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白い猫の話

忘れないうちに猫の話を書いておく。

実は、10月の終わり、白猫の体調が悪くなった。ウチの『ニブンノイクジ』や、たきさんの『職場の猫』に出てくる白猫だ。

腎臓は前から悪かったのだけど(老猫の多くは腎臓を患う)ある朝、動けなくなっていた。それでもエサを出すとヨロヨロと立ち上がる。けど少し歩いては転んでしまう。17歳。いまどきの猫にしては長生きの方ではないけれど、短くもない。
その日、かかりつけの病院が休みで、翌日行く。

「脱水症状ですね」
血液検査をする。結果からも相変わらず腎臓は悪いし、他にもあれこれ数字がよくない。かといって腎臓は人工透析が必要なレベルではなく、直接の原因は歯周病。口の中が腫れて、痛くて、エサも水も取れない状態だと言う。猫も人間も歯は大事。
「とりあえず点滴と抗生物質とビタミンを入れて様子をみましょう。脱水状態はこれで改善します」
自力でエサを食べられるようになるのが目標。
白猫が寝るリビングに布団を持ち込み、誰かが毎晩、付き添って寝ることに。まともに歩けない猫は、布団に排泄をしまくりで、24時間、ずーっと洗濯機がまわり、浴室乾燥がかかってる状態。
親を早くに亡くしたので、介護の心配、というのは自分の時まではしなくていいや、とたかを括っていたのだけど、まさかの猫である。持ち運びできる分、人間の介護に比べれば、数段楽だろうけれど、保険は一切効かない。

そして数日。体重は減る一方。
「こうなると手術しかないですね」
麻酔して、原因になっている歯を抜くという。
「ただしこの状態だと手術にたえられず、そのまま麻酔から覚めないか、覚めても数日後に、ということもあり得ます」
「確率はどれくらいですか? 1%なのか、10とか20%なのか。それとももっとなのか?」
「1匹1匹の状態が違いすぎて、エビデンスがないんです。ただそれなりに高いとは思います」

家族、主に子供たちに相談する。
二人とも強く反対。手術中にそのまま死ぬのは耐えられないという。まあ、生まれたときからいっしょだしね。
「このまま何もしなくても死ぬよ」
それでも手術中に死ぬよりはマシ、という。
長女が憤る。
「でもね、絶対何か他の手がある気がするの! あーもう! もっと勉強していれば、なにか方法考えられるのに!」
今でも十分勉強してると思うのだけど、そうか、そういうもんか。
何か他の手?
「そういえば、このあいだ「猫の歯医者さん」って通りがかりにあったね」
妹尾が思い出す。そう遠くない。電話をする。状況を伝える。

「連れてきてみてください。何も断言はできませんが、もしかしたらご提案できることもあるかもしれません。血液検査の結果も持ってきてください」
人間でもやったことがないセカンドオピニオンである。

長くなったので、続きはまた後で。


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