選挙イヤーだったアフリカの2024年全結果と2025年の注目国
2024年のアフリカは選挙イヤーでした。あわせて14カ国で大統領選挙・国政選挙が行われました。予想外に政権交代した国もある一方、強権的な国は強権的なリーダーが引き続き危なげなく就任期間を延ばし、また選挙を予定していたものの実施されなかった国もありました。
以下が全結果です。
アフリカの2024年の大統領選挙結果
セネガルは選挙の実施を巡って大きく揉めて、予想がつかない展開でしたが、結果的には棚ぼた的に候補者となった44歳のジョマイ氏が大統領となりました。就任したのが4月、現時点まで危なげなく、また国民の支持を維持されながら政権運営を行っていると思います。
モーリシャスは圧倒的な野党勝利により首相が交代しました。ただ新しい首相ラングール氏はかつて首相を務めたことがある経験者で、いわば復帰です。
ガーナも、同じパターンと言えるかもしれません。この5年は、まさかのデフォルトや高インフレなど、経済的な苦境にあったガーナ。勝利した野党の新大統領マハマ氏も大統領経験者です。ガーナはこれまでも2大政党が交代してきているので、政権交代は予想はされていました。
ボツワナは意外組です。独立以来、ダイヤモンドをベースに安定した経済・政権運営を行ってきましたが、近年は経済も低迷。58年ぶり独立後初めての政権交代となりました。新大統領のドゥマ・ボコ大統領は54歳です。
アフリカでは、1950年~1970年代の植民地からの独立のころに活躍した政治家が、まだ政権にいる国が多いです。年配の人たちにとっては自分たちとともに戦った闘士ですが、そのあとに生まれた若い人たちからすると、同じ顔ぶれの年寄りが権力を独占し、経済は成長しきれず、いまだフランスや米国などの指図を許し自国が誇りを持てる国になっていないという怒りは大きい。若い大統領を支持し、変化を求める動きはこれからも大きくなるでしょう。
大変注目されていた南アフリカの選挙は、与党ANCが勝利したものの過半数割れとなり、連立政権が設立されました。大統領は再任されたものの、基盤は弱くなりました
それでもまだ国民の総意はANC支持とみられますが、アパルトヘイトから30年経って、人々、とくに若者が変化を望んでいることが、今回の選挙結果につながったと思います。南アフリカもまた、アパルトヘイトの終焉という国を変えた30年前の政治家が、いまだ政権の中枢を占めています。
ナミビアは与党が勝利し、初の女性大統領が誕生しました。与党の副大統領からの大統領就任は、アフリカのもうひとりの現役女性大統領、タンザニアのサミア・スルフ・ハッサン大統領と似ています。
一方というか、エジプト、アルジェリア、チュニジア、モーリタニアの北アフリカ各国や、ルワンダ、コモロといった、複数の任期を経た大統領が強権的な政治をしているとされている国々では、さらなる再選が非常に高い投票率で決まるという結果となりました。また、軍事政権で暫定大統領が就いていたチャドでは、選挙が行われ、そのまま大統領に就任しました。
モザンビークは与党が勝利したのですが、10月に選挙結果がでて以来、12月現在でも抗議活動がが続いています。
2025年のアフリカの注目選挙
2025年は、次の国で選挙が予定されています。コートジボワール、カメルーン、トーゴ、ガボンと、長短は様々ですがすでに複数任期を経た現職大統領の立候補が想定されており、任期に関する規定などから次も立候補できるのかを巡って議論となるような国が多いです。無事に選挙までこぎつけられるか、懸念がある国が並びます。
タンザニアは2021年に現職大統領がコロナ(と推測される病)で任期中に死亡、副大統領だったサミア・スルフ・ハッサン氏が大統領に就任しました。サミア大統領は予想外に、ほとんど政権が交代したといっていいほどに前政権の政策を変更し、改革を行いましたが、その分与党における大統領の求心力は減じられたといえます。サミア大統領が出馬すれば、初めて選挙で信任が問われることになりますが、タンザニアは彼女の改革路線を受け入れるのか、注目です。
アフリカには54カ国もあります。それぞれがどんな国なのか。また各国の次の選挙年はいつなのか。こちらにまとめています。