オスカー・ピーターソンのピアノ
約10年前、僕が初めて好きになったジャズのアルバムは、オスカー・ピーターソン・トリオの「We Get Requests」だった。
初めて聞いたジャズのアルバムは、アート・ペッパーの「Meets The Rhythm Section。
どちらも有名なスタンダード・アルバムだが、僕は最初、アート・ペッパ―のアルバムが好きになれなかった。それま20年間ロックばかり聴いてきた僕の耳には、サックスが主体となった音楽が聴きなれなかった。そして、ドラムがシンバルを中心にリズムを刻むのがよく分からなかった。
ロックだとバスドラがドコドコとリズムを刻み、ハイハットがビシバシ決まる感じがカッコよくて、アート・ペッパ―のアルバムを聴いたときに感じたのは、なんで、シンバル中心なの?という違和感だっだ。
その点、オスカー・ピーターソンの場合、何よりも耳慣れたピアノのメロディが心地よく、ベースとドラムのコンビネーションもカッコいいなと思った。
特に「Days Of Wine and Roses」や「you Look Good To Me」のピアノのメロディがとても美しかった。
音がすごくいいアルバムとしても有名で、「STEREO SOUND」などのオーディオ雑誌にリファレンス盤としてよく登場していた。
本当にただただ美しく、スキのない完璧なアルバムだと思う。夜に灯りを暖色系にして少し暗くし、ウイスキーを飲みながら聴くと、至福の時を味わえる。
ただ、演奏に粗さがなく、完璧であるが故の「歌心のなさ」を感じることもある。すごくいいんだけど毎日は聴きたいと思わないというか、うまく言えないんだが、ロックで言えば、技巧派ギタリストによる早弾きのパッセージを聴いているときのような感じだろうか。
これまで「We get Requests」はCDで聴いていたが、この間、京都の中古レコードショップに行って、1,000円でレコードを手に入れた。レコード盤で聴く「We Get Requests」は音に温かみがあって、僕が感じていた「歌心のなさ」というかちょっと冷たい感じがかなり軽減されていた。
特にピアノのアタックの音が鋭さはそのままに、あったかい感じがする。これまた、うまく言えませんが。
あれからずいぶんたくさんのジャズレコードを聴いてきた。ジャズの知識もそれなりに増えた(マニアの方に比べれば、まだまだですが...)。
それでも仕事から帰って、疲れた体をソファに鎮めたとき、「We Get Requests」を聴きたくなることが多い。
レコードを手に持って、プレーヤーにそって置き、クリーナーで一周、埃を取ってから、そっと針を落とす。そしてオスカー・ピーターソンのピアノ、レイ・ブラウンのベース、エド・シグペンのドラムに身を委ねると、ふっと体の緊張がゆるむのを感じる。
まあ、ジャズの世界では常識かもしれませんが、名盤ですね。
※その後、ビリー・ホリディのアルバムに参加しているオスカー・ピーターソンに出会った。ビリーのバッキングに徹する彼のピアノもカッコいいんですよね。
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