線旅客機の発着が停止され、陸路国境も封鎖されました。

3月25日には、バス、長距離バス、鉄道、タクシー、バイクタクシー、トゥクトゥクとった公共交通の14日間の即時停止を決めました。ただし、自家用車や荷物を運ぶトラックはOK、かつデリバリーサービスは推奨とのことです。あわせて、店舗や青空マーケットにおいて、食べ物以外の製品の販売を禁じています。

その後3月30日には、当日30分前に、全国における自家用車を含む乗り物の使用の全面禁止が発表されました。ただし、歩いて移動することは可能なようです。店舗は食品以外営業禁止です。期間は2週間です。

ウガンダは常から、集団リンチのニュースがよくでる国ですが、今回のコロナにおいても疑われた人やアジア人が攻撃されたという事例が発生・報道されています。ふだんから過激なニュースが報道されがちなことも踏まえておく必要があるかと思います。

タンザニア(感染者20人/死亡者1人)

3月23日に、すべての入国者について14日間の隔離とする(指定場所、自費)を発表しています。

他の国に比べるとまだ穏やかな措置で、フライトも飛んでいますので、アフリカから脱出するときの経由地にもなっているようです。

外出禁止は発表されていません。

アルジェリア(感染者986人/死亡者63人)

アフリカ大陸で、エジプトと並んで死者数が多いのがアルジェリアです。イタリアの致死率が9.3%とのことですが、アルジェリアも6.9%と低くありません。→4月2日の数値では、6.3%。少し下がりました。

政府の3月23日の発表によると、感染者の45%が25歳~49歳で、30%が60歳以上とのことです。死亡者については年配の人が多く、平均年齢は67歳。治療を終え退院している人もすでに1割ほどいます。

3月19日から国際便旅客機の発着が、22日からは国内便も発着が停止されました。アルジェリアはこのところ、政情が落ち着かず、不安定な状況が続いていました。今回の混乱が、別の混乱へとつながらないことを祈ります。

カフェ、レストラン、タクシーなどの営業は禁止されています。ブリタ県では外出禁止、アルジェ県では夜間の外出禁止となっています。

チュニジア(感染者455人/死亡者14人)

チュニジアも、欧州との往来が多い国です。チュニジアの港を土曜日に出た貨物は、地中海とマルセイユからの鉄道を使って、水曜日の昼にはパリにつきます。この地の利を活かして、欧州との間で、自動車やエレクトロニクス分野の加工貿易や、縫製品といった軽工業製品の輸出、農産物の輸出などを行っています。

そのせいか、人口1,100万人の小さな国にしては、感染者数が多いです。3月22日からは全国で外出禁止となっています。3月18日からは貨物を除き国境は封鎖されており、国際便旅客機の発着も停止しています。

ガーナ(感染者161人/死亡者5人)

3月22日から陸海空すべての国境が封鎖されました。感染者数は26日に一気に54人増え132人となり、死亡者も4人(報道によっては3人)出ています。北アフリカを除くサブサハラアフリカでは、ブルキナファソとともに死者数が最大です。

しかし、学校は休校となり、集会も禁止となっているとはいえ、他のアフリカの都市部に比べると商業活動はまだふつうに行われている気がします。当社の現地協力者とWhatsappで連絡をとりあっていますが、やけにのんきです。外出禁止も発表されていません。ガーナはアフリカのなかでは保健システムが整っている国ですが。。

葬儀は早いうちから禁止されています。アフリカのどこの国でも葬儀はとても重要なソーシャルアクティビティですが、ガーナでは特にそうです。

追記(3月29日): 3月27日に、ガーナの2大都市であるアクラとクマシにおいて、30日から2週間の外出禁止令がでました。終日の外出禁止で、他都市との移動も禁止されることから、ロックダウンといってよいと思います。この2都市の人口は、3,000万人のガーナ人口の25%を占めます。

エチオピア(感染者29人/死亡者0人)

ひとまず今回の更新の最後はエチオピアです。エチオピアには、アフリカ内でもっとも業績がよく、先進国との間もアフリカ内でも多くの国際線を飛ばしている国営エチオピア航空があります。国際線の路線数は116路線、ニューヨークにもヨーロッパ主要都市にもモスクワにも、そして日本にも飛ばしています。中国各都市へのフライトも頻繁です。

ボレ国際空港は、欧州や中国から、アフリカのみならず様々な国へと乗り換えるためのハブ空港となっており、いまでは日本から欧州に向かう団体ツアーにおいても、ドバイやドーハに代わってひとつの経由空港となっています。

そのエチオピア航空は、31路線については停止したものの、まだフライトを飛ばしています。エミレーツが世界中すべての運航停止を決め、南アフリカ航空も早々と国際線の運航を止めたように、航空会社は感染のためでなく、旅客や貨物が減り採算がとれなくなるなっていることから、業績への影響を避けるために運航を停止しています。エチオピア航空が続けているのは、国営会社という強みであり、アフリカでトップの航空会社であるというプライドもありますかね。同社は業績への影響は1.9億ドルと発表しています。

エチオピアではエチオピア航空が運航している国からの渡航ならば、いまのところアライバルビザも発給されています。ただし、すべての入国者は、14日間の自主隔離です。日本との間ではインチョン経由便やタイ経由便が動いています。

追記(3月31日): 29日にエチオピア航空は、81路線の国際線を停止すると発表しました。停止する路線はこちらに記載されています。アディス-成田便はなぜか停止となっていません。

中国のアリババ創設者であるジャックマー氏が、アフリカ54カ国すべてにコロナ検査キットやマスクなどを寄付すると発表していますが、エチオピア航空を使って順番に回っているようです。

一方でエチオピア政府は、陸路については完全封鎖を発表しています。エチオピアは内陸国なので、すべての船便は港を持つ隣のジブチから鉄道やトラックといった陸路で運ばれてきますが、当社のスタッフに確認したところ、貨物は(通常より時間がかかりながらも)通過できているようです。

地域ごとに移動の禁止はでてきていますが、エチオピアもまだ外出禁止は発表されていません。

以下は3月29日に追記した国です。

ジンバブエ(感染者8人/死亡者1人)

アフリカの死亡者はいまのところ、報道されている限りでは60歳を超えた年配の人ばかりです。しかしジンバブエでは、30歳の著名ニュースキャスターが亡くなっています。彼は肺がんを患っており、昨年手術をしていたと報じられています。

現在のところ、ジンバブエの感染者数は7人ですが、3月30日から全国的なロックダウンに入ることが発表されています。

当社が発行している週刊アフリカビジネスでも先週取り上げましたが、ジンバブエの2020年2月のインフレ率は前月比540%と急上昇しています。急遽、禁止していたドルとジンバブエドルの換金を許可し、金利も下げています。

ジンバブエの他、レソト、エスワティニもロックダウンです。これら南アフリカ近隣にある、南アフリカからの物資と出稼ぎで成り立っている国々は、南アフリカが国境を閉めてしまえば、国境を開けておくメリットよりリスクの方が高いでしょう。

ジンバブエでは2017年に、37年間に渡り同国を統治してきたムガベ大統領が失脚し、新しい大統領となりました。しかし、経済も政治への信頼もまだ回復していません。国民が政府を信頼しておらず、南アからの物資や送金も途絶えたいまの状況下でのコロナ災難は、リスクが高いです。

防護服や資材の不足、給与未払いなどを理由にした医療関係者のストライキも起こっています。これに対しては、同国から羽ばたいた通信企業Econetの創業者ストライブ氏が物資と給与を寄付し、中国企業がICUの建設を申し出るなど、民間の援護が行われています。

カメルーン(感染者306人/死亡者8人)

カメルーンも心配な国です。感染者が100名を超えましたが、都市間の移動の禁止やバーなどの深夜営業の停止といった対応は発表されているものの、外出禁止などは発出されていません。国境はすでに封鎖され、国際線旅客機の発着は停止されています。

ここ数日の感染者の伸びも大きく、そろそろ次の対応が必要なタイミングに思います。カメルーンでは、国内対立が長き、政治も経済もボラタイルな状況が続いています。

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