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アフリカでコロナワクチンを接種しましたーアフリカのいまの接種状況は?

先週、ナイロビの病院でコロナワクチンを接種してきました。アストラゼネカです。

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病院の中庭に設置されたワクチン接種会場。感染予防ばっちり。

アフリカでのワクチン接種は、今年の2月頃から本格化しました。モロッコが大国のなかではもっとも先行しており、すでに人口の14%にあたる500万人近くに、2回目分まで接種を完了しています。

各国の接種者数と、百万人あたりの接種者数(接種率)が多い国を並べてみたのが以下です。いずれも、1回目の接種人数です。

ワクチン接種者数_20210424

日本も入れてみました。百万人あたりだと、日本は「アフリカ16位」に位置しています。

セーシェルは、アフリカでもっとも早く接種を開始した国です。人口10万人の小さな島国で、7万人近くが1回目を、6万人近くが2回目を完了しています。

アフリカ54カ国それぞれの1回目、2回目の接種人数は、こちらの(5)にある表に記載しています。


4月26日現在、アフリカ54カ国中47カ国がワクチンを入手し、そのうち41カ国がCOVAX(途上国に公正にワクチンを配布するための国際的な取り組み)からの調達を受けました。また、28カ国が中国から購入または寄付を受けています。

ワクチン_接種_20210426

このようにワクチンをまったく受け取っていない国は減りましたが、入手したワクチン数が少ないため、人口カバー率はまだまだ低いです。1割を超えているのは、先にあげたモロッコやセーシェルくらいです。

コロナで多大な影響を受けた国家財政の中からワクチン費用を捻出することの困難の他、血栓リスクや変異株への効果疑念で供給が一時ストップしたことなどが、十分なワクチンがまだ入手できていない背景です。

さらには、政府の姿勢もあります。ワクチン入手にとても積極的な国もあれば、それほど積極的でない国もあります。

日本でも、アフリカには十分なワクチンが供給されていない、という報道がされているみたいですね。そのとおりだと思います。

ただ、では少ない数少ないワクチンにみんなが殺到しているかというと、そういう感じでもありません。

また、ワクチンが到着したあとどう接種を進めるかという仕組みづくりについては、どの国もそれほど時間がかかっているように見えません。接種病院を決め、地域ごとの割当数を決め、優先順位を決め、管理システムをつくり、というのはケニアについてはあっという間に終わりました。

私が住むケニアでは、まずは医療関係者、教師、軍警察、58歳以上が優先グループとして設定されました。しかし、私が受けた公立病院だけは、なぜか最初から誰にでも接種をしているようです。

ワクチンが到着した頃は、メディアがネガティブな報道をしていたこともあり、ケニアでも「打たない」「周りが打ってその結果をみてから打つ」という人が大半だったように思います。「外国からきた馴染みのないワクチン」ということが警戒心をより強めていたのは、歴史的な経緯があるからかもしれません。副作用がどうというより、ワクチンそのものが信頼できないという認識が広く共有されていたように思います。

うちのドライバーさんも、「あんなの絶対接種しない」と言っていたのですが。。

私が接種する2週間ほど前に、あっさり接種していました。

第3波がきてロックダウンになるなど、感染者が増えていた頃で、感染の不安の方がワクチンへの不信より大きくなったのだと思います。私も、いまになってこれまでで一番、身近な人の感染を多く聞くようになっていました。

こうやってナイロビのような都市部では、接種しようという人が増えてきたように思います。ビジネスパーソンの友人たちはもともと、海外出張を再開させるにはワクチンパスポートが必要と、接種にポジティブでした。

とはいえ、南アフリカなどを除いて多くのアフリカの国々は、いまだに欧州などに比べて感染者の数、死亡者の数が少ないままで推移しています。感染がはじまった昨年の今頃こそ、コロナを恐れる人が多かったですが、いまではコロナは日常となり、意識が薄れている人が大部分です。

ワクチンに対する陰謀説、さらにはコロナへの陰謀説も聞かれます。

接種開始から1.5カ月経った、4月16日時点のケニアの接種状況はこんな感じで、まだ6割の進捗率です。多くの病院がワクチン接種病院に指定されオンラインで予約を受け付けていますが、予約は空いており、混み合っている様子でもありません。

つまり、打ちたい人と躊躇・否定している人が混在しており、少ないワクチン入手数にも関わらず、ワクチンは余っている、という状況です。

政府としても、モロッコのように半強制的に接種を呼びかけている国もあれば、消極的な国もあります。

各国で、このままだとワクチンの期限が切れて廃棄がでてしまう、という報道が増えているほどです。アフリカで接種人数が多くないのは、入手ワクチン数だけの問題でなく、人々も政府も様子見している状況であることも、関係しているといえます。

さて、接種の当日、なんの予約も紹介もなく、病院に向かいました。会場につくと、まずはIDナンバーや電話番号、職業などを聞き取り、職員がタブレットに入れていきます。保健省管理の、今回のワクチン接種用ソフトウエアがあるようです。

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前の人が、アレルギーの有無を入力されていたので、「アナフィラキシー対策ね、なるほど」と思っていたのに、私のときは聞かれませんでした。勝手に入力しちゃったんですかね。。

質問の一環で宗教を聞かれたのですが、選択肢が「キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、伝統宗教」しかなく、その他もないので、人口が一番多いキリスト教徒として接種。

注射自体は一瞬でした。費用は無料です。

接種後15分会場に残るという副反応、アナフィラキシー対策は。。。もちろんなく、みんなさっさと帰ってしまいました。

ちなみに、以下の写真の青いのがワクチンの冷蔵保温保管容器ですが、この容器のふたが最初からずっと開いていることを、探偵私は見逃しませんでした。Stopって警告が書いてあるのに。。ワクチンの温度管理、大丈夫なんでしょうか。。

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日本でそんなことがあったら、袋叩きにされそうです。

接種後すぐに、保健省から携帯にSMSが来て、私の接種したワクチンのバッチ番号と、2回目の接種日の日程が送られてきました。たぶん次回はこれを見せれば接種できるのだと思います。自治体が接種案内を郵送したりする必要はありません。

既存の仕組みがないからこそ早く必要な仕組みが作られるアフリカ。しかし、重要な部分は押さえているものの細かいところは出たとこ勝負で厳密とはいえない。。(そしてそれをみんなあんまり気にしていない)

ふだんアフリカと日本を見比べて感じている「ものごとへの対処の仕方」の違いが、ここにも健在でした。

ところで私の接種したアストラゼネカワクチン、製造国のインドが自国の感染拡大を受けて、現在輸出をストップしています。

アストラゼネカは、血栓症の副反応があるとEUが認め、変異種には効果が低下するとされているため、次回も政府が費用を割り当てるかどうか微妙で、なので私には2回目の接種のあてがない状況です。私自身もけっこうでたとこ勝負なことを認めざるをえません。。笑

ケニアですでに接種した仲間65万人がみな同じ境遇なのですが、まあなんとかなるだろうとみんな思っているように思います。でもせめて、医療関係者には2回目を打たせてあげたいところです。


アフリカ各国におけるワクチンの入手・接種状況、感染状況、ロックダウンなど規制状況など、押さえるべき基礎データをまとめています。毎週更新


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