父が私に伝えたかった産後うつについて

少し前にあった実父とのやりとりで印象的だったものがあった。

まず少し父について書くと、父は理系の大学教授。母と恋愛結婚し、私や弟が小さかった頃はよく喧嘩もしていたが今はとても夫婦仲がいい。頭はいいが、論理的な思考回路しかできなく頑固でちょっと不器用なところも。家族を大切にしてくれていて私は父が大好きだ。

旦那の仕事が忙しく(休みも月2日とかしかない)妊娠中で体調が万全ではない私はよく実家でお世話になっている。妊娠中にはよくあることだと思うが時々出産後のことなどで不安になり情緒不安定になるのだが実家にいると心配されるのでなかなか泣けない。それでもある時夜リビングで実家も遠く友達もいない場所で産後の不安があると少し涙目になりながら父に話したことがあった。

その時父は「なにしょーもないこと言ってるの」「友達がいない?いないとかいってる場合じゃないの、作るの。泣いてて何になるんだ」「なんとかするしかないの」と割とその時の私には酷な返事が返ってきた。父は何も分かってくれないとその時は父に話した事を後悔した。ただ弱音を吐きたい時だって妊婦にはあるんだ、と少し拗ねてもいた。

その1時間後くらいだろうか。父に呼ばれてパソコンを見ている父の横に座った。

父が見ていたサイトは「産後うつについて」と書かれていた。

父はサイトを音読し始めた。マタニティブルーと産後うつは違うんだな、とか、いやそんなこと書かれてもしゃーないやんな、とかツッコミを入れながら読んでいく。私は看護学生時代に少し知識をかじっていたのでそうだね、と復習的な気持ちで横で相槌をうっていた。

一通り一緒に読み終わった。父は私に向けて話してくれた。

「泣いてたって、なんにも解決なんかしないの。動かなきゃ。とりあえず歩かなきゃ。ちょっとした不安な気持ちも産後うつにつながっていったら大変でしょ。みんな子育てなんて初めてのことでわからない。泣き叫ぶ赤ちゃんなんて悪魔そのものですよ。辛いの当たり前、泣きたいのも当たり前。そこからどうするかが大切でしょう?今からそうなったときの対処の仕方を学ばないと。今はこうやってネットですぐ調べれる時代になったじゃない。お父さんの頃は本しかなかった。あの頃もこうやって情報がたくさんあれば、お母さんもまた違ったのかもしれない」


母は弟を出産して産後うつになり、そこから躁うつ病を発症した。話せば長いのでここには書かないが大変なことはたくさんあり、母もとてもしんどかっただろう。現在も内服中であるが随分落ち着いた。

父は母のことを理解するのにとても時間がかかったらしい。何冊も本を読んだと聞いていたが、私は産後うつがきっかけだったことは初めて知った。しんどそうにしていた母を知っているからこそ、父は私に同じ道を歩んでほしくないと心配してくれて言ってくれたのだなと分かって少し嬉しかった。


理解してたとしても産後うつになるかはホルモンバランスの関係もあるので将来は誰にもわからない。でも少しでも自分が産後うつについて知っておけばまた何か違うかもしれない。泣いてても仕方ない、動くの。という父の言葉は絶対忘れてはいけないなと思った。

この話をしてからそのあとも、父は時々さりげなく「大丈夫?」と聞いてくれる。私も子供に対しこんな親になりたい。

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