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血液ガッタガタ♪ --O型の信念--(エッセイ)

朝、テレビをつけると、きょうの牡羊座の恋愛運は星5つだった。
フン、そんな子どもだまし、だれが信じるかよ。

ぼくは半年で離婚してからというもの、結婚はもうこりごりだと思っていた。元妻のご両親が結婚の日取りを有名な占い師に依頼して強引に決めた結果がこのザマだった。
心の傷が癒されないまま、いつしかぼくも四十歳に迫っていた。
そこへ知人から何度も結婚相談所を紹介されたものだから、断ってばかりもいられず、とりあえず話だけを聞きにきょう行ってみることにした。最後には断るつもりで。

テレビを消しスーツに着替え、家を出た。
結婚相談所に着くと、紺のスーツを着た美熟女が出迎えてくれた。甘い香りが漂う。白い肌に真っ赤な口紅のこの女性が担当者だった。ブースに案内され、机を挟んでパンフレットを差し出され、システムを説明された。
高費用のうえ興味もわかず、ぼくは検討してみます、と伝えた。
担当者の口元が緩まる。
「かしこまりました。よろしければ、生年月日と血液型をお教えくださいますか」
ぼくが伝えると、担当者はノートにペンを走らせた。
「O型ですね。情にもろい親分肌で、心に壁があるけど気心知れると強い絆で結ばれるようです」
本でも見れば書いてあるでしょ、そんなこと。
「たしかに。ただ、強い絆が崩れて離婚したんですけどね」
ぼくはパンフレットを閉じた。
担当者が掌を広げる。
「じつはわたくし占いも勉強していまして。ちなみに離婚された元奥様の血液型は何型でしょう? また、何歳違いでしたか?」
まだ質問してくるのかよ。
「AB型で、歳は2コ下です」
担当者は何かを悟ったようにうなずいた。
「あら、やっぱり。失礼ですが離婚されて正解ですよ」
「えっ」
「2歳下のAB型女性とは結婚してはいけなかったんです。相性最悪ですもん」
「そうだったんですか」
「はい。O型男性は、AB型女性に振り回されるんです。AB型女性はAと主張してきたものをある日突然Bと言い出すんです。だからAB型なの。O型男性はそれについていけないの」
「そういえば、彼女は『あなたを信用している』と言った翌日に『妹に手を出さないでよ』って言ってきました。結婚後ですよ。はぁ? って感じでした」
担当者は目を輝かせた。
「そうでしょ。でもね、痛い目に遭ってもO型男性は懲りずにまた別のAB型女性を好きになるの。本来、O型男性はAやO型の女性と波長が合うのに」
「なるほど」

予定時間を超過して、ぼくは結婚相談所をあとにした。
家のネットで好みの女優やタレントを調べてみる。AB型・・・AB型・・・
ぼくはもらってきた申込用紙に名前を記入した。

(注:血液型診断はあくまでも個人の見解です)


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