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アフリカで日本の個人が立ち上げたスタートアップ

アフリカビジネスパートナーズは2013年から、アフリカで事業を行っている日本企業を調べ、リストにして、公開しています。

このリストを用いて、前回(リストを作成した経緯)で予告した、「個人がアフリカで起業した企業」について紹介していこうと思います。

このリストの「日本企業」の定義は、最初のページにあるように、「日本で法人登記を行っている企業、ただし外国資本企業の日本法人を除く」です。日本に法人がないとリストの対象にはなりません。

ただ別枠として、日本から、アフリカに行って、個人で起業し、現地に法人を作った人たちの企業について、「業種29:日本人によるアフリカでの起業」として取り上げています。なお、個人で起業した人の中には日本にも法人を持っている人もいて、そういった企業はそれぞれ業種の中にリストアップされいます。

テック・サービス業

アフリカベンチャーニュースでも見られるように、アフリカの現地スタートアップでももっとも注目が高く、いま資金が集まりやすくなっているのは、課題をアプリなどで解決するテック系です。

日本の人が個人でアフリカで起業した企業にも、テック系企業がいくつかあります。

279 Degas(ガーナ)
288 アフリカインキュベーター(ケニア、ウガンダ、ナイジェリア)
289 キャンサースキャン(ケニア)
293 日本植物燃料(モザンビーク)
300 croppre(ウガンダ)

Degasは農業流通、アフリカインキュベーターは営業支援、キャンサースキャンはヘルスケアサービス、日本植物燃料は電子マネー・電子農協、croppreは小売店支援です。

日本と違いアフリカでは、すでにあるオペレーションをデジタル化するのではなく、デジタルの持つ低コスト・効率性・透明性といった性質を使ってオペレーションを作り上げていくことにアプリやデジタルが使われています。

たとえばフィンテックでは、すでに銀行やCC決済が問題なく稼働している中でそれらを置き換えたり、より使いやすいUIとすることで導入しようとしている日本と違い、支払い業務の効率性やコスト、決済記録の保持やキャッシュフローの効率化に課題がありオペレーションが確立していないアフリカにおいて、課題を解決した決済オペレーションを構築するために使われています。

よって、デジタルの領域は、一般的に普及していくのに時間がかかります。上記の企業はアフリカで長い勝負をかけている企業ともいえます。

アフリカベンチャーニュースでは、ドローンやブロックチェーンに関するスタートアップもよく登場します。

リストの中にも、ブロックチェーンについては、シエラレオネを対象とするレヴィアス(298)、ナイジェリアのStandage(306)があります。Coin Connect Africa(469、ルワンダ)もブロックチェーン関連です。なお、SOMPOホールディングス(400)はケニアで暗号通貨サービスを行うBit Pesaに出資しています。

ブロックチェーンではないですが、金融関係としては、ケニアのCrediation(409)があります。

ドローン事業では、アンゴラのテラドローン(314)、ベナンのAfric-Drone(462)が挙げられます。

農業

アフリカの多くの人が関わる主要な産業は農業です。といっても、商売のためでなく食べるための農業が主流で、産業化はこれからです。

アフリカの農業の現状については、こちらにまとめています。このページはとてもアクセスが多いので、日本でもアフリカの農業について関心がある人は多いのでしょう。

求められている解決策は、農業生産性の向上(土壌、気候、種子、肥料、付加価値化、生産管理等)、流通の効率化(産地と国内消費地間)、農産物の加工等による付加価値化といった領域です。

農業生産に関わっている企業としては次のような企業があります。Boom hillsは花卉Food for Furtureは乳業となります。

464 Alphajiri(ケニア)
465 Artisans Farm(ウガンダ)
467 Bloom Hills Rwanda(ルワンダ)
475 Food for Future(エチオピア)

農業流通に関するソリューションを提供しようとしている企業は、前述のDegasや日本植物燃料の他、ケニアのAmoebaxが挙げられます。

279 Degas(ガーナ)
293 日本植物燃料(モザンビーク)
466 Amoebax(ケニア)

農産物の加工を行っているのは、次のような企業です。

456 ルワンダナッツカンパニー(ルワンダ)
485 Kenya Fruits Solutions(ケニア)
488 Matoborwa(タンザニア)
489 Moringa Mozambique(モザンビーク)

アフリカの布やかばん、縫製品

アフリカの人々は、現地で布から仕立てた衣料か、中古衣料を着ています。日本のように大量生産の新品の既製品は着られていません。

現地の人々向けの縫製工場の数はわずかなので、まず既製品が流通していません。一時はアフリカには多くの縫製工場があったのですが、貿易が自由化され、欧米諸国から大量の安価な古着が輸入されるようになり、潰れてしまいました。また、仕立てるときに使っているアフリカ布と呼ばれているものも、もともとインドネシアやオランダなどから輸入されて普及したもので、現在に至るまでアフリカで作られているよりも輸入されたものが大半です。

ただ、布からオーダーされて仕立てる仕立て屋さんは、現地の人たちです。ミシンひとつでできることから、資本のない個人がすぐに始められる事業として人気があります。

余談ですが、人々が大量生産の新品の既製品を着ていないことから、アフリカでは日本のように、その年のファッションの流行によってみんなが同じような恰好をしているということがありません。もちろん仕立てにも流行りはありますが、それぞれが唯一無二のファッションをしています。しばらくぶりに日本に戻ると、人々を見ているだけでそのときのファッションの流行りがすぐにわかることに、新鮮な気もちになります。

現地から調達した素材を作り、現地の人たちを雇用して縫製を行っている、日本の個人が起業した企業として、以下の3社があります。andu ametはエチオピアの特産品であるシープスキンを使って現地で皮革製品をつくり、RICCI EVERYDAYはガーナの布を使いウガンダの工房でかばんをつくり、それぞれ日本で販売しています。

214 Afurikadogs(トーゴ)
215 andu amet(エチオピア)
217 RICCI EVERYDAY(ウガンダ)

なお、業種28には「アフリカ特定製品の輸入」という分類があり、現地で自分で製造してはいないけれど、現地の工房と提携などして、日本に輸入し日本で販売している企業を並べています。26社が取り上げられていますが、その多くも、日本人の人が個人で立ち上げた企業となります。

その他領域

日本の個人が立ち上げた企業としては多くの数はないけれども、アフリカにおいてスタートアップがさかんな領域で事業を行っている企業もあります。

WASSHA(332)は、タンザニアの未電化地域向けに、太陽光電力をキオスクを通じて小口販売しています。ソーラー発電というのは、いま大変アフリカで資金が集まりやすくなっている領域です。

アフリカの電力の問題は、発電量の不足にもありますが、なにより配電にあります。ソーラーは、その場でパネルを設置すれば、配電せずとも家庭で電力を使うことができます。家庭それぞれに太陽光発電キットを割賦で販売するSHSと呼ばれる事業や、コミュニティに太陽光発電所をつくり小規模で配電するミニグリッド事業がさかんで、日本からも丸紅、住友商事、三井物産などがアフリカで事業を行う企業に出資しています。

WASSHAは、日本から立ち上げたアフリカのスタートアップとして、資金調達額がもっとも大きい企業とも言えるかもしれません。東京大学発のベンチャーとして開始し、東京大学エッジキャピタルやJICA、丸紅などからも出資を受けてきました。2019年にはシリーズBとしてダイキン工業、ヤマハ発動機、ミスルトウ、みずほキャピタル等が新たに加わり、累計調達額は24億円となっています。

なお、アフリカの電力発電は、石油や石炭が豊富に所在する地域ではそれらによる火力発電が使われていますが、資源がない国ではもとより水力や地熱などを用いており、意外と再生可能エネルギー化が進んでいます。

CourieMate(395)はバイク便のスタートアップです。物流というのは、アフリカにおいてチャンスの大きい領域で、スタートアップの参入や調達が大変盛り上がっています。Connect Afya(321)は臨床ラボの運営です。ヘルスケアも物流同様、課題が認識されチャンスが期待されているのですが、成立しそうなビジネスモデルが見えてきた物流とは違い、まだ参入企業もどこも勝ちパターンが見えておらず、競争も確立していない領域です。

なお、いわゆるスタートアップの領域とは少し違うかもしれませんが、アフリカの強みであるスポーツに関連するスタートアップもあります。スポーツX(312)、フォワード(317)、HONDA ESTILO(322)は、それぞれガーナ、ナイジェリア、ウガンダでサッカーチームを運営しています。Office Yagi(323)はマラソンです。

業種29:日本人によるアフリカでの起業

すでに紹介した企業とも重なりますが、業種29というのが、日本に法人は持たないけれど、日本の人が個人で立ち上げた企業をまとめた部分です。最後にまとめて紹介します。

なんと54社もありますね。国でみると、東アフリカが圧倒的に多いですね。ケニアは12社、タンザニアは8社に上ります。ちなみに、法人を作らない状態で事業を行っている人もたくさんおり、ビジネスに取り組んでいる人というくくりならこの倍はいる気がします。

それぞれの企業が何をしているのかについては、ぜひリストに飛んで、見てみてください。

451 アルセボン(トーゴ)
452 寿トレーディング(南ア)
453 ジャパン・アフリカ(南ア)
454 ムパタインベストメント(ケニア)
455 ヨシケントラベル・アンド・ツアーズ(ガーナ)
456 ルワンダナッツカンパニー(ルワンダ)
457 ワイズイーストジャパン(ケニア)
458 和心(セネガル)
459 Active Kilitop & Safaris(タンザニア)
460 AfricaLink Enterprise (ザンビア)
461 Africa Note(ルワンダ)
462 Afric-Drone(ベナン)
463 AfroSpace(ケニア)
464 Alphajiri(ケニア)
465 Artisans Farm(ウガンダ)
466 Amoebax(ケニア)
467 Bloom Hills Rwanda(ルワンダ)
468 Brown Food Processors(ウガンダ)
469 Coin Connect Africa(ルワンダ)
470 COTS COTS (ウガンダ)
471 Daruma(南ア)
472 DODO WORLD(ケニア)
473 East Africa Sales Promotion(タンザニア)
474 E-gates(ルワンダ)
475 Food for Future(エチオピア)
476 Fujiyama(南ア)
477 Grassroot Walkers(ケニア)
478 Horientertainment(ケニア)
479 Inuwali Africa Guinée Conakry(ギニア)
480 Izakaya Matsuri(南ア)
481 JATA Tours(タンザニア)
482 Japa Express Sushi Bar(南ア)
483 Joy Bakery(タンザニア)
484 Kai Grobal(ケニア)
485 Kenya Fruits Solutions(ケニア)
486 KISEKI(ルワンダ)
487 Life Style Rwanda(ルワンダ)
488 Matoborwa(タンザニア)
489 Moringa Mozambique(モザンビーク)
490 Musashi(モザンビーク)
491 NIAKA KA (セネガル)
492 Paradise Beach Bungalows(タンザニア)
493 RWA MITTU(ルワンダ)
494 Sakura(エチオピア)
495 Shopto Uganda(ウガンダ)
496 Taiyo Enterprises(ケニア)
497 Teriyaki Japan(ケニア)
498 TOPISH Bakery(ガーナ)
499 Trickster(タンザニア)
500 Verde Africa(モザンビーク)
501 Worktect(タンザニア)
502 Yasuke(モザンビーク)
503 Yamato(南ア)
504 Yambi Connect(ルワンダ)

この記事で取り上げたすべての企業は、以下のリストに掲載されています。どの国で、何をしているか、記載されています。


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