稼ぎ方は人それぞれなのだから、人が指示するべきではない

 最近、とあるシステム開発会社の社長と話をふと思い出した。

人はそれぞれの適材適所がある 
 それは「どうやったら人を成長させることが出来るのか?」という話をしていた時の事だ。当時、自分が今一緒にやっている人達をどう成長させようかと相談をしていた時のこと。私の希望は、私のクローンを量産させたい。そうすれば売上はもっと上がるのに…!という思いがある。だけど、相手は期待していた結果を生み出してくれない。なので、「なんでこんな簡単な事が出来ないの?」と思ってしまう事が多々あった。

 これを当時のシステム開発会社の社長に言うと「それは経営者のエゴなんだよ。」と一蹴された。相談した社長は当時は38歳。私と同じ悩みを持ったこともあったそうだが、諦めることが大事というのを諭してくれた。

 どういう事か?

 生まれた場所も違えば、関わってきた人も違う。環境も違うし経験値も違う中で、自分と同じ結果を出してくれる人になって欲しいというのはそもそも難しい。全く環境が違う北海道と沖縄で同じ味をした野菜を作れというのと同じくらい難しいものだ。

 なので、その社長は「経営者は自分と同じ力を持ったクローンを作る努力をするのではなく、その人にあった適材適所を見つけて成長させる努力をする事が一番売上が上がるし、何もかもうまくいくもんだよ」と言ってくれた。

 これを聞いて私はとても腑に落ちた。なるほど、人にはそれぞれ得意分野と不得意分野がある。それを見抜いて生かしてあげるのが大事なのだと。それから私はクローンを作る事を諦めた。そして、その時スグに各々が得意とするように組織編制を変えた。すると、売上はグングン伸びていったのだ。

 人それぞれの得意分野を攻める事こそが、結果は出やすい。適材適所で戦える土台を作ってあげる事が経営者であり、その土台で結果を出すのが選ばれた人の役目なのだ。

なんでも良い。まずは結果を出せば良い。
 ネットやTwitterを見てると若いネットビジネスの人らが「自分のように稼ぎましょう!」みたいなことを言っている。戦略的には自分に憧れさせ、マインド教育をして高額商品を購入させる。その見返りとして、環境や稼げるノウハウを教えるよっていうパターンが多い。これが良いか悪いかここでは述べない。ここで言いたいのは、それで結果が出なかった人は落ちこぼれなのか?である。

 自分の考え方は「否」である。

 その「やり方」や「人」とあなたに合っていなかっただけであり、あなたは悪くない。野球・サッカー・ボクシング・陸上にしろ、人それぞれの得意スタイルがある。例えば、私は中学時代は陸上部で100・200・400は速くて県の強化選手まで選ばれていた。しかし、3000mとかの長距離はいつもビリに近いくらい遅い。じゃあ、私は長距離が速く走れなかったことで陸上部としては落ちこぼれなのだろうか?という事である。否である。

 野球でいえば、ピッチャーが得意な人がホームランバッターでなければ野球が苦手という烙印を押されるのか?サッカーならディフェンスが得意な人が点を取れなかったらサッカーが下手な人とみなされるのか?である。すべて否だ。しかし、なぜか「お金稼ぎ」に関しては1つやってみてダメだった時に「自分はダメだ」という人が多い事に驚く。

 結果が出なかったからと言って自分はダメだと思わない事。たまたま、自分に合わないスタイルだったという事で次に繋げれば良い。

 そして、少しでも良いから結果を出せば良い。1万円稼げたのか、1万円しか稼げなかったのか?その考え方は人それぞれだが、労働収入以外で稼げたという結果を出せたのであれば、まずは第一関門突破である。そこからどう売上を伸ばすのか?というのは経営者の仕事だ。労働収入以外で稼げたのであれば、誰しもが経営者である。経営者マインドを持って考えていくことが大事である。

何でも辛かったら辞めれば良い。
 個人的な偏見なのだが、今の50~70代の人たちの考え方は「じっと耐えれる人は凄い」みたいな考え方がある。1つの事をコツコツとやり続けられる人は人格者である…的な。青の洞門の禅海和尚のようなのが理想像なのだろうか。

 なので、コロコロと移り変わりする人は浮気者であり、辛抱が出来ない人という烙印を押されてしまう。

 例えばダイエットを始めたり、毎日ランニングを始める事を決意したけど、結果として3日くらいでしなくなっていたとかもそうだ。俗に言う3日坊主である。3日坊主の人も「口だけの奴だ」みたいなレッテルを貼られることがある。
 私はこれに関しても疑問がある。そもそも1つの事を決めてずっとやり続ける事に美徳があるのだろうか?という事である。私としては、それをやり遂げられる人は尊敬に値するが、誰しもがそういう事が出来ないという事である。

 ノーベル賞を取った人(名前を忘れました)も言ってたと思うが、

「3日坊主は決して悪い事ではない。3日頑張れたことを見つけたのだ。(記憶があやふやなので拡大解釈してると思います)」

 という事。そう、3日も頑張って続けられることを見つけた自分をまずは褒めれば良い。そして、それが合わなかったのだ。自分に合うのを見つけ続ける努力さえすれば、青の洞門の禅海和尚のように洞窟を掘り続ける事だって出来る。結果を出せなかった、それなら結果を出すまで頑張るのではなく、時にはスパッと「これは自分には合わないんだ!」といって諦める事も大事である。

 そうすることで、新たな挑戦や新たな自分を見つけていくことだって出来る。

稼ぎ方は人それぞれなのだから。
 稼ぎ方は人それぞれだから、何も1つ出来なかったからって嘆き悲しむことは無い。
 私からすれば先述したネットで何だかんだ言ってる人らは総じて若い。気になってDMを送ればとにかく上手い事言って高額商品を購入させようとしている。カフェとかにいる胡散臭い話をする人らもそうだけど。

 たった1つの勝ちパターンを見つけただけで、それを成功論みたいに言い続けている。将棋の藤井棋聖や羽生名人を見て欲しいが、彼らは何百年前からある当時の最強の棋士達が戦ってきた記録(棋譜)をずっと見てきて色んな勝利パターンを見て勉強してきている。そして、更にそれを昇華するべく日々努力されている。どのパターンで勝負しようが、勝つ思考を持っている(ここが1つの勝ちパターンしか見て来なかった若いネットビジネスの人らと違う)

 稼ぐ上で大事な事は、「稼ぐこと」ではなく「稼ぎ続けること」であると思う。誰でもまぐれで一発稼ぐことは出来る。そこから稼ぎ続けるのは知識・経験の努力もそうだが、人格者でなければならないと思う。私が見てきた経営者はみな人格者であり、人間力がある人は稼いでいる。そりゃそうだ。誰だって尊敬できる人に仕事をお願いしたいし、ついていきたい。逆に一発稼げたことで天狗になった勘違い経営者は拝金主義者になり、人が離れていく。裸の王様だったと気付くのはほとんど失った時だ。だから、あぐらをかかずに人は常に努力をしていかなければならない。

 私は声を大にして言いたい。

 稼ぎ方は人それぞれだ。稼ぐための研究・勉強を怠らない限りチャンスは来る。そのたった一度かもしれないチャンスを掴める力をその時に持っているかどうかは、今までの経験がものを言う。大事な事は、自分が活かせる土俵を見つけて武器を手に入れる事。それ以外はいらない。やり続ければそれが自信になる。圧倒的に人よりも努力し誰よりも詳しくなり、経験を積むだけであなたは武器も手に入れる。

 それでも自分には合わないと思った時、その時は潔く撤退。それはたまたま自分には合わなかっただけ。また、自分に合う土俵を探しに行けば良い。

 ネットの情報に振り回されないで。稼ぎ方は人それぞれなのだから。

 自分で道を切り開くことを臆することなかれ。

 

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