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コロナに関する意識行動調査 (2)ナイジェリアの結果

このコロナ禍の中、アフリカの人々はどのように暮らし、何を考えているのでしょうか。当社のオンライン調査システムを使って、ケニアとナイジェリアでクイックに調査をしてみました。

以下、ナイジェリアの結果です。

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この調査は、3月30日にラゴス、アブジャ、オグン州のロックダウン(外出禁止と交通遮断)が開始され、さらに2週間の延長が発表された4月13日から開始しました。対象者はロックダウンとなったエリアであるラゴス、アブジャ、オグン州の在住者です。

こちらにも書いたとおり、アフリカ各国政府は感染者が少ないうちから、かなりクイックに先手先手で対応を行ってきました。そしていまのところは、こちらに書いたように、感染者数も少なく留まっています。

ラゴスの人々は、調査の時点ですでに2週間、完全なロックダウンを経験しています。近隣食料品店などへの買い物のみが可能です。生活や仕事上の不便を続けてきたわけですが、政府の感染対策への信任は、とてもうまくいっているが31%、まあうまくいっているが37%と、いまのところ厚いようです。

ナイジェリアは、2月27日にはじめての感染者が見つかり、その2日後の土曜日には保健省が対策を発表するなど、早めの対応をとってきたという経緯があります。この記事の写真はブハリ大統領のツイッターからお借りしましたが、大統領もこのように頻繁にブリーフィングを行っています。

ナイジェリアは、2014年にエボラ感染が西アフリカに広がった際には、感染者が見つかりながらも封じ込めに成功したという経験があります。

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手洗いの頻度を上げた人が85%、人混みを避けるとした人が84%です。まったく外出しない人も半数近くいます。コロナ禍以降、フェイクニュースに騙されず、正しい情報を得ようというメッセージは、ナイジェリアで頻繁に聞かれますが、55%が気をつけているようです。ロックダウン中であるためか、マスク着用率はあまり高くありません。

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政府の感染対策にはよくやっていると感じてる人も、経済対策については不満度が高いです。56%がまったく満足いくものではないと答えています。所得が高低に関わらず、不満が高いです。

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世帯収入については、すべて失ったという人が3割を超えています。ラゴスもナイロビと同様、雇用されている人はまだ収入をキープしていますが、Self employee(個人事業主)として自分で商売をして働いていた人の大半は、ロックダウンで完全に仕事ができなくなっています。

むしろ増えた、という人が少数ながらいるのも関心深いところです。当社は別途、ラゴスの製造業者への調査も実施していますが、ロックダウン中にも関わらず、通常より売上が伸びているという会社もありました。この状況の中でも工夫をして商売を続けている人たちがいることがうかがわれます。

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「感染すること」が7割を超えたケニアと違い、ナイジェリアの人は感染よりも、国家経済の悪化や治安の悪化を心配しているようです。「食料、水、電気の不足」も59%が挙げています。

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コロナによって生活に影響を受けたことで、使用をはじめたり、増えたりしたものとして、オンライン銀行(オンラインバンキング、銀行口座を携帯などで操作すること)が選ばれています。モバイルマネー(銀行を介さず、携帯間のやりとりで送金・支払いを行うもの)が普及しているケニアと違い、ナイジェリアではオンラインバンキングがさかんですが、その利用がふだんより増えた様子が伺われます。

ロックダウンでまったく人と会えない状況ですから、WhatsAppをはじめとするオンラインコミュニケーションについても、7割近くが増えたと回答しています。TVが高いのは、ナイジェリアのコンテンツであるドラマやボリウッド映画を見る時間が増えたのかもしれません。

オンライン教育が41%に上り、ナイジェリアの人のふだんの教育熱心さがここにも表れています。

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5月の状況について、「ほぼ解決する」とした人はケニアほど高くはありませんが、一方で「今よりよくなる」が半数を超えています。ロックダウンが解除され、日常生活が少しずつ戻ることを想定しているように思われます。

以上がナイジェリアの結果です。ケニアの結果については以下からご覧ください。

ケニア、ナイジェリアの調査の結果の要旨と、引用の方法やお問い合わせ先については、以下をご覧ください。


当調査の回答者は、オンライン調査ということで、スマホまたはインターネットにつなげる携帯を持っている人、英語が読める人となります。世帯月収はN75,000(約21,000円)以下が45%を占め、もっとも貧しい層の人たちではないが、ラゴスにおいて平均的な収入・暮らしぶりの人たちと言えるでしょう。回答者の年齢は20代と30代が中心ですが、ナイジェリアの中位年齢は18.1歳で、20歳以上人口に占める20代と30代の割合は64%に上るため、人口構成上のマジョリティの層であるといえます。

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調査方式: オンライン調査。アフリカビジネスパートナーズのオンライン調査システムを用いて、パネル(会員)を中心に調査。回答者は携帯のWhatsAppを通じて回答
調査対象地域: ロックダウンが行われたラゴス、アブジャ、オグン州
サンプル数: 93ss
調査期間: 2020年4月13日~14日


追記: この調査結果が、ナイジェリアのトップビジネス紙、BusinessDayに掲載されました。政府の経済支援に対して人々は不満を持っている、という記事になっています。

BusinessDayの記事の内容や、この調査結果の英文レポートなどは、以下からご覧ください。




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